エージェントの統合ステータスを使うオムニチャネルルーティングでは、メール(Webフォーム、サイドカンバセーションおよびAPIによるものも含む)、コール、メッセージングを、エージェントの空き状況やキャパシティに基づいてエージェントに振り分けることができます。Professionalプラン以上では、優先度とスキルに基づいてチケットをルーティングすることもできます。つまり、オムニチャネルルーティングを使用すると、エージェントはすべてのチャネルに対して1つの統合されたステータスを設定することができ、重要なチケットは最も手の空いているエージェントに割り当てられることになります。この方法には次のような利点があります。
- エージェントがチケットに迅速に対応できる
- コールに対応するなど、価値の高いカスタマーからの仕事を優先させることができる
- エージェントは自動的にチケットを割り当てられるため、チケットを探す必要がない
- エージェントにチケットを「えり好み」されないようにできる
- エージェントは複数のチケットチャネルを同時に処理できる
- 発信者の国番号やその他の属性に基づいて、特定のエージェントグループにコールをルーティングできる
キャパシティルールを使用すれば、エージェントに一度に割り当てられる作業量を制限することができます。ただし、これらのルールに関係なく、エージェントが希望すれば、これらの制限を超える仕事を自分で割り当てることができます(「エージェントの仕事量を平準化するキャパシティルールの作成」を参照)。
オムニチャネルルーティングでは、エージェントがチャネルごとに個別にステータスを設定するのではなく、Support、Talk、メッセージングに共通の統合ステータスを設定することができます。Professionalプラン以上では、管理者は「ランチタイム」「会議中」など、独自のステータスを定義することも可能です。 これは、エージェントのステータスとキャパシティに基づいて処理アイテム(コール、チケット、メッセージ)をルーティングする方法を決める際に役立ちます。詳しくは、「エージェントの統合ステータスの追加」を参照してください。
オムニチャネルルーティングを使用するには、オンにして設定する必要があります。使用を中止する場合は、この機能をオフにすることができます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
オムニチャネルルーティングの要件と制限事項
オムニチャネルルーティングを使用するにはいくつかの要件があり、また機能を有効にする前に考慮すべき制限事項もいくつかあります。
要件
- アカウントでエージェントワークスペースがアクティブになっている。
- アカウントにChatサブスクリプションが含まれている場合、ネイティブのメッセージングまたはSunshine Conversationsがアクティブになっていることも必要です。
- オンラインチャット使用中にオムニチャネルルーティングを有効にするには、メッセージングを有効にする必要があります。Chatの限定サポートは、メッセージングおよびオムニチャネルルーティングに移行するアカウントに提供されます。
制限事項
エージェントの統合ステータスを使用するオムニチャネルルーティングには、現在以下の制限があります。
- オンラインチャットのみを使用している場合は、オムニチャネルルーティングはアクティブにできません。さらに、メッセージングがアクティブになっていることが必要です。
- メッセージングの一斉送信モードおよび割り当て制限解除モードはサポートされていません。
- フォーカスモードはサポートされません。
- メッセージの割り当てを頻繁に拒むエージェントに対してステータスを設定する機能(自動アイドル)はサポートされていません。
- エージェントのステータス機能では、営業時間に合わせて自動的にエージェントのステータスが設定されることはありません。
- ライトエージェントは、チケットを割り当てられず、ステータスも設定できません。
- Talkダッシュボード、モバイルアプリ、またはTalk APIを使用してTalkエージェントのステータスを変更する機能はサポートされていません。Talk APIを使用してエージェントのステータスを変更するインテグレーションも影響を受ける可能性があります。
- すべてのチャネルで、カスタムキューを使用して、セカンダリまたはフォールバックルーティングオプションの設定を含め一度に複数のグループにチケットをルーティングすることができます。
- キューに入ったすべてのコールについて、ただちにチケットが作成されます。「放棄呼にチケットを作成しますか?」の設定は利用できなくなりました。
ヒント:放棄呼から作成されたチケットを自動終了するワークフローを作成できます。
- コール転送が有効になっていて、エージェントが切断されたためにステータスが自動的にオフラインに設定された場合、そのエージェントへのコールは他のエージェントの電話機に転送されません。
- Exploreダッシュボードには、チャネルごとのエージェントステータスが表示されますが、統合されたカスタムステータスは表示されません。
- オムニチャネルルーティングがアクティブにされると、エージェントのステータスは最初に自動的にオフラインに設定され、その後、エージェント自身がステータスを設定するように求められます。
- Talkで優先電話番号を設定した場合、コールチケットには「高」の優先順位が割り当てられますが、必ずしもただちにキューの先頭に置かれるわけではありません。
- Talk Partner Editionはサポートされません。Talk Partner Editionのコールをルーティングする方法は、ご利用のインテグレーションにより異なります。
オムニチャネルルーティングの仕組み
オムニチャネルルーティングを使用すると、すべての作業チャネルで受信時にチケットが生成され、それらのチケットに対してトリガを実行することができます。これには、着信コールも含まれます。つまり、作業チャネルは「メール」(メール、Webフォーム、サイドカンバセーション、APIから生成されたチケットを含む)、「メッセージング」(Chatからのチケットを含むこともある)、「Talk」とラベル付けされています。メールチケットは、ルーティングタグが追加された後にのみオムニチャネルルーティングのキューに入ります。メッセージング会話とコールは、受信するとすぐにキューに入ります。
オムニチャネルルーティングがエージェントへ仕事を割り当てる条件として、以下のものがあります。
- キュー:チケットが入るオムニチャネルルーティングのキューによって定義されます。キューの割り当てによって、各チケットに割り当てることができるエージェントのグループが決まります。
- 空き状況:エージェントがチャネル間で設定する1つの統合ステータスによって定義されます。
- 各ワークチャネルのキャパシティ:各チャネルの最大キャパシティを定義し、どのチケットがルーティングの対象となるかを決めておきます。
- スキル:エージェントとチケットに割り当てられたスキルによって定義され、すべてのチャネルに適用されます。
次に、トリガを使用して、チケットをグループに割り当て、チケットの優先度を割り当て、タグをチケットに追加します。チケットに対してトリガが実行された後、オムニチャネルルーティングキューが評価され、条件を満たす最初のキューにチケットが入れられます。カスタムキューを設定しない場合、すべてのチケットは1つの標準キューに追加されます。
チケットがエージェントに割り当てられた後、そのチケットはオムニチャネルルーティングのキューから削除されます。
次の表に、チケットがエージェントにルーティングされる流れを示します。
プラン | チケットがルーティングされる順番 |
---|---|
Suite TeamおよびGrowth |
チケットは、キューに入った順番にエージェントに割り当てられます。 |
Suite ProfessionalおよびEnterprise |
優先度が最も高く、最も古いルーティング対象タイムスタンプを持つチケットは、割り当てられたグループ内で、必要なスキル(使用されている場合)、適格なステータス、および最もキャパシティに余裕のあるエージェントにルーティングされます。 |
具体的には、チケットは以下に基づいてエージェントに割り当てられます。
- チケットのグループ:
- オムニチャネルルーティングでルーティングを行うには、チケットがグループに割り当てられている必要があります。
- カスタムキューは、オムニチャネルルーティングで複数のエージェントグループに作業をルーティングするために使用できます。
- カスタムキューを使用すると、最初にメイングループのエージェントに仕事が割り当てられます。チケットがキューの先頭に到達したときに、それらのグループに対応可能なエージェントがいない場合、オムニチャネルルーティングは、セカンダリグループまたは「フォールバック」グループで利用可能なエージェントを探します。
- エージェントが複数のキューから作業を受け取ることができる場合、オムニチャネルルーティングは、最も優先順位の高いキューから順に作業を割り当てます。
詳しくは「オムニチャネルルーティングキューについて」を参照してください。
- チャネルでのエージェントのステータス:
- メールチケット:メールでチケットを受け取るエージェントは、ステータスが「オンライン」または「離席中」である必要があります。
- メッセージングの会話:エージェントがメッセージチケットを受け取るには、ステータスが「オンライン」である必要があります。詳しくは「オムニチャネルルーティングの使用時のエージェントステータスの設定」を参照してください。
- コール:着信コールのチケットを受け取るエージェントは、ステータスが「オンライン」である必要があります。
エージェントがステータスを「オフライン」に設定するのを忘れた場合、次のいずれかのイベントが検出されると、管理者による定義に従ってエージェントのステータスが自動的に「オフライン」または「離席中」に設定されます。
- エージェントがサインアウトせずにエージェントワークスペースを閉じた(コンピュータまたはブラウザウィンドウを閉じたり、コンピュータをスリープさせた場合)
- ネットワーク障害により、エージェントの接続が失われた
- 管理者が定義したアイドルステータスのしきい値よりも長い時間、エージェントがアイドルステータスにある
詳しくは「オムニチャネルルーティング使用時のエージェントの統合ステータスの設定」を参照してください。
- そのチャネルを担当するエージェントのキャパシティ:
- エージェントには、そのチャネルの予備キャパシティとして定義された最大キャパシティよりも少ない量の、オープンチケットやメッセージングの会話を割り当てるようにする必要があります。詳しくは「エージェントの仕事量を平準化するキャパシティルールの作成」を参照してください。
- 適格なステータスにあり、キャパシティのあるエージェントが複数いる場合、そのチャネルで一番キャパシティのあるエージェントに割り当てられます。
- 適格なステータスにあり、該当するチャネルのキャパシティが同じエージェントが複数いる場合は、チケットを割り当てられていない時間が最も長いエージェントにチケットが割り当てられます。
- 非アクティブなメッセージングチケット(10分以上返信なし)を割り当てるには、エージェントのキャパシティに余力があることが必要です。非アクティブなメッセージングチケットがエージェントのキャパシティにカウントされるかどうかは、ルーティング設定によって異なります。
- エージェントのスキル:
- エージェントは、該当するステータスと予備のキャパシティがあることに加え、チケットと同じスキルを持つことが必要です。
- スキルのタイムアウトを選択した場合、チケットがキューの先頭に到達した後で、要件に合致するスキルを持つエージェントが指定された時間内に対応できない場合、チケットはスキルに関係なく割り当てられます。このオプションが選択されていない場合、要件に合致するスキルを持つエージェントが対応可能になるか、コールがキュー内の最大時間に達してボイスメールに送信されるまで、チケットはキューに留まります。
オムニチャネルルーティングのシナリオの一例を紹介します。
- 重要なVIPエンドユーザーに、解決しなければならない緊急の問題が生じました。
- VIPエンドユーザーは、メールチャネルを使用してチケットを送信します。
- アカウント管理者は、これらのチケットにオートルーティングタグを追加して、グループ、優先度、およびスキルを割り当てるトリガを設定しています。
- トリガが起動した後、エンドユーザーのチケットがオムニチャネルルーティングキューに照合され、チケットの優先度である「緊急」と、ルーティング対象タイムスタンプに基づいてキューに入れられます。
- オムニチャネルルーティングが、エージェントのスキル、ステータスおよびキャパシティに基づいてチケットのルーティング先を評価します。
- ルーティングシステムは、まず、3人のエージェントが対応可能であることを理解します。
- 次に、エージェントのうち2人がチケットに必要なスキル(ドイツ語)を持っていることを特定します。
- 最後に、この2人のエージェントのうち、メールのキャパシティが多い方のエージェントを検出し、そのエージェントにチケットを割り当てます。
オムニチャネルルーティングでのメッセージとコールの再割り当て
メッセージングの会話やコールでは、迅速な応答が求められます。そのため、オムニチャネルルーティングでは、それぞれに特別な再割り当てロジックが用意されています。
メッセージングの会話とチャットを再割り当てする
再割り当てのタイミングでは、元のエージェントが特定の時間しきい値内に作業を受け入れない場合、グループ内の別のエージェントにメッセージやチャットを再割り当てすることができます。デフォルトのしきい値は30秒です。Enterprise以上のプランでは、このしきい値をカスタマイズできます。
設定された時間内にメールへの対応がなかったときに自動的にメッセージを再割り当てするには、再割り当てのタイミングの設定をセットアップ時にオンにする必要があります。この設定が有効にされてないと、ルーティングエンジンは同じエージェントに割り当てを試行し続けることになります。
着信コールを再割り当てする
コールを受けたエージェントは、コールに応答するか拒否するかを選択できます。エージェントがコールを拒否したり、30秒以内に応答しなかった場合、コールはキューに戻され、別の対応可能なエージェントに割り当てられます。このコールは、キューの最大待ち時間に達するまで、対応可能なエージェントにラウンドロビン方式でルーティングされ続けます。コールにスキルベースルーティングを使用する場合は、スキルタイムアウト設定を活用して、一致するスキルを持たないエージェントへ必要に応じてコールを「オーバーフロー」させることができます。
- 作成されてからの時間数 > (カレンダー)より小さい >1
- ステータス > より小さい > 解決済み
- チャネル > = > 電話(着信)
コール終了後、コールによって生成されたチケットはオムニチャネルルーティングキューから削除されます。コールの終了後、エージェントがチケットにさらに情報を追加する必要がある場合、検索またはビューを使用して手動でチケットを見つける必要があります。
機能の概要
オムニチャネルルーティングの範囲は広いため、ここでは簡単な機能のリファレンスを示します。
オムニチャネルルーティングでサポートされるチャネル
大まかに述べれば、オムニチャネルルーティングは、メール、メッセージング、およびコールからのチケットをルーティングするために使用することができます。しかし、ビジネスルールでは、これらのチケットのカテゴリはvia
タイプに分けられます。以下のリストは、管理センターのビジネスルール条件で表示される、サポートされている経由タイプ(「チャネル」と呼ばれる)を示しています。
- メールアドレス
- Webフォーム
- Webサービス(API)
- 終了済みチケット
- チケット共有
- Facebookの投稿
- X(旧Twitter)
- Web Widget
- モバイルSDK
- サイドカンバセーション
- 統合
- 任意のチャネル
- ネイティブメッセージング
- LINE
- SMS
- Facebook Messenger
- Telegram
- X(旧Twitter)ダイレクトメッセージ
- Google RCS
- Apple Messages for Business
- Google Business Messages
- カカオトーク
- Instagram Direct Messenger
- Sunshine Conversations API
- Chat
- 電話(着信)
- 電話(発信)
プランごとの機能の概要
オムニチャネルルーティング機能の対応状況は、プランレベルによって異なります。以下は、Zendesk Suiteのプランレベル、またはすべての個別製品のプランレベルに適用されます。
Team | Growth | Professional | Enterprise |
---|---|---|---|
メール、メッセージング、コールのチケットのルーティング |
メール、メッセージング、コールのチケットのルーティング |
メール、メッセージング、コールのチケットのルーティング |
メール、メッセージング、コールのチケットのルーティング |
キャパシティとエージェントステータスに基づくルーティング |
キャパシティとエージェントステータスに基づくルーティング |
キャパシティとエージェントステータス、スキルに基づくルーティング |
キャパシティとエージェントステータス、スキルに基づくルーティング |
デフォルトのエージェントの統合ステータス |
デフォルトのエージェントの統合ステータス |
デフォルトのエージェントの統合ステータス |
デフォルトのエージェントの統合ステータス |
オムニチャネルルーティングのカスタムキュー | オムニチャネルルーティングのカスタムキュー | オムニチャネルルーティングのカスタムキュー | オムニチャネルルーティングのカスタムキュー |
優先度に基づくルーティング |
優先度に基づくルーティング |
||
最大5個のカスタムステータス |
最大100個のカスタムステータス |
||
メッセージの再割り当て |
カスタマイズ可能な再割り当てタイミング |
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