コミュニティの構築が有用である理由として、多くの点をあげることができます。強力なユーザーコミュニティは、長期にわたりビジネスに役立つ資産の1つになります。コミュニティは、時間と物理的な場所から独立した大規模な情報源であり、機能の追加リクエストや既存機能の各種使用法など、さまざまなアイデアを生み出すうえで大変有効です。オンラインコミュニティでは、カスタマーとの対話が可能であるばかりでなく、質問のあるカスタマーや問題を抱えたカスタマーをサポートすることもできます。また、カスタマー同士が対話すれば、さらに多くのことが可能です。これらはすべて、スケーラブルな方法で実現できます。一方、コミュニティの運営側にとっては、チケットの作成を大幅に抑えるチャンスとなり、サポートコストの抑制につながります。
ユーザーコミュニティの開設にあたっては、事前に対応すべき事項や考慮すべき事項がいくつかあります。
戦略を立てる
ビジネスの目的、言い換えれば、カスタマーの目的によって、最終的には、コミュニティの構造と役割、それらを実現するために必要なリソースが決まります。たとえば、オンラインコミュニティであれば、一般に公開されている場合と、特定のカスタマーだけに公開されている場合があるでしょう。どちらの場合も、そのコミュニティのプラットフォームですべての種類のカスタマーやあらゆる形態のビジネスに対応できるわけではありません。それゆえ、達成目標と取り込むカスタマーについて考慮することが重要になります。この問題が解決したら、次に、機能や構造を決定します。投稿やナレッジベースの記事に対するコメントの許可、お知らせやリリースノートに対するコメントの追加、コミュニティ全般に関するQ&Aコーナーの開設、機能の追加リクエストに関するコミュニティの開設、ヒントやベストプラクティスに関するコミュニティの開設などです。もちろん、Zendeskのように、すべてを実現することもできます。
専任の担当者を配置する
コミュニティを成功させるには、その内容を充実したものに維持する担当者の配置が不可欠です。言い換えれば、これは、コミュニティマネージャーが必要であることを意味します。コミュニティマネージャーには、いくつかの能力が求められます。コミュニティの参加者を増やし、コミュニティの成長を進め、結果を測定するといった事柄を、戦略に沿って進められる能力です。フルタイムの職種をサポートするのに十分な規模の組織であっても、実際のサポートは、サポート部門が主導して引き受ける傾向が強いといえます。また、日々のコミュニティサポートでは、コミュニティに投稿された質問を管理するエージェントを取り決める必要があります。エージェントは、みずからが回答を投稿したり、コミュニティのメンバーが投稿した回答をチェックしたりします。自分ではわからない内容については、対応できる仲間のエージェントに、個々に回答の投稿を指示します。この仕事は持ち回り制の場合もあれば、特定の担当者が専任になることもあります。ただし、誰を最初のエージェントにすればよいのかわからない場合には、コミュニケーションの素質があるチームのメンバーを選出します。
コミュニティの目的を伝える
戦略を取りまとめ、リソースを準備できたら、関係者全員の賛成を取り付ける必要があります。また、組織内のほかのインフルエンサー対して、ユーザーコミュニティを開設する目的を説明します。こうすれば、インフルエンサーの社外での働きかけによって、社外の人がコミュニティに関心を抱くようになります。コミュニティを成功させるには、このようなマーケティングを継続し、常に売り込みをかける必要があります。オンラインコミュニティの話や、新人研修での活用に効果の期待できることも、忘れずに説明しましょう。
モデレーションやガイドラインを設定する
小規模なコミュティやプライベートコミュニティの場合、あるいは社内カスタマーにコミュニティサポートを実施済みの場合は、コミュニティメンバーの危うい行動やモデレーションについて、あまり心配する必要はないでしょう。メンバーの適切な行動について1回コメントするだけで十分です。一方、比較的大規模なオンラインコミュニティであれば、投稿に積極的なメンバーとの関係を深め、このメンバーにモデレーションの仕事を提供する方法が効果的です。モデレーションチームがガイドラインを伝達してディスカッションを始められるよう、プライベートフォーラムの作成を検討しましょう。
メンバーを迎える準備を整える
空っぽの部屋を話題にしたい人はいません。ですから、いきなり、コミュニティの扉を開いてはいけません。まずは、コミュニティにコンテンツを準備しましょう。コンテンツの準備ができたら、最初のユーザーとして最も有望なカスタマーを招待します。コミュニティを売り込むカスターベースを拡大する時点では、役に立つコンテンツやメンバーをコミュニティに十分に用意して、見た目を整えておく必要があります。
ヒント:ナレッジベースにコンテンツを作成しようとしている場合は、ナレッジキャプチャーアプリを使用して、チケットのコメントをヘルプセンターの記事に変換することを検討してください。
定期メンテナンスの手順を準備する
サポートコミュニティは生きたナレッジベースです。それゆえ、定期メンテナンスのプログラムの作成が必要です。古くなったサービス関連のスレッドは、定期的にアーカイブします。また、エージェントが情報の誤りを見つけた場合には、その情報の更新をエージェントが完了する期日を設定します。
サポート対象のカスタマーが社内のユーザーであるのか社外のユーザーであるのかを問わず、サポートに関する個々の背景や経験は、同僚や組織の学習にも役に立つものになります。目的を定めてカスタマーコミュニティを構築しましょう。コミュニティの内容が常に充実したものになります。