Zendesk Supportでは、お客様にNet Promoter Score℠(NPS®)アンケートを送信できます。NPSを企業やサポートチームにとって貴重な資産とするために、NPSアンケートをカスタマーに送信して調査結果を解釈する際には、この記事で説明するZendeskのベストプラクティスを活用してください。
NPSの真価は、機能自体にあるのではなく、使い方次第で発揮されます。NPSを最も有効に活用する方法について、ベストプラクティスに関する3部構成のシリーズ記事で詳しく紹介いたします。
- NPSとはどのようなものですか。何の役に立ちますか。
- NPSアンケートを実施する最も効果的な方法(この記事)
- NPSの結果を分析してアクションを起こす
シリーズ2番目となるこの記事では、NPSアンケートキャンペーンを効果的に展開し、偏りの少ない有用なフィードバックを収集する方法について詳しく紹介します。
アンケートをカスタマイズする
最初のNPSアンケートの送信は、ほんの2、3の手順ですみます。
手順の一環で、会社のブランドとユースケースに合わせて、NPSアンケートのカスタマイズを行います。初めてNPSキャンペーンを作成したときに、「あなたはX社を友人や同僚にどの程度お勧めしたいと思いますか?」というNPSの質問をほとんどカスタマイズできないことに気づいたことでしょう。
- 友人または同僚
- 友人
- 友人または家族
- 同僚
さらに、確認ページでは、補足の質問を自由にカスタマイズできます。既定の補足質問は「公開する理由」です。この質問を変更して、フィードバックをさらに収集したり、任意の質問を行う機会として利用することもできます。
のタイプ | NPSの質問:勧める相手を選択するドロップダウン | 補足質問のアイデア任意の質問 |
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企業 |
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一般消費者 |
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従業員/同僚 |
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アンケートを送信する
NPSの質問を行う準備はできましたか。アンケートを実施する前に、対象とするカスタマー群について、統計学的に有意な結論を得るのに十分なサンプル数であること、自社のカスタマーベース全体を代表するのに十分な多様性を持つ集団であることを確認してください。
アンケート対象者の適切な数
あなたの会社の適正なカスタマー数は何人でしょうか。この数字は、サンプルデータの正確性をどの程度重視するかによって異なります。おそらく、誤謬のないアンケート結果をお望みだと思いますが、カスタマー全員にアンケートを実施しない限り、その望みは現実的ではありません。代わりに、一部のお客様、つまりサンプルを抜き出して、アンケートを実施することで、時間とお金を節約できます。
例を挙げて考えてみましょう。カスタマーベースのサンプルを調査しようとしていて、普通程度の誤差(データの10%程度)を許容するとします。
誤差許容率を10%と仮定し、「数値について」セクションのサンプルサイズの式を使用して計算すると、NPSアンケートに対して250人のカスタマーの回答が必要となります。
推奨のサンプルサイズを確保するには、実際の回答者数よりも多くのカスタマーにアンケートに参加してもらう必要があります。ここでは、回答率を15%と仮定します。これは、他のZendesk SupportカスタマーがNPSアンケートを実施した際の標準の回答率です。通常、初回のアンケートの対象者は、多すぎるより、少なすぎる方がよいでしょう。2回目以降のアンケートから、対象とするカスタマーの数を増やすことができます。
回答率を15%と見積もり、「数値について」セクションの招待人数に関する方程式を使用して計算すると、1,700人のカスタマーにNPSアンケートを送る必要があります。会社の規模が小さいために、アンケートを依頼できるカスタマー数が、推奨される人数に満たない場合はどうすればいいでしょうか。そのような場合には、できる限り多数のカスタマーから回答を収集するために、すべてのカスタマーにアンケートを依頼するとよいでしょう。
- NPSアンケートを1,700人以上のカスタマーに送信します。
- 回答率が15%であると仮定すると、約250件の回答が返ってくると予想されます。
カスタマーの代表サンプルにアンケートを送る
ここまでで、アンケートを送るべきカスタマー数を把握できました。しかし、適正な数のカスタマーに対してアンケートを実施するだけでは十分ではありません。カスタマーの全集団を代表するカスタマーに対してアンケートを実施する必要があります。
アンケートは、小さなサンプルから、カスタマー全体のような大きな集団の特性を推量する手段です。妥当な推量を行うためには、カスタマーのサンプルが、カスタマーの全集団を正確に表すものである必要があります。では、どのようにして、そのようなサンプルを抽出できるのでしょうか。
それには、インターネットで入手できる各種ランダム抽出ツールの利用をお勧めします。
アンケートの定期スケジュールを設定する
初回のNPSアンケートを送信した後は、NPSの変化を経時的に追跡できるように、追跡アンケートを実施するとよいでしょう。NPSスコアに影響を与えやすい、製品の発売やWebサイトの停止などのイベントを調整し、定期的に追跡アンケートの実施を計画しましょう。
NPSはカスタマーロイヤルティの長期的な目安となります。そのため、年に一度または半年に一度、決まった日に定期的にNPSスコアを収集し、そのスケジュールを守るようにしましょう。膨大なカスタマーベースを持っている場合は、NPSアンケートを毎月実施してもかまいません。ただし、同じカスタマーに対しては、半年に1回以上の頻度でアンケートを送らないように気を付けましょう。
アンケートを定期的に実施できるように、ZendeskのNPS機能には、既製のアンケート用ベストプラクティスセットアップが付属しています。NPSアンケートは、1日に1回だけ送ることができます。さらに、カスタマーは90日に1回、アンケートを受け取るだけです。このセットアップを利用すれば、誤ってカスタマーに迷惑行為を行うことはありません。
回答できないほど頻繁にアンケートを実施しない
アンケートの実施頻度についてのガイドラインとなる大まかな目安として、カスタマーのフィードバックの要約を作成し、カスタマーに回答して、アクションプランを作成できる頻度でアンケートを実施するとよいでしょう。カスタマーのフィードバックを分析して回答し、会社とカスタマーエクスペリエンスの現状を把握し、改善のための対策を立てるための十分な時間が取れなければ、アンケートを実施してもチームのためにも会社のためにもなりません。
以上のようなベストプラクティスをNPSアンケートキャンペーンに適用すると、カスタマーにNPSの評価を質問する準備ができます。回答とフィードバックを収集する際には、ベストプラクティスシリーズの最後の記事「NPSの結果を分析し、アクションを起こす」をぜひ参考にしてください。
数値について
アンケートに関連する一連の数値はどのようにして導かれたのでしょうか。推奨のサンプルサイズは次の方程式を使用して算出します。
以下に、変数について説明します。
- nは推奨のサンプルサイズを表します。
- zは、選択された信頼レベルと関連付けられる標準偏差を表します。95%の信頼レベルを推奨します。この信頼レベルは、基本的に、同じ期間内にアンケートを20回実施した場合、19回は同じNPSスコアを得られると期待するということを意味しています。
- eは、誤差の許容範囲を表します。データの誤差の範囲を狭くしたい場合は、誤差を+/-3%に設定することを推奨します。中レベルの場合は+/-5%を、誤差を大きくとる場合は+/-10%を設定します。通常は、+/-5%に設定するのが最も一般的です。
-
は、NPSスコアの分布を表し、次の方程式を用いて算出されました。
以下に、変数について説明します。
-
はそれぞれ、推奨者、中立者、批判者が全回答者に占める割合を表します。
のとき、NPS =
です。
初回のNPSアンケートについては、カスタマーはこの3つのNPSグループに均等に分散されていると仮定しています。つまり、推奨者、中立者、批判者がそれぞれ1/3ずつ存在しているとみなします。この割合は、3つのグループにカスタマーがどのように分散しているのかを把握したあとに調整できます。
推奨サンプルサイズの計算には次の方程式を使用し、
さらに上記のガイドラインを適用して許容誤差の大きい+/-10%を使用しました。許容誤差を中程度にしたい場合は、分母の0.10を0.05で置き換えます。 精度の高いデータが必要な場合は、0.10を0.03で置き換えます。
n =
推奨されるアンケートの依頼者数は、I = n/rの式を使って計算されました。ここで、nは推奨サンプルサイズを表し、rは期待される回答率を表します。
I = 256/.15 =1706
- NPSアンケートを1,700人以上のカスタマーに送信します。
- 回答率が15%であると仮定すると、約250件の回答が返ってくると予想されます。
**Net Promoter、NPS、およびNPS関連のエモーティコンは、Bain & Company, Inc.、Satmetrix Systems, Inc.およびFred Reichheldの登録商標、Net Promoter ScoreとNet Promoter Systemはサービスマークです。
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