このブラッシュアップセッションでは、チャットサポートについて、次の点を詳しく説明します。
顧客成功コンサルタントのSam Gervolinoは、2012年1月からZendeskに勤務しています。入社後3年間アカウントマネージャを務めた経験から、Samは製品ファミリおよび顧客のユースケースに関して多彩な知識を持っています。
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パート1:導入前に入念に準備する
チャットサポート戦略を提案したときに、「チャットサポートを提供したいのですが、どこから始めればいいのかわかりません」と答えるお客様が非常に目立ちます。新しいチャネル、特に平均初回返信時間わずか23秒のチャネルをロールアウトは、困難に思えるかもしれません。最初のセクションでは、チャットの実装を可能な限りシームレスかつ懸念なく行うために役立つ、いくつかの戦略について説明します。
導入場所の重要性
顧客がチャットサポートを始めたばかりなら、最初のうちはメンバーを少人数に抑えることです。これは、チャットサポートの導入先が小売業のチェックアウトページであるか、従業員ポータルの社内ヘルプデスクチームであるか、B2B企業の製品ラインナップの比較ページであるかを問わず、ほとんどのユースケースに適用できます。
そして、お気付きかもしれませんが、これらのユースケースには共通点があります。お気づきでしょうか?はい、そのとおりです! これら3つのユースケースはすべて、カスタマージャーニーにとって、ビジネス上重要なポイントです。つまりこれらのページにチャットを導入することで、チャネル間で満足度の最も高いサポート体験を提供するだけでなく、顧客が最も必要とするタイミングと場所でサポートを提供できるようになります。
アクセス
その他にも、初めてチャットチャネルをロールアウトするときに有効なテクニックとして、ユーザーベースの制限があります。場所によってサポート体験の提供を制限するのと同様に、ユーザーベースを制限することで、届くリクエストの数を制限することになり、前述のボリュームを処理できるほどスタッフがいない場合に負担が軽減されます。ZendeskのチャットウィジェットをWebサイトに埋め込む方法について詳しくは、こちらのヘルプセンター記事をご覧ください。
日常生活でよく目にする例としては、クレジットカード会社のサイトがあります。一般向けのWebサイトの閲覧中にはチャットオプションは表示されませんが、オンラインアカウントにログインするとすぐに、クリックするだけでカスタマーサービス担当者とチャットできるようになります。明らかに、カード会社は有料の顧客を尊重し、顧客が最も必要とするときに簡単にアクセスできるサポート体験を提供したいと考えています。ユーザータイプによるアクセス制限のもう1つの例は、Zendesk独自のSupport Advocateチームです。ライブチャットサポートはZendesk Support製品のすべてのお客様に提供されるわけではありませんが、正規のプランを契約中のアカウントについては、クリックするだけで製品内チャットサポートにアクセスできます。
今日のディスカッションの導入部をまとめると、チャットサポートの展開に心配はつきものですが、最初は小規模に開始し、顧客体験のビジネスクリティカルな領域に提供することで、チャットという必須チャネルで成功するための第一歩を踏み出すことができます。さらに、開始時にチャットサポートのプレゼンスを制限することで、ユーザーエンゲージメントをより簡単に監視でき、量や問題タイプの傾向が判明した時点で変更をより迅速に実装したり、時期が来るまで重要なエージェントリソースを他のチャンネルに回したりできます。何よりも、この新しいチャネルを最初はこわごわ導入したとしても、最後には両手を広げて歓迎したくなるでしょう。
製品やサービスの消費者の立場で考えたとき、ライブチャットが最も有益だと思うのはどのような場面ですか?大規模なサポート戦略の一環としてライブチャットを導入した場合は、貴社が「ハードル」を乗り越えた理由について、ヒントを教えてください。下のコメント欄から、ぜひご意見やフィードバックをお知らせください。
次に、このブラッシュアップシリーズのパート2で、実際のチャットチャネルの実装と、このプロセスの3つの重要な段階について説明します。
パート2:実装とワークフロー
チームがどこで、どの顧客層にライブチャットサポートを提供するかを決定したら、次は実装を行います。人によっては、チャネルの実装は、チャネルの提供先の決定よりもさらに困難に思えるかもしれません。それでは、実装の最も重要な3つの段階、つまりスタッフの要件の決定、エージェントのトレーニング、およびチャットワークフローの構築について説明しましょう。
スタッフの要件
「ところで、チャットチャネルを展開するとしたら、何人のエージェントを配置する必要がありますか?」これは、チャットサポートの戦略について顧客と話し合ったときに繰り返しきかれる質問です。固有の要件を考えると、組織ごとに若干異なることになりますが、Zendesk独自の 『Zendesk Chatの初めての使い方ガイド』を参考にして、以下の質問に答えてこの数字を見つけ出してください。
- チャット提供時間中に予測されるWebサイト訪問者数はどれくらいか?
- チャットはリアクティブかプロアクティブか?
- Webサイトで1日何時間チャットを提供するか?
- エージェントが1回のチャットに費やす時間(分)をどれくらいに設定するか?
- 1人のエージェントが同時に応対できるチャット数は何件か?
上記の質問に答え、その答えと同様に重要な既存の組織構造(休憩の回数やシフト制など)を考慮に入れることで、この冒頭の質問に対する答えを見つけることができます。
また、Zendeskが独自に開発した人員配置計算シート(英語)を使用して、人員配置のニーズを計算することもできます。このツールでは、現在の顧客エンゲージメントを考慮してチームのニーズを判断するだけでなく、ビジネスや戦略の進化に応じて将来の人員配置のニーズを予測できます。
エージェントのトレーニング
チームがチャットチャネルの人員配置のニーズを決定したら、次のステップは、製品やサービスだけでなく、チームのワークフローについてもトレーニングを行ないます。応答時間やエスカレーションについて、期待値を理解していますか。これは、オンボーディング中の新しいエージェントが自分自身のトレーニングに社内のナレッジベースポータルを活用する絶好の機会です。
スタッフのトレーニングは、製品やサービスに関する知識や社内手順だけでなく、一般的なチャットのエチケットについても行うべきです。チャットのやりとりは、メールによるリクエストほど正式ではないにせよ、家族のグループチャットほど非公式ではないことを考えると、適度な配慮が必要となります。エージェントがブランドイメージを損なわないように、よくあるやりとりにはZendesk Chat機能はショートカットを活用しましょう。Zendesk Supportアカウントのマクロと同様に、ショートカットは定義済みの応答です。これを使用すれば、エージェントがチャットの会話中に同じことを繰り返し入力しなくても済みます。それだけでなく、これら6つのベストプラクティスを参考にして、顧客の期待に応えられるようスタッフのトレーニング内容を検討してください。
最後に、満足度調査の評価とチャットの会話ログの確認をルーティン化し、既存のコンテンツを通じて共有されている知識と、チームが促進しているチャットのエチケットが確実に守られるようにします。Zendesk Supportアカウントで顧客満足度評価を有効にしている場合、評価を受けたチャットから作成されたチケットは、チケットが作成されたときに最新のチャット評価に更新されます。
チャットワークフロー
これまでに、チャットチャネルに適切な人数のエージェントを配置し、適切なサポートを行う方法についてトレーニングを実施しました。今度はワークフローがどのようになるかを考えてみましょう。この件については、小説を書けるほど話題がつきませんが、今回はトリガと営業時間という2つの分野を集中して取り上げます。
トリガ
チャットリクエストの量が増えるにつれて、チーム内で自動化が機能できるプロセスを整備することが重要です。そこで、Zendesk Chatのトリガを活用しましょう。Zendesk Supportアカウントのトリガと同様、Chatのトリガを使用して、着信チャットリクエストまたはユーザーに関する特定の条件が満たされたときに、自動的にアクションを実行できます。具体的には、トリガは、プリチャットフォームで収集した情報やユーザー情報に基づいてリクエストを特定の部門やチーム、または個別のエージェントに割り当てるための優れたメカニズムです。これにより、顧客のリクエストを、最も知識のあるエージェントに最短時間で割り当てることができます。
トリガのもう1つの重要機能は、自動化されたプロアクティブチャット体験を促す能力です。もしかして、「うーん、本当に効果あるの? 顧客からうっとうしいと思われない?」と思っていませんか。そんなことはありません。というのも、米国のオンライン消費者の44%以上が、オンラインリサーチ中または購入中にチャットに招待されることを好ましいと感じており、プロアクティブチャットに参加したユーザーの94%がその体験に多少なりとも満足しています。リサーチや購入のカスタマージャーニーの重要な段階で、ユーザーがこのチャット体験を歓迎するだけでなく、体験後の満足度も期待に応えたことを示しています。すぐに使いはじめられるように、ユーザー体験の重要な分岐点に実装可能なトリガの例を下記に示します。
営業時間
顧客の60%は、サポートで1分以上待たされることをいやがるため、チームがチャットに対応可能/不能になったときに、適切に周知することが重要です。この周知に使用できる重要なツールが、Zendesk Chatの営業時間です。
管理者が営業時間を有効にすると、設定した営業時間内にのみウィジェットをオンラインにすることができます。アカウント全体のスケジュールまたは部門スケジュールを選択できます。「部門スケジュール」では、1つの部門に複数のスケジュールを適用したり、複数の部門に同じ1つのスケジュールを適用したりできます。また、営業時間外にエージェントがあなたのアカウントにログインしても、ステータスは自動的に「非表示」に設定されるため、新しいチャットリクエストを受けることはありません。
チームがオフラインの時間帯にチャットウィジェットを訪れたユーザーに営業時間を表示したい場合は、「営業時間を表示」チェックボックスを選択します。まず、オフラインフォームが表示されるように設定されているか確認します(「設定」>「ウィジェット」>「フォーム」>「オフラインフォーム」)。
ほとんどの組織には営業時間があります。チャットサポートのエクスペリエンスでも同様に営業時間(受付時間)を設定しましょう。重要なのは、顧客がおおよその返信時間を予測できることです。
上記の実装戦略は、他のサポートチャネルを展開した手段と比較して、いかがでしょうか。また、以前にチャットチャネルを展開したことがある場合は、過去にさかのぼって何か変えたい点がありますか?下のコメント欄から、ぜひご意見やフィードバックをお知らせください。
このブラッシュアップシリーズのパート3では、新しいチャネルの有効性と、このチャネルの(近い将来の)成功を測定するために活用できるツールとテクニックについて説明します。
パート3:現状を正確に把握する
(1)ライブチャットを提供する場所と相手を決定し、(2)チャットチャネルにサポートスタッフを適切に配置し、(3)エージェントをトレーニングし、(4)チャットワークフローを構築しました。あとは座って、展開が成功するのを眺めていればいいのでしょうか?残念ながら、そうはいかないようです。ほとんどの大変な作業は完了していますが、最も重要な部分が現在進行中です。新しく導入したこのサポートチャネルの有効性を測定しています。このセクションでは、この演習を成功に導くためのツールとテクニックについて詳しく説明します。
Zendesk Chat分析
この新しいチャネルの成功を評価したい場合は、Zendesk Chatのネイティブレポート作成ツールを使用してください。チャット統計グラフでは、訪問者の待ち時間、応答時間、および所定の時間に対応したチャット件数を表示することで、繁忙期についての洞察を得ることができます。また、各測定基準の横にある上向き/下向きの矢印を使用して、対応中または未対応のチャット数などの測定基準を現在報告している前の期間と比較することもできます。
このレポートインターフェイスでは、「満足」および「不満」と評価されたチャットの割合と、「チャットタイミング」セクションではチャットの長さと、チャットを待機していた時間の内訳も確認できます。たとえば、チームでチャネルの配置やトリガを介したリクエストの自律的なルーティングに最近変更を加えた場合は、これらのレポートを確認して変更の有効性を評価してください。
アカウントの契約がPremiumプランの場合は、「エージェントレポート」タブにもアクセスできます。ここでは、「チャットレポート」タブの以前の測定基準と、所定の期間にログインしたエージェントの数を比較できます。また、「スタッフのパフォーマンスを比較し、「ランキング」タブを使用して結果を並べることもできます。個人のパフォーマンスは合計チャット対応時間に関連するため、特定のエージェントのパフォーマンスデータを掘り下げてレポートを作成したり、この同じ測定基準をより大きなエージェントの集団や特定の部門と比較したりすることもできます。分析ツールのこのエリアは、エージェントとのマンツーマンのセッション中、または定期パフォーマンスレビュー中に使用するのに最適なリソースです。
このネイティブツールから収集できる情報はたくさんあります。使い方については、当社のZendeskチャットチームによるベストプラクティスおよび作成済みのレポートレシピを参照してください。
Googleアナリティクスとコンバージョントラッキング
チャットサポート業務の成功を測定するもう1つの有用な手段として、Googleアナリティクスの使用が挙げられます。Googleアナリティクスをご存知でしょうか。これは、Webトラフィックや顧客理解の深化を図るために使用できる強力な分析製品スイートです。
Zendesk Chatの埋め込みスクリプトを使用すれば、イベントを自動的にGoogleアナリティクスに報告できます。詳しくは、こちらのヘルプセンターの記事で説明しています。その後、たとえば、訪問者がチャットウィジェットをクリックした回数といったアクションの測定を開始できます。さらに掘り下げて、対応したチャットセッション数ごと、または訪問者がチャットをリクエストした部門ごとにエージェントの内訳を表示できいます。
この新しいチャネルが実際にオンラインセールスのコンバージョン率を上げ、カートの放棄数を減らすかどうかについての懸念がチームにある場合は、Zendesk Chatのコンバージョントラッキングツールが役に立ちます。このヘルプセンターの記事では、URL目標の作成、チャットでのコンバージョンの表示、およびGoogleアナリティクスでのコンバージョンの測定方法について説明しています。
Zendesk Chatモニター
チャットチャネルにおけるチームのパフォーマンスと(予測可能な)成功をレポートする機能は非常に優れていますが、マネージャやチームリーダーが、チャット応対でリアルタイムに何が起きているか知りたい場合はどうすればよいでしょうか。これは、ネイティブの「チャットレポート」タブと「エージェントレポート」タブでは不可能です。しかし、Zendesk Chatモニターではそれが可能になりました。
このツールは、顧客の待ち時間、キューのサイズ、満足度、およびエージェントのアクティビティの概要を1つの画面にまとめて表示します。管理者は、重要度の高い測定基準をすぐ確認できるように、モニターに表示される統計をカスタマイズすることもできます。また、管理者またはエージェントとしてこのツールにアクセスすると、部門でフィルタリングする機能が表示されます。
このモニターがあれば、現在の需要を考慮して、チャネルに適切に人員を配置する際に、当て推量する必要がなくなります。マネージャーまたはチームリーダーは、手遅れになる前に、各チャネルに配置されたエージェントリソースを適宜増やしたり減らしたりできるようになりました。
パート3のテーマはレポーティングでしたが、他のサポートチャネルの成功をどのように評価し、この新しく導入したチャネルにどのように適用できるでしょうか。すでにチャットを使用している場合は、チームが成功を収めるために、他にどのようなツールを使用していますか?
ぜひ、コメント欄でチャットのコツを共有してください。