今日のカスタマーエクスペリエンス(CX)のリーダーは、カスタマーに充実したエクスペリエンスを提供するさまざまな方法に注目していますが、多くの場合、その実現のためのチームの取り組みが効果的に行われているかどうかは可視化されていません。チケットの処理量や平均処理時間(AHT)、初回応答時間(FRT)などのチケット関連のパフォーマンスを示すメトリックは、全体の一部でしかなく、これらのメトリックでは、エージェントがどれだけ時間を効率的に使っているかを可視化することはできません。この記事では、CXチームのスーパーバイザーがこの点をより明確にする方法について説明します。
この記事では、稼働率とは何か、どのように計算されるのか、なぜ稼働率を知ることが有用なのかを説明します。Zendeskのワークフォースマネジメント(WFM)ツールであるTymeshiftを使用することで、エージェントのアクティビティをグラフィックで表し、正確に追跡することで稼働率を把握する方法を学びます。
稼働率および計算方法
稼働率とは、エージェントが生産的なアクティビティに費やす労働時間のことです。これは、もう一つのよく知られたメトリックであるエージェントの利用率とは異なります。エージェントの利用率は、エージェントが生産的なタスクに費やす時間の合計であり、チームのキャパシティを判断するために使用されます。対照的に、稼働率はエージェントの生産性を判断するために使用されます。
- エージェントは、週5日、午前9時から午後5時まで勤務する。
- チケット管理やその他の生産的なアクティビティに週30時間費やす。
- 毎日30分の昼食休憩をとる。
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エージェントの利用率 = (生産的な処理時間 ÷ 合計勤務時間)× 100%
生産的な処理時間 = 30時間
合計勤務時間 = 5日 x 8時間 = 40時間/週
エージェントの利用率 = (30時間 ÷ 40時間)× 100% = 75%
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エージェントの稼働率 =(生産的な処理時間 ÷ 合計勤務時間)
生産的な処理時間 = 30時間
合計勤務時間 = 40時間 -(5日 × 0.5時間)= 37.5時間/週
エージェントの稼働率=30時間 ÷ 37.5時間=80%
稼働率が高いことは一般的には良い傾向ですが、エージェントの燃え尽きやサービスの質の低下につながる可能性があるため、稼働率があまり高くならないようにすることが重要です。効率性とサービスの質の両方を確保するには、バランスを取る必要があります。業界のベストプラクティスでは、75~85%の稼働率を目標にすることが推奨されています。
稼働率の計算方法を理解したので、次は、稼働率を把握することが有用な理由を検討してみましょう。
稼働率を把握することが有用な理由
稼働率を把握することはエージェントの生産性の指標となるだけでなく、以下のようにさまざまな利点があります。
- 報酬や表彰の授与に値する生産性に優れたエージェント
- 生産性が低く、特別トレーニングやコーチングが有効なエージェント
- 疲弊して燃え尽きるリスクがあり、休息や仕事量の再分配が必要なエージェント
エージェントによってパフォーマンスに差があることを理解する:
- 新入社員と経験豊富な同僚との比較
- オフィス勤務者とリモートスタッフとの比較
- ビジネスプロセスアウトソーサー(BPO)と社内チームの比較
稼働率の把握は、全体として、振り分けた仕事の負担の改善、エージェントの効率改善、チームのスキル向上へとつながります。また、スケジューリングや精度の高い予測作成など、情報に基づいた人材調整の決定にも役立ちます。最終的には、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供し、カスタマー満足度、ロイヤルティ、収益の向上につながるはずです。
稼働率を把握することの意義を認識できたので、次は、Zendeskでエージェントの時間の使用状況を視覚的にすばやく把握する方法を説明します。
エージェントの時間の使い方をグラフィックで表す
カスタマーエクスペリエンス部門のマネージャーが、エージェントが取り組んでいるアクティビティや、未追跡時間の存在を明確に把握することは、以前は手間取ることもありました。現在では、Tymeshiftの「エージェントのアクティビティ」ページでこうした情報を確認することができます。
上の例は、ティア1チームエージェントの1日の仕事の様子を示しています。各エージェントはそれぞれ異なる時間帯にシフトを開始し、シフト中はさまざまなタスクを処理します。同じ種類のタスクを簡単に識別できるよう、情報を色分けしています。
エージェントの1人、コーラについて詳しく見てみましょう。
コーラのアクティビティ内訳の下には、彼女が作業する予定だったアクティビティと、スケジュール(スケジュールは定義が必要)、Talkのステータス、「生産性」タイムラインが表示されます。「生産性」タイムラインには、チケットを割り当てられたとき、チケットに何らかの作業を行ったとき、チケットを解決したときなど、1日のうちの重要なポイントが青い縦線で示されています。
右側には、コーラがこの期間に費やしてきた時間の概要も表示され、給与の対象時間と対象外時間に分けられ、青い縦線で示されたポイントのメトリックに基づいた生産性の内訳が表示されます。
「エージェントのアクティビティ」ページは、コーラの1日の仕事の内訳をすばやく見るのに便利ですが、その背後にあるメトリックを確認できると便利です。メトリックは、過去の「エージェントアクティビティ」システムレポートテンプレートを開き、コーラを検索することで確認できます。
このセクションでは、CXチームのマネージャーがエージェントの時間の使い方をどのように視覚的に表現できるかを説明しました。次のセクションでは、その視覚化の方法について説明します。
エージェントが取り組んでいるアクティビティを追跡する
- 複数のメール、チャット、音声通話、ソーシャルメディア、メッセージングチケットを処理する
- ミーティングに参加する
- 休憩を取る
- 昼食に行く
- 他のメンバーにコーチングをする
- 品質保証
- トレーニングを受ける
- 知識を共有化する
この他にも、カスタマーサポートの業務内容に応じて、さまざまなタスクが考えられます。
Tymeshiftのインストール後から、チケット処理に関するアクティビティはすべてバックグラウンドで自動的に追跡されます(エージェントがブラウザのタブを切り替える場合でも)。このアプローチにより、エージェントがチケット処理の追跡に無駄な時間を費やす必要がなくなり、チケット処理関連のすべてのアクティビティが正確に追跡されるようになります。
上記の例では、Tymeshiftのサイドバーアプリによって、このエージェントがチケット39に費やした14秒が自動的に追跡されています。
チケット処理以外の一般タスクも把握できますが、自動的に追跡する方法がないため、Tymeshift環境で定義し、サイドバーアプリを使ってエージェントが手動で追跡する必要があります。
一般タスクを定義する際に、「エージェントのアクティビティ」ページで各タスクに個別の色を割り当てて、タスクの識別が簡単にできるようにすることができます。一般タスクをすべてのグループまたは特定のグループで利用できるようにしたり、稼働率や生産性のメトリックに反映させるかどうかを定義したり、これらのタスクが使用されたときにTalkにどのようなステータスを設定するかを定義することができます。
稼働率から除外される一般タスクは、通常、昼食のような給与対象外とされるアクティビティです。ただし、チケット処理に相当するタスクなど、生産的時間として見なされる一般的なタスクとして、品質保証やトレーニング、コーチングなどがあります。
これらの一般タスクを定義した後に、エージェントはTymeshiftのサイドバーアプリから手動で選択し、これらのアクティビティを追跡することができるようになります。
この画像は、エージェントがこれまでに13秒間休憩を取ったことを示しています。
このセクションでは、エージェントがアクティビティを追跡する方法と、ビジネスのニーズに合わせてカスタムアクティビティを定義する方法について説明しました。次のセクションでは、エージェントの現在のステータス情報をグラフィックで表現する方法について説明します。
エージェントの現在のステータスをグラフィックで表現する
先に説明した「エージェントのアクティビティ」ページには、エージェントが日中に実行したタスクがグラフィックで表されます。しかし、エージェントが現在行なっているアクティビティなど、エージェントの現在のステータスを簡単に確認したい場合はどうすればよいでしょうか?「エージェントのステータス」ページでは、関連付けられたチケット番号(関連する場合)やエージェントがそのアクティビティを実行している時間と共に、このステータス情報を確認することができます。
エージェントが行っているアクティビティは、通常、特定のワークストリーム、または特定の条件を満たすチケットのセットに関連しています。以下に例を示します。
スケジュールが定義されている場合、エージェントがスケジュールどおりに仕事をしているか(遵守)、それ以外のことを行っているか(不遵守)、またその状態がどのくらい続いているかを示すスケジュール遵守のメトリックを確認できます。
これまでのセクションでは、エージェントのアクティビティの追跡方法、「エージェントのアクティビティ」ページでのアクティビティの内訳の確認、「エージェントのステータス」ページでのエージェントの現在のアクティビティを確認する方法について見てきました。次のセクションでは、エージェントが記録したアクティビティの時間をグラフィックで表す方法について説明します。
エージェントの勤務時間をグラフィックで表す
「エージェントの勤務時間」ページには、エージェントが登録した勤務時間の合計とアクティビティの時間の内訳が表示されます。表示されるデータには、給与対象外の休憩時間、遅刻、早退、残業、計画的休暇および計画外休暇、稼働率などがあります。
定義されているスケジュールがあれば、エージェントがスケジュールどおりに現在働いているかどうかも確認できます。遅刻、早退、残業などのメトリックを記録するためにもスケジュールが必要です。
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稼働率 = (生産的な処理時間 ÷ 合計勤務時間)× 100 %
生産的な処理時間 = チケット処理時間 + 生産的時間として登録された一般タスクの時間
合計勤務時間 = 総ログイン時間 - 非稼働として登録された一般タスクの時間
まとめ
この記事の内容
- 稼働率の概念と計算方法 — 生産的なタスクに費やされた勤務時間時間の割合)
- 稼働率とエージェントの利用率の違い — 稼働率はエージェントの生産性の指標であり、エージェントの利用率はチームのキャパシティの指標である
- 稼働率を理解することで、報酬やサポートが必要なエージェントを特定し、チームのパフォーマンスを比較することで、チームのパフォーマンスを向上させることができる
- Zendeskでエージェントのアクティビティ全体の内訳をグラフィックで表し、エージェントが何に時間を費やしているかを確認する方法
- Tymeshiftアプリを使用することで、エージェントの負担を最小限に抑えながら、エージェントのすべてのアクティビティを正確に追跡でき、一般タスクの柔軟性により、ビジネスのニーズに合わせたカスタマイズが容易である
- エージェントの現在のステータスや勤務時間を稼働率と共に確認する方法
これらの概念を理解し、これらの機能を利用することで、CX部門のマネージャーは、カスタマーエクスペリエンスの向上という目標を実現するためにチームがどれだけ効果的に働いているか、また、どの領域をどのように改善すればよいかを明確に把握することができます。