Zendesk SuiteのZendesk Supportとチケット管理システムの機能には、管理者、エージェント、およびエンドユーザーが相互に通信し、チケット関連の情報を監視するのに役立ついくつかのコラボレーション機能が含まれています。この記事では、利用可能なコラボレーション機能について簡単に説明し、各機能をいつ使用するかについてのガイダンスを示します。また、これらの機能がどのように連携するかについての簡単な例も提供します。ライトエージェントとサイドカンバセーションに関する詳細なドキュメントについては、以下のそれぞれのセクションにある各リンク先を参照してください。
コラボレーションでは次の機能を利用できます。
- ライトエージェント:ライトエージェントは、付与される権限は限定的ですが、チケットに関する最新の状況を把握することができます。そして、求められた場合に、プライベートコメントを追加する形で、問題に関する専門知識やアドバイスを提供できます。
- サイドカンバセーション:サイドカンバセーションを使用すると、チケット内のメインの会話フローを中断することなく、社内外チームの人をチケットのコラボレーションに参加させることができます。
- CCとフォロワー:この機能により、ZendeskのチケットにCCとフォロワーの両方のフィールドを含めることができます。デフォルトでは、フォロワーはエージェント、ライトエージェント、または管理者です。CCは、エージェント、管理者、またはエンドユーザーになります。CCはメールと同じように機能します。CCのメンバーはエンドユーザーに公開されます。フォロワーはエンドユーザーには見えず、チケット更新通知を受け取ります。
この記事では、次のトピックについて説明します。
ライトエージェントを使用する場合
社内のすべてのZendesk Supportユーザーがエージェントの全機能を必要とすることはないので、使用可能な機能に制限がある「ライトエージェント」のロールを追加しました。ライトエージェントになったチームメンバーは、Supportへのアクセス、チケットの閲覧、社内メモの作成が可能です。
たとえば、通常エージェントは顧客の大抵の技術的な質問に応えることができますが、場合によってはエンジニアリングチームのアドバイスが必要になるときがあります。エンジニアリングチームのメンバーをライトエージェントにすることで、チケットのフォロワーに追加することができます。エンジニアはSupportにサインインして詳細をすべて把握し、社内メモを残すことができます。
詳しくは、「ライトエージェントのアクセス権限の概要と設定」を参照してください。
サイドカンバーセーションを使用する場合
多くの大企業では、エージェントが他の部門、パートナー、およびベンダーに連絡をとる必要がある複雑なワークフローがあります。チケットのリクエスタを何度も変更したり、複数のチケットを管理したりするような複雑なワークフローに頼らずに、サイドカンバーセーションを使用して、チケット内の別の自己完結型会話で(社内外の)誰とでも共同作業できます。
サイドカンバーセーションを使って、簡単かつ自然に、より多くの人々をチケットに参加させ、コミュニケーションをSupport内に集中させることができます。エージェントは、どの顧客情報を共同チームと共有するかを選択して、重要な情報がチケット内に確実に記録されるようにすることができます。
ユースケースの例として、次のものがあります。
- 社内でのコラボレーション:サイドカンバーセーションでは、メール、子チケット、またはSlack経由で他のチームや他の部門の人々にすばやく連絡が取れます。たとえば、リクエスタに返信する前に、エージェントが経理部や法務部に確認する必要がある場合など。Zendeskにグループがある場合は、子チケットを使用する方法が最も適切です。Slackの方が使い慣れていて、利用できるのであれば、そちらを使用すればよいです。どちらもうまく使えない場合は、メールという選択肢もあります。
- 外部とのコラボレーション:ワークフローによっては、エージェントが定期的に外部のパートナーやベンダーに協力を求めることが必要になります。サイドカンバセーションにより、Supportを離れたり、別システムの子チケットをやりくりするのではなく、チケットから直接これらのパートナーに子メールを送信できます。たとえば、eコマース会社で、製品情報や出荷予定をサプライヤーに問い合わせる必要がある場合など。
- マーケットプレイス事業:エンドユーザーとサプライヤーの間の仲介者として働く企業は、定期的に両者間の連絡役を務める必要があります。サイドカンバセーションにより、エージェントは1つのチケットで両方と通信できます。たとえば、貨物会社で、荷主とドライバーの両方に連絡をとって仕事を調整する場合など。
詳しくは「チケットでのサイドカンバセーションの使用」を参照してください。
CCとフォロワーを使用する場合
CCとフォロワーを使って、チケット内のパブリックコメントとプライベートコメントの扱い方をより適切に管理できます。エージェントは、メールと同様のやり方で、CCの追加や削除ができます。エージェントは、自分の身元をエンドユーザーに公開せずにチケットをフォローできます。チケットが更新されると、フォロワーは通知を受け取り、社内メモを表示および作成できます。
次の表を参照して、ユーザーをCCまたはフォロワーとして追加するタイミングを決定してください。
フォロワー | CC |
---|---|
ライトエージェント、エージェント、または管理者が使用できます。 | デフォルトで、エージェント、管理者、またはエンドユーザーが使用できます。オプションでライトエージェントも使用できます。チケットにCCとして含めるユーザーは全員Supportプロフィールが必要ですが、メールクライアントでCCとして追加する場合には制限はありません。 |
デフォルトでは非公開です。
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一般に公開され、常に透明です。
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フォロワーは、エージェントまたは管理者が追加できますが、エンドユーザーは追加できません。チケットがパブリック返信や社内メモで更新されると、フォロワーには非公開でメールが送信されます。 | CCは、エンドユーザー(メールを使用)またはエージェントと管理者(メールまたはSupportを使用)が追加できます。パブリックコメントでチケットが更新されると、CCはメールを受信します(リクエスタと他のCCには表示される)。 |
必要に応じて、フォロワーであるエージェントおよび管理者は、CCのメールに返信するか、チケットにパブリック返信を追加することによってパブリックコメントを発行できます。パブリックコメントとして送信されたフォロワー通知に返信することで、パブリックコメントを追加することもできます。 |
詳しくは「CCとフォロワーの使用」を参照してください。
コラボレーションの例
以下は、Zendesk Supportで利用できるコラボレーション機能の使用方法を示す簡単な例です。
顧客が新しいSSL証明書を要求
- Victoriaは、Webサイト用のSSLセキュリティ証明書を販売しているCerts、Inc.に勤務するカスタマーサポート担当者です。顧客がWebサイトで証明書を更新する必要がある場合、ZendeskSupportチケットを作成して新しい証明書を要求します。
チケットを処理し返信するにはフルアクセスの権限を必要とするため、VictoriaにはZendesk Supportのエージェントロールが割り当てられています。
- Victoriaの上司は、カスタマーサポート担当部長のVenkatです。彼はカスタマーサポート担当者全員を管理し、請求した証明書を顧客がタイムリーに受け取とれるようにします。
Venkatには、Zendesk Supportのライトエージェントのロールが割り当てられています。彼はエージェントのフルアクセス権限を必要としませんが、業務が円滑に行われていることを確認するためにアカウントのアクティビティを監視し、レポートを確認する必要があります。
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Kenは、小規模なeコマース企業、e-Fun !, Inc社のITマネージャーです。彼は、Victoriaの会社からWebサイトの証明書を購入し、サードパーティベンダーService、Inc.と共同でe-Fun!社のWebサイトをホストしています。
Kenは、エンドユーザーの権限でVictoriaの会社のZendesk Supportアカウントにアクセスできます。
自分のWebサイト証明書の1つが30日で期限切れになるという通知を受け取ると、Certs社に新しいZendesk Supportチケットを作成し、サイトの新しい証明書をリクエストします。
この場合、Kenがチケットのリクエスタで、Victoriaがチケットの担当エージェントです。
Victoriaは、チケットのリクエストを完了する前に、Kenの会社が新しい証明書の代金を払うための資金でPOを持っていることを確認する必要があります。Victoriaが上司のVenkatをチケットのフォロワーとして追加したので、彼はそのリクエストを認識しています。
次に、彼女は経理部とサイドカンバセーションを開始し、資金が利用可能であることを確認します。経理部との会話を始めるとき、チケットについてどのような情報を含めるか(含めないか)を決定します。
経理部はVictoriaの要求に応え、資金が利用可能であることを確認します。
資金的な問題が解決されたので、Victoriaはサイドカンバセーションを完了とマークして会話を終了します。
Victoriaは、証明書の発行が承認されたことをリクエスタのKenに通知します。通知には、Kenが証明書を受け取るために使用できるリンクが含まれ、証明書のインストールに関するガイドが添付されています。
また、Kenの要求に従って、VictoriaがWebサイトベンダーであるService、Inc.をCCとしてチケットに追加しているので、新しい証明書の準備ができていることもわかります。
チケットのフォロワーであるVenkatは、Victoriaが新しい証明書を送付したことを確認できます。彼は、素晴らしい仕事をしたことをVictoriaに告げる社内メモをチケットに追加します。
確認できる情報の範囲
この例に登場する各Supportユーザーは、それぞれののロールに基づいて、確認できるチケットの情報の範囲がわずかに異なります。
- Venkatはフォロワーであるため、Victoriaが経理部と行った会話を含め、チケットの全履歴を確認することができます。彼の名前とメールアドレスは、KenまたはKenのWebホスティングサービスに公開されることはありません。
- Victoriaと経理部とのサイドカンバーセーションでは、経理部にはVictoriaがサイドカンバーセーションのメールに含めた情報のみが表示されます。元のチケットリクエストやチケットのフォローアップは表示されません。
- Kenは、彼の最初のリクエストと新しい証明書へのリンクを含むVictoriaの返信を見ます。また彼女がKenのWebホスティングベンダーをCCに含めたことを確認できます。Kenには、彼女が経理部と交わしたサイドカンバセーションの内容やVenkatの社内メモは表示されません。
- Victoriaが彼らをCCとして追加したので、KenのWebホスティングベンダーであるService社は、VictoriaがKenに送った返事をメール(証明書を受け取るためのリンクを含む)で受け取ります。チケットのメイン部分にすべてのパブリックコメントが表示されますが、Victoriaと財務部門との会話は表示されず、Venkatの社内メモも表示されません。
- Victoriaは、Venkatの社内メモを含む、チケット内のすべての情報を確認できます。