Googleアナリティクスには、さまざまなイベントを追跡できる機能があるため、チケットの送信や、チケットの作成を抑制するためのリンクのクリック、コンテンツの共有など、カスタマーがヘルプセンターで行った操作を監視することができます。イベントは、ユーザーがコンテンツとやりとりした状況を示し、ページの読み込みとは関係なく追跡されます。イベントの追跡を有効にするには、JavaScriptのスニペットを追跡対象の特定のUIエレメントに追加します。このUIエレメントに対して行われたユーザーの操作はすべて、イベントとして計算されます。イベントの内容を確認するには、Googleアナリティクスのダッシュボードのセクションで「行動」>「イベント」の順に選択します。
この記事では、次のトピックについて説明します。
- カスタマーがセルフサービスをあきらめてチケットを送信するのはどのような状況か?
- チケット削減に効果を上げている記事や投稿はどれか?
- 記事をソーシャルネットワークで共有するカスタマーがいるか?
- ヘルプセンター内をカスタマーはどのように移動しているか?
この記事で紹介したGoogleアナリティクスのイベントを追跡するコードについて詳しくは、Googleドキュメントの「イベントトラッキング」を参照してください。
この記事は、シリーズ連載の第3回にあたります。このシリーズではGoogleアナリティクスを活用する方法を解説し、カスタマーによるセルフサービスサポート機能の有効利用を推進しているGuide管理者の皆様が持たれるさまざまな疑問にお答えします。この連載は以下の内容で構成されています。
- パート1 - 適切な答えを得るための質問
- パート2 - 検索の有効性の測定
- パート3 - カスタマーのアクションの追跡(この記事)
- パート4 - ヘルプセンターの最適化
- パート5 - ヘルプセンターのユーザーデータの取得
ヘルプセンターのGoogleアナリティクスを有効にしていない場合は、まずこれを有効にします。「ヘルプセンターでのGoogleアナリティクスの有効化」を参照してください。また、この記事の例にはJQueryコードが含まれているものがあります。GuideのテンプレートV2では、jQueryステートメントをテーマで使用したい場合、jQueryライブラリをインポートする必要があります。「About Guide templating versions(Guideのテンプレートのバージョンについて)」および「jQueryのインポートとアップグレード」を参照してください。
カスタマーがセルフサービスをあきらめてチケットを送信するのはどのような状況か?
どのような状況でカスタマーがセルフサービスでヘルプセンター内の情報を探すことをあきらめ、チケットを送信することになるのか、それを理解することができます。ヘルプセンターのほとんどのページには「リクエストを送信」のリンクがあります。このリンクからカスタマーは、Webフォームでチケットを送信できます。
カスタマーがセルフサービスをあきらめ、エージェントに問い合わせようとしたときにカスタマーが閲覧していたページのURLを、Googleアナリティクスを利用してキャプチャすることができます。カスタマーがどのページで匙を投げたかが特定できれば、ヘルプセンターのデザインやコンテンツのどこを改善すればよいのかが明らかになります。
チケットの送信が行われたページを特定するには
- Guideで、テーマのコードを編集します(「ヘルプセンターテーマの編集」を参照)。
- script.jsファイルを編集モードで開きます。
- 以下の「Capture submit request event」コードを、Templating API v1の場合は
$(document).ready(function() { ... });
ブロックに、Templating API v2の場合はdocument.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
ブロックに貼り付けてください。Array.prototype.forEach.call(document.querySelectorAll('a.submit-a-request, .article-more-questions a'), function(submitRequestButton) { submitRequestButton.addEventListener('click', function(e) { var path = window.location.pathname; ga('send', 'event', 'Submit Request', 'Submit Request From', path); }); });
カスタマーが「リクエストを送信」リンクをクリックするたびに、イベントが記録されます。また、「path」パラメータを使用すると、カスタマーがリンクをクリックした時点で、その際にカスタマーが訪れていたページのURLがキャプチャされます。
- 「保存」をクリックし、「変更を公開」をクリックします。
- イベントの追跡が機能していることを確認します。ヘルプセンターで、「リクエストを送信」リンクを数回、クリックします。Googleアナリティクスのダッシュボードで、「標準レポート」>「リアルタイム」>「イベント」の順に選択し、イベントがキャプチャされていることを確認します。
数日待って、複数のデータを収集します。データが収集できたら、カスタマーがチケットを送信した時点で閲覧していた記事のページを確認します。どうでしょう。驚かれませんでしたか?探していた問題の答えが見つからずカスタマーがチケットを送信した際のページが突き止められたのではないでしょうか。この結果を受けて、チケットの送信が不要となるよう問題を解決する方法を捜します。
チケット削減に効果を上げている記事や投稿はどれか?
ビルトインのチケット発行を抑制する機能により、カスタマーがチケットを送信しようとすると、ヘルプセンター内の関連する記事の候補が、自動的に表示されます。記事の候補は、チケットの件名に入力された内容に基づいて表示されます。ある記事の中に探してる答えがあるかもしれないとカスタマーが判断すれば、その記事のリンクをクリックするだけで記事を見ることができます。チケットは1件でも少ないほうがいいですよね。
カスタマーがコミュニティに新規に投稿を作成するときに、ヘルプセンター内の関連するコミュニティ投稿をおすすめ投稿として提示することもできます。おすすめの投稿は、新しい投稿のタイトルに入力された内容に基づいてピックアップされます。
作成した記事および投稿が、チケットやコミュニティへの質問の削減にどの程度貢献しているかを測定するには、イベントを追跡します。
チケット削減に貢献した記事のイベントを追跡するには
- Guideで、テーマのコードを編集します(「ヘルプセンターテーマの編集」を参照)。
- script.jsファイルを編集モードで開きます。
- 以下の「Capture ticket deflection event」コードを、Templating API v1の場合は
$(document).ready(function() { ... });
ブロックに、Templating API v2の場合はdocument.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
ブロックに貼り付けてください。// Capture ticket deflection event var requestForm = document.querySelector("#new_request") if (requestForm) { requestForm.addEventListener('click', function(e) { if (e.target.matches('.searchbox-suggestions a')) { ga('send', 'event', 'Ticket Deflection', 'Deflect', e.target.href); } }); }
カスタマーが記事の候補をクリックするたびに、イベントが記録されます。このトラッキングコードでは、記事の候補の一覧から選択された記事もキャプチャします。
- 「保存」をクリックし、「変更を公開」をクリックします。
- イベントの追跡が機能していることを確認します。ヘルプセンターで、「チケットの送信」ページにある記事の候補を複数、クリックします。Googleアナリティクスのダッシュボードで、「標準レポート」>「リアルタイム」>「イベント」の順に選択し、イベントがキャプチャされていることを確認します。
得られた情報をもとに、サポートリクエストを送信しようとするカスタマーが最もよく選択する記事を特定します。その記事をヘルプセンターで宣伝することで、より注目を集めることができるかもしれません。
コミュニティ投稿の削減に貢献したイベントを追跡するには
- Guideで、テーマのコードを編集します(「ヘルプセンターテーマの編集」を参照)。
- script.jsファイルを編集モードで開きます。
- 以下の「Community Ticket Deflection event」コードを、Templating API v1の場合は
$(document).ready(function() { ... });
ブロックに、Templating API v2の場合はdocument.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
ブロックに貼り付けてください。Array.prototype.forEach.call(document.querySelectorAll('.new_community_post'), function(el) { el.addEventListener('click', function(e) { if (e.target.matches('.searchbox-suggestions a')) { ga('send', 'event', 'Community Ticket Deflection', 'Deflect', e.target.href); } }) });
カスタマーがおすすめの投稿をクリックするたびに、イベントが記録されます。このトラッキングコードは、おすすめの投稿の一覧から選択された投稿もキャプチャします。
- 「保存」をクリックし、「変更を公開」をクリックします。
- イベントの追跡が機能していることを確認します。ヘルプセンターで、「新規投稿」ページにあるおすすめの投稿をいくつかクリックします。Googleアナリティクスのダッシュボードで、「標準レポート」>「リアルタイム」>「イベント」の順に選択し、イベントがキャプチャされていることを確認します。
記事をソーシャルネットワークで共有するカスタマーがいるか?
ソーシャルネットワークでカスタマーがどのように記事を共有しているか、キャプチャすることができます。具体的には、ある記事内にあるソーシャルネットワークの共有リンクをカスタマーがクリックするたびに、その様子を追跡することができます。
このメトリックを利用すると、カスタマーが好むソーシャルメディアのチャネルについて理解が深まるばかりでなく、ヘルプセンターの記事のバイラリティーを把握することができます。
共有コンポーネントの{{share}}を、ヘルプセンターのテーマの記事テンプレートに含める必要があります。このコンポーネントは、デフォルトでは、「質問バスターズ」や「縁の下の力持ち」のテーマには含まれていません。記事のテンプレートに{{share}}コンポーネントがない場合や、削除してしまった場合は、このコンポーネントをテンプレートに追加します。「HTMLのカスタマイズ」を参照してください。
Googleアナリティクスでイベントの追跡を開始するには、ヘルプセンターのページにJavaScript(JS)コードをいくつか追加する必要があります。クリックなど、カスタマーの特定の操作を、JavaScriptが検出します。カスタマーの操作を検出すると、JavaScriptはそのイベントに関する情報をGoogleアナリティクスに送信します。
ソーシャルネットワークでの共有イベントを追跡するには
- Guideで、テーマのコードを編集します(「ヘルプセンターテーマの編集」を参照)。
- script.jsファイルを編集モードで開きます。
- 以下の「Social sharing tracking」コードを、Templating API v1の場合は
$(document).ready(function() { ... });
ブロックに、Templating API v2の場合はdocument.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
ブロックに貼り付けてください。Array.prototype.forEach.call(document.querySelectorAll('.share a'), function(el) { el.addEventListener('click', function(e) { var shareType = e.currentTarget.className.replace('share-', ''); var path = window.location.pathname; ga('send','event','Social Share', shareType, path); }) });
「type」パラメータは、FacebookやTwitter、LinkedIn、Google+などのソーシャルメディアのクリックをキャプチャします。「path」パラメータで、ユーザーが共有している記事のURLをキャプチャできます。
- 「保存」をクリックし、「変更を公開」をクリックします。
- イベントの追跡が機能していることを確認します。ヘルプセンターで、共有リンクを複数、クリックします。Googleアナリティクスのダッシュボードで、「標準レポート」>「リアルタイム」>「イベント」の順に選択し、イベントがキャプチャされていることを確認します。
ヘルプセンター内をカスタマーはどのように移動しているか?
ヘルプセンターでのカスタマーのアクションを時系列に把握できれば、セルフサービスにおけるカスタマーの行動や癖がわかります。Googleアナリティクスを利用すると、このようなイベントのフローを追跡することができます。
先に進む前に、これまで説明していなかった別の一般的な検索イベントについて、追跡の設定を行いましょう。
検索イベントの追跡の有効化
- Guideで、テーマのコードを編集します(「ヘルプセンターテーマの編集」を参照)。
- script.jsファイルを編集モードで開きます。
- 以下の「Capture search submit event」コードを、Templating API v1の場合は
$(document).ready(function() { ... });
ブロックに、Templating API v2の場合はdocument.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
ブロックに貼り付けてください。Array.prototype.forEach.call(document.querySelectorAll('form[role="search"]'), function(el) { el.addEventListener('submit', function(e) { query = e.currentTarget.querySelector('input[type="search"]').value.toLowerCase(); ga('send', 'event', 'Search', 'Submit', query); }) });
- 「保存」をクリックし、「変更を公開」をクリックします。
- イベントの追跡が機能していることを確認します。ヘルプセンターで、検索を何回か実行します。Googleアナリティクスのダッシュボードで、「標準レポート」>「リアルタイム」>「イベント」の順に選択し、イベントがキャプチャされていることを確認します。
ここで、追跡しているすべてのイベントを集約し、カスタマーのアクションを時系列に表示します。この記事のイベントをすべて追加してテストした場合は、Googleアナリティクスのイベントレポートに4つの異なるイベントカテゴリが表示されます。つまり、ユーザーごとに以下の各事象についてイベントが記録されます。
- ソーシャルメディアネットワークでの記事の共有
- 「リクエストを送信」ボタンのクリックによるチケットの作成
- 候補記事の選択とチケット送信の中止
- ヘルプセンター内の検索
よく使用されるイベントフローを特定するには
- Googleアナリティクスのダッシュボードで、「行動」>「イベント」>「イベントフロー」の順に選択します。
「イベントフロー」レポートには、ヘルプセンターでユーザーが行ったイベントの順序が表示されます。1番目の「イベント列」のいずれかのカテゴリをクリックし、2番目、3番目、4番目と、ユーザーの実行したイベントを順に確認します。たとえば、何人のユーザーがヘルプセンター内を検索し、「チケットの送信」をクリックし、チケットを作成せずに候補として表示された記事を選択したかを順番に確認することができます。
この記事で説明するイベントの追跡はこれですべてです。上記以外に有用と思われるイベントを追跡している方は、以下のコメント欄で情報をご提供ください。
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