このレッスンでは、次のトピックについて説明します。
トリガと自動化
ここでは、Zendeskの機能の中でも、最初のうちはちょっと手強いと思われることの多いビジネスルールについて説明します。このレッスンでは、自動化されたビジネスルールについて説明します。この自動化ルールは、つまり、自動的にチケットに適用される既定のアクションです。Zendeskには「自動化」と「トリガ」という2種類の自動化されたビジネスルールがあります。
両者の相違点を比較する前に、まず共通点について説明します。自動化とトリガはどちらも、チケットが特定の条件を満たした場合に実行されるアクションセットを定義したものです。たとえば、特定の組織に属するエンドユーザーが作成されると(=条件)、その組織のサポートを担当するエージェントグループに自動的に割り当てられます(=アクション)。
もっとわかりやすく簡単な公式で説明すると、「Xが真であれば、Yが実行される」ということです。
自動化とトリガの違いは何でしょう?どちらにも、条件のセットとアクションのセットが含まれていて、どちらもチケットのデータを更新します。また、特定のイベントが発生したときにチケットに対して実行される点も同じです。異なる点は、チケットを更新する動因となるイベントの種類です。自動化は、時間イベントに基づいて実行されます(例:チケットの更新から4日後)。トリガは、チケットの作成または更新時に(作成および更新のイベント)、チケットに対して実行されます。自動化またはトリガに含まれている条件をチケットが満たさない場合には、何も実行されません。
自動化ビジネスルールを作成すると、エージェントが、一部のルーティンタスクを手動で処理しなくてもすむようになります。このレッスンでは、以降のセクションで自動化とトリガについてさらに詳しく説明します。
自動化とトリガを作成できるメンバー
自動化とトリガの作成と管理を行えるのは管理者だけです。これらのビジネスルールは、Zendesk Support内のすべてのチケットに影響を与える可能性があります。そのため、管理者は、自身が設定するサポートワークフローの枠組みの中で、自動化とトリガをカスタム定義する責任を負います。
ビルディングブロック:条件とアクション
自動化とトリガは、条件とアクションのセットで構成されます。チケットが条件を満たせば、アクションが適用されます。実際に作成してみる前に、条件について詳しく見てみましょう。
条件は、チケットとユーザーフィールド、およびこれらのフィールドに含まれるデータへの参照です。
条件には、「すべての」と「任意」の2種類があります。「すべての」条件では、文字どおり、すべての条件が真である必要があります。満たされない(真でない)条件が1つでもある場合、自動化またはトリガはそのチケットに対しては実行されません。
さらに、「任意」条件では、いずれかの条件が真である必要があります。たとえば、特定のいくつかのメールアドレスから送られてきたチケットに対してのみ自動化やトリガを起動したい場合は、以下の例のように指定します。
これらの条件のいずれかが満たされれば、自動化またはトリガはそのチケットに対して実行されます。「任意」セクションで1つの条件のみを使用する場合、「すべての」と同じような挙動となり、チケットに対して自動化またはトリガを実行させるにはその条件が真である必要があります。
アクション文も同じ形式で指定しますが、条件の真偽を検証するのではなく、以下の例に示すように、チケットプロパティを設定してメール通知を送信します。
アクションとは異なり、条件では条件文の作成に演算子を使用できます。たとえば、「等しくない」演算子を使用すると、1つの値だけを条件から除外できます。この例が、「チケット:ステータス | ≠ | 解決済み」です。また、「次より小さい」、「次より大きい」、「次に変更された」、「次から変更された」などの演算子も使用できます。
Zendesk Supportの標準の通知トリガ
Zendesk Supportのインスタンスには有用なトリガが多数用意されています。これらのトリガを使用して、特定のイベントが発生したときに、チケットのリクエスタ、エージェント、グループに通知を送ることができます。トリガはすべてデフォルトで有効になっており、条件に一致したチケットすべてに対してアクションを実行する準備ができています。
これらのトリガは、Zendesk管理者ビューで「トリガ」ページを選択して確認することができます(「管理センター」>「オブジェクトとルール」>「ビジネスルール」>「トリガ」の順に選択)。
「リクエスタへの通知 - リクエスト受信」トリガを見てみましょう。このトリガは、Zendesk Supportに新規チケットが届いたときに、受領メールをチケットリクエスタに送るものです。条件は以下のとおりです。
「チケット > =」条件が、先ほど説明したチケットトリガイベントの「作成された」と「更新された」の2つを取得するために使用されています。新規チケットに対してのみトリガを実行したい場合は、「作成」を選択します。このトリガで「作成」を選択する理由は、新規チケットの受領通知をリクエスタに送るのは、チケットが初めて作成されたときだけでよいからです。その他に、エージェントがコメントを追加したときや、チケットが解決されたときに、リクエスタに通知するトリガもあります。これらのトリガはどれも、「チケット> = > 更新された」を使用します。
2番目の条件「ステータス > ≠ > 解決済み」を使用する理由は、トリガを、解決済みチケットにではなく、アクティブなチケットに適用するためです。
それでは、このトリガにどのようなアクションが含まれていて、トリガがチケットに適用されたときに何が起こるかを見てみましょう。
このトリガの目的は、サポートリクエストを受け取り、チケットを作成したことをリクエスタに通知することです。そのために、アクションを組み合わせて使用し、次のようなメール通知を作成しました。
各通知トリガをざっと見てみましょう。それぞれの動作のしくみを確認できます。
次の動画では、トリガのしくみを簡単に紹介します。
トリガを使って通知を自動化する(2:02)
自動化およびトリガでプレースホルダを使用する
マクロと同様に自動化とトリガでも、ユーザーおよびチケット固有のデータを、プレースホルダを使用してチケットへの返信とチケットリクエスタへのメール通知に動的に挿入できます。
エスカレーショントリガを作成する
今度は、これまでに学習した内容を実際に操作してみます。シンプルであっても便利なトリガを作成し、Zendesk Supportに追加してみましょう。このトリガは、VIPカスタマーからのチケットをすべてエスカレートします。以前のタグに関するレッスンを思い出してください。タグをユーザーと組織のプロフィールに追加しておけば、それらのユーザーからのチケットおよびそれらの組織に属するユーザーからのチケットにも、同じタグが自動的に追加されます。この例では、タグを使用して、届いたチケットのうちエスカレーションが必要なものを特定します。
エスカレーショントリガを作成する場合、以下の手順で操作します。
- 管理センターで、サイドバーにあるオブジェクトとルールアイコン()をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- 「トリガを追加」をクリックします。
- 「VIPチケットをエスカレートする」というタイトルを入力します。
- 「ステータス」条件を追加し、条件の演算子から「次より小さい」を選択して、「解決済み」を選択します。
- 「条件を追加」をクリックし、「タグ」を選択します。条件の演算子に「少なくとも次の1つを含む」が表示されるので、そのままこれを選択します。次に、「vip」というタグを入力します。
- 次に、アクションを追加します。チケットに「vip」タグが含まれる場合、以前のレッスンで作成しておいた「プレミアムサポートグループ」に割り当てられるようにします。アクションのセクションで、「グループ」を選択し、「プレミアムサポート」選択します。
- また、チケットの優先度を「緊急」に設定します。「+」ボタンをクリックして「優先度」を選択し、「緊急」を選択して新しいアクションを追加します。
- 「トリガの作成」をクリックして、トリガを保存します。
チケットに「vip」タグが含まれる場合はいつでも、このトリガがそのチケットに対して実行されます。
自動化
以前のレッスンで学習したように、自動化およびトリガは、条件とアクションから構成されます。ただし、自動化は時間イベントに基づいているため、追加の条件を指定して、特定のイベント発生後、指定した時間が経過した後にチケットを更新することができます。たとえば、チケットが作成されてから所定の時間が経過すると、チケットの優先度を「緊急」に設定する自動化を作成できます。
これは自動化の使い方の一例です。Zendesk Supportでは、チケットは手動ではなく、自動で終了にされます。これは、Zendesk Supportに付属する自動化の1つによって行われます。これは「チケットはステータスが解決済みに設定されてから4日後に終了」という自動化で、Zendeskの管理ビューの「自動化」ページで選択して内容を確認することができます(「管理センター」>「オブジェクトとルール」>「ビジネスルール」>「自動化」を選択)。チケットが終了にされるまでの待機期間は、解決してから4日後が最適であることがわかっています。ただし、この自動化は変更ができ、最大28日間まで待機期間を延長することもできます。所定の待機期間が経過すると、Zendeskは自動的にチケットを終了させます。
時間に基づく条件により、チケットのライフサイクル中に発生する特定のイベントに基づいて自動化を作成する柔軟性が提供されます。以下に、よく使用される自動化の例を示します。
- 担当のチケットが未解決のまま所定の時間が経過した場合に、その旨をエージェントに通知する
- 新しいチケットが未割り当てのまま所定の時間が経過した場合に、その旨をエージェントグループに通知する
- チケットが手付かずのまま所定の時間が経過した場合に、そのチケットの優先度を上げる
- 保留中のチケットをリクエスタが最後に更新した後、所定の時間が経過したら、その旨を担当のエージェントに通知する
- チケットが「解決済み」に設定された後、所定の日数が経過したらチケットを終了する
ビジネスルールのテストを安全な環境で行う
前に述べたとおり、自動化およびトリガを作成できるのは管理者だけです。それは、これらのビジネスルールが、Zendesk Supportのすべてのチケットに影響する可能性があるからです。Zendeskのプランに含まれている場合、テストバージョンのZendeskアカウントを作成することもできます。これは、「サンドボックス」と呼ばれるもので、実際のチケットを変更することなく、新しい自動化やトリガ、その他の機能をテストし、細かい調整を行うために使用できます。
エスカレーション自動化を作成する
エスカレーショントリガと比較するために、今度は、所定の時間を経過してもVIPチケットが処理されていない場合に、担当グループとエージェントに警告する自動化を作成してみましょう。
この自動化により、過去24時間に回答が送られていないすべてのVIPチケットがエスカレーションされます。ここでの「エスカレーション」とは、優先度を「高」から「緊急」に引き上げることです。同時に、ステータスが「緊急」になったことがエージェントに確実に伝わるように、エージェントにメール通知を送信します。
エスカレーション自動化の作成方法については、次の動画をご覧ください。
エスカレーションの自動化を作成する場合、以下の手順で操作します。
- 管理センターで、サイドバーにあるオブジェクトとルールアイコン()をクリックし、「ビジネスルール」>「自動化」を選択します。
- 「自動化を追加」をクリックします。
- 「未解決のVIPチケットを「緊急」にエスカレートする」というタイトルを入力します。
- 「チケット:ステータス」条件を追加し、「次より小さい」の演算子を選択して、「解決済み」を選択します。
- 「+」ボタンをクリックして、「チケット:作成されてからの時間数」を選択し、「(カレンダー) 等しい」の演算子を選択し、チケットが作成されてから経過した時間数として「24」と入力します。
- 次の条件を追加します。「+」ボタンをクリックして、「チケット:タグ」を選択します。条件の演算子から「少なくとも次の1つを含む」を選択し、「vip」と入力します。
- 最後にアクションを追加します。前のセクションでVIPトリガを設定したときに、VIPカスタマーからチケットが届いた場合に、タグが検出されるとチケットの優先度を「高」に設定していました。このチケットをエスカレートするには、チケットの優先度を「緊急」に設定します。「チケット:優先度 = 緊急」を選択します。
- 最後のアクションは、メールを担当エージェントに送信するものです。それには、「通知:ユーザーにメールを送信 = (担当者)」というアクションを追加します。次に、メール通知の件名と本文を入力します。
- 「自動化の作成」をクリックして、自動化を保存します。