高度なAIエージェントをZendeskサポートと統合している場合、メール用の会話フローを使うと、AIエージェントとカスタマーが複数回やりとりできるようになり、自動化の幅がさらに広がります。たとえば、カスタマーからのメールに注文IDなどの重要な情報が含まれていない場合、AIエージェントは対応を進める前に、必要な情報を要求できます。
メール用の会話フローでは、カスタマーから新たな返信があった際にAIエージェントへ通知し、人間のエージェントへの引き継ぎが必要かどうかも判断します。これらのデータポイントを使用して、再オープン率を追跡し、AIエージェントの自動化パフォーマンスを測定することができます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
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メールシナリオ向けの会話フローの概要
対話ビルダーを使用して、メッセージングAIエージェントの会話フローを作成するのと同様に、メールAIエージェント用の会話フローも作成できます。ただし、使用できるブロックのタイプは、AIエージェントの種類(メール用とメッセージング用)によって異なります。詳しくは「使用可能なブロックタイプ」を参照してください。
さらに、メール用の会話フローは、各会話で最初にトリガされた目的を自動化できます。トリガされた目的の対話が完了し、AIエージェントからこれ以上返信が行われない場合、自動化の完了を示す escalated_by_ultimate
タグがチケットに追加されます。
escalated_by_ultimate
タグは以下のシナリオで適用されます。
返信を送信せずにアクションを適用する
返信にアクションを追加し、テキスト返信ブロックは空のままにしておくと、メールAIエージェントはカスタマーに何も返信せずにアクションだけを実行します。
単一返信対話の使用
会話フローを使用する単一返信対話は、会話フローを使用しない場合と同様に動作します。対話ビルダーでチケット返信ブロックの後に何も続かない場合、その時点で自動化は完了したと見なされます。
リンク先の使用
メール用の会話フローでは、1つの会話につき1つの目的に制限されています。ただし、リンクを使用することで、別の対話に会話を引き継ぐことができるため、「リンク先」ブロックは会話の終了とは見なされません。対話内の最後のブロックであっても、他の単一返信対話または複数返信対話にリンクすることができます。
複数返信対話の使用
複数返信対話では、カスタマーメッセージ、リンク先ブロック、複数チケット返信など、メール用会話フローで利用できる追加のブロックオプションを使用できます。
これらの対話では、AIエージェントが補足の質問を送信し、カスタマーの目的を確認したり、不足している情報の提供を依頼したりできます。カスタマーから送信された追加メッセージも、自動化中に処理して利用することができます。
ブロック数に制限はありませんが、ケースを自動化するために必要な情報を収集する際は、メッセージ数を3回以内に収めることを推奨します。
メール用の高度なAIエージェントでは、以下のイベントがサポートされており、複数返信のシナリオでトリガできます。
- AIエージェント - Advancedがチケットを受信しました:このイベントは、最初のカスタマーメッセージが受信されたときに、1つの会話につき1回だけトリガされます。
- AIエージェント - Advancedがチケットを処理しました:このイベントおよび関連するアクションは、チケットへの各返信時にトリガされます。
- 返信の遅延時間イベントこの遅延イベントは、各返信ごとにトリガされます。メールの会話フローで遅延を使用する場合は、長時間の返信の遅延は設定せず、10~30分程度の返信の遅延を検討してください。
複数返信対話からのエスカレーション
複数返信のシナリオにおいてエスカレーションが必要な場合は、カスタマーメッセージまたは条件付きブロックの後に、空のチケット返信ブロックを追加できます。空の返信ノードは、チケットにエスカレーションタグを追加し、追加アクションをトリガできます。また、カスタマーへの返信は送信されないため、オンラインエージェントがそのまま対応を引き継ぐことができます。
メール用会話フローの制限事項
メール用の会話フローには、以下の制限があります。
- 1つの会話につき、自動化できる目的は1件のみ
- ルールベースのエスカレーションはサポートされていない
- AIエージェントは、3日以上経過したチケットには返信しない
高度なAIエージェントが複数の返信を送信できるようにする
メール用の会話フローがアクティブになっている場合、高度なAIエージェントは、AIエージェントが処理するすべてのチケットに escalated_by_ultimate
タグを追加します高度なAIエージェントは、このチケットタグに基づいて応答のタイミングを判断します。
高度なAIエージェントが複数の返信を送信できるように設定するには、以下の操作が必要です。
- メール会話の自動化トリガをアクティブ化または更新する。後述のセクションを参照してください。
- 自動化エンジンをオンに切り替える。詳しくは「高度なAIエージェントの自動化エンジンのオン/オフの切り替え」を参照してください。
- 複数のチケット返信ブロックを含む対話を構築する。詳しくは「複数返信の対話を使用する」と「対話ビルダーを使用した高度なAIエージェントの会話フローの作成」を参照してください。
メール会話の自動化トリガをアクティブ化または更新する
メール会話フローを初めて使用する場合、デフォルトの自動化トリガをアクティブにすることで、複数返信の機能を利用できるようになります。
すでにメール会話フローを使用しており、自動化トリガをカスタマイズしている場合は、既存のトリガを更新する方が簡単で、これまでのカスタマイズが失われることもありません。
デフォルトのメール会話の自動化トリガをアクティブにするには
- AIエージェント - Advancedの画面右上にある「AIエージェント」ドロップダウンフィールドで、トリガをアクティブにするAIエージェントを選択します。
- 左側のサイドバーで、「設定」>「CRMのインテグレーション」をクリックします。
- 「統合」タブをクリックします。
- 「自動化トリガをアクティブにする」をクリックします。
- 管理センターで、サイドバーの「
オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- Ultimate.ai Multitouch Ticket Automation:<AIエージェントID>トリガを編集用に開きます。
- 「条件」セクションで、「チケット」>「チケット | = | 作成された」条件を削除します。
- 次の条件を追加します。
- チケット > コメント | = | パブリック:これにより、カスタマー、エージェント、またはAIエージェントによる返信が、それぞれAIエージェントに通知されます。
-
チケットの詳細 > 現在のユーザー | ≠ | AIエージェント:これにより、ループを防止できます。AIエージェントはすべての返信を監視するようになるため、自分自身の返信には応答しないよう、AIエージェント自身の返信を除外する必要があります。
- 「アクション」では、JSONプレースホルダを次のコードに置き換えて、オブジェクトのプロパティを更新します。
{ "botId": "YOUR_BOT_ID", "message": "**{{ticket.title}}** \n\n {{ticket.latest_comment_rich}}", "conversationId": "{{ticket.id}}", "type": "message_multitouch", "tags": "{{ticket.tags}}", "requester": "{{ticket.requester.id}}", "currentUser": "{{current_user.id}}", "authorRole": "{{ticket.comments.first.author.role}}", "createdAt": "{{ticket.created_at_with_timestamp}}" }
JSON本文の変更点には、新たに requester、currentUser、createdAt プロパティを追加することが含まれます。これらの変更により、高度なAIエージェントはエージェントからの返信とカスタマーからの返信を区別できるようになり、また、3日以上前に作成されたチケットには返信しなくなります。また、type プロパティも分析目的のために変更されます。
- 「保存」をクリックします。