SLAに正確なメトリックデータが含まれていても、間違ったステータスで保存されることがまれにあります。たとえば、既存のスケジュールが変更された場合などです。変更前にアクティブだったチケットは、データが分割された状態になる可能性があります。SLAステータスとバッジには引き続き元のスケジュールが使用されますが、期間のメトリックには更新されたスケジュールが使用されます。
このレシピを使用して、代替SLAメトリックを作成します。これらのメトリックは、ステータスではなく期間を使用して、チケットが達成または違反になるタイミングを決定します。
ほとんどのチケットには、ネイティブメトリックが機能する正確なステータスを持つ正確なSLAデータが含まれることになります。これらの代替メトリックが必要になるのは、ごくまれなケースです。これらの代替手段を使用することで、SLAが間違ったステータスで保存された場合に正確なレポートを取得できます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
必要条件
スキルレベル:上級
所要時間:30~40分
- Zendesk Explore ProfessionalまたはEnterprise
- 編集者または管理者レベルの権限(「ユーザーへのExploreアクセス権限の付与」を参照してください)
- Zendesk SupportのSLAデータ
ユーザー定義メトリックと属性の作成
このセクションでは、まずSLA目標と完了までにかかった時間との差を求めるメトリックについて説明します。その差は、計算済みの属性で使用され、達成と違反にラベル付けされます。
標準ユーザー定義メトリック
- Exploreで、レポートアイコン()をクリックします。
- レポートライブラリで、「新規レポート」をクリックします。
- 「データセットを選択」ページで、「サポート」 > 「サポート - SLA」を選択し、「レポートを開始」をクリックします。レポートビルダーが開きます。
- 「計算」メニュー()を開き、「標準ユーザー定義メトリック」をクリックします。
- 新しいメトリックに「代替:SLA違反時間」という名前をつけます。
- 「式」フィールドに、以下を入力します。
VALUE(SLA metric completion time (min)) - VALUE(SLA metric target time (min))
- 「保存」をクリックします。
「SLAメトリック完了時間(分)」は、チケットでSLAメトリックがアクティブになっていた合計時間です。「SLAメトリック目標時間(分)」は、SLA目標です。詳しくは、「Zendesk Supportのメトリックと属性」を参照してください。
標準ユーザー定義属性
- レポートビルダーで、「計算」メニュー()を開き、「標準ユーザー定義属性」をクリックします。
- 新しい属性に「代替:SLA目標ステータス」という名前をつけます。
- 「式」フィールドに、以下を入力します。
IF VALUE(SLA metric completion time (min))
- VALUE(SLA metric target time (min))>=0
THEN "Breached" ELIF VALUE(SLA metric completion time (min))
- VALUE(SLA metric target time (min))<0
THEN "Achieved" ELSE "Unknown"
ENDIF - 「保存」をクリックします。
以下に、メトリックのしくみを説明するための簡単な例を示します。
SLAポリシーの目標は30分です。チケットAは60分後に処理が完了しました。チケットBは15分後に処理が完了しました。
- SLAメトリック目標時間(分)の値は、両方のチケットで30です。
- チケットAのSLAメトリック完了時間(分)の値は60です。このメトリックは「60 - 30」と計算され、30という結果が得られます。この結果は0より大きいため、属性は違反が返されます。
- チケットBのSLAメトリック完了時間(分)の値は15です。このメトリックは「15 - 30」と計算され、結果は-15になります。この結果は0より小さいため、属性は達成が返されます。
属性を使用して代替SLAメトリックを作成する
ユーザー定義属性は、ネイティブのSLA目標ステータス属性を使用する場所であればどこでも使用できます。このレシピでは、達成チケットと違反チケットのカウント、および達成の割合(%)のメトリックについて説明します。
達成チケットのメトリック
- Exploreで、レポートアイコン()をクリックします。
- レポートライブラリで、「新規レポート」をクリックします。
- 「データセットを選択」ページで、「サポート」 > 「サポート - SLA」データセットをクリックし、「レポートを開始」を選択します。レポートビルダーが開きます。
- 「計算」メニュー()を開き、「標準ユーザー定義メトリック」をクリックします。
- 新しいメトリックに「代替:SLA達成チケット」という名前をつけます。
- 「式」フィールドに、以下を入力します。
IF [Alternate: SLA target status] = "Achieved"
THEN [Ticket ID]
ENDIF - 「保存」をクリックします。
違反チケットのメトリック
- レポートビルダーで、「計算」メニュー()を開き、「標準ユーザー定義メトリック」をクリックします。
- 新しいメトリックに「代替:違反したSLAチケット」という名前をつけます。
- 「式」フィールドに、以下を入力します。
IF [Alternate: SLA target status] = "Breached"
THEN [Ticket ID]
ENDIF - 「保存」をクリックします。
達成の割合(%)のメトリック
- レポートビルダーで、「計算」メニュー()を開き、「標準ユーザー定義メトリック」をクリックします。
- 新しいメトリックに「代替:SLA達成の割合(%)」という名前をつけます。
- 「式」フィールドに、以下を入力します。
COUNT(Alternate: Achieved SLA tickets)/
(COUNT(Alternate: Achieved SLA tickets)+COUNT(Alternate: Breached SLA tickets))- 計算に改行は必要ありません。メトリックを読みやすくするために挿入してあるだけです。
- 「標準ユーザー定義メトリック」ウィンドウで、「個別に計算」チェックボックスをオンにします。
- 「保存」をクリックします。
オプション:メトリックを保存したら、デフォルトの表示形式をパーセントに変更します。
- 「メトリック」の下で、「追加」をクリックし、「代替:SLA達成の割合(%)」メトリックを見つけます。
- 鉛筆アイコンをクリックして、編集するメトリックを開きます。
- 「標準ユーザー定義メトリック」ウィンドウで、右上のオプションの矢印をクリックし、「表示形式を編集」を選択します。
- 「表示形式」ウィンドウで、「%」を選択します。
- 左上の矢印をクリックして、メトリックに戻ります。
- 「保存」をクリックします。
ネイティブSLAメトリックと代替SLAメトリックの比較
これらの代替SLAメトリックは、次の2つの主な例外を除いて、ネイティブSLAメトリックと同じように機能します。
- 代替メトリックでは、アクティブなチケットはカウントされません。
- チケットが間違ったステータスで保存された場合でも、代替メトリックは正確な結果を返します。
以下に、ネイティブSLAメトリックと代替SLAメトリックの違いを示す2つのサンプルレポートを示します。このレポートには8件のチケットが含まれています。
- 6件の完了済みチケットがSLAを達成しました。
- 6件のうち2件が、誤ったステータスが保存されたエッジケースとなりました。
- 完了した1件のチケットがSLAに違反しました。
- 1件のアクティブなチケットがSLA目標を超えています。
青枠で囲まれている部分では、代替メトリックは6つの達成をすべてカウントし、アクティブなチケットは含まれません。赤枠で囲まれている部分では、ネイティブメトリックは、アクティブなチケットと両方のエッジケースチケットを違反としてカウントしています。
以下は、同じ8件のチケットを、ネイティブ属性値と代替属性値と共に表示したものです。
これは、2件のエッジケースが「達成」として「代替:SLA目標ステータス」行に表示され、アクティブなチケットは「不明」であることが分かります。これらのチケットはすべて、ネイティブの「SLA目標ステータス」属性の「違反」列にカウントされます。