このシリーズの記事では、Guideの管理者の方を対象に、セルフサービスに対するカスタマーの満足度を高めるためにGoogleアナリティクスによって提供されるインサイトを活用する場合のベストプラクティスについて説明します。
Zendesk Support独自のアナリティクス機能も入門としては最適です。しかし、実際のところ、Googleのアナリティクス機能には隙がありません。Googleの提供するGoogleアナリティクスのサービスには、検索アナリティクスからチケットの発行抑制の追跡まで、あらゆる用途のためのさまざまなツールが用意されています。これらのツールを活用すれば、セルフサービス機能が使いやすくなり、カスタマーは求める答えをこれまで以上に簡単にすばやく見つけ出すことができるようになります。
この記事は、シリーズ連載の第1回にあたります。このシリーズではGoogleアナリティクスを活用する方法を解説し、カスタマーによるセルフサービスサポート機能の有効利用を推進しているGuide管理者の皆様が持たれるさまざまな疑問にお答えします。
- 初めての使い方
- セルフサービスを利用するカスタマーはどのくらいいるか?
- カスタマーはセルフサービスをどれだけ利用しているのか?
- 新規と既存のどちらのカスタマーを対象にコンテンツを作成したらよいか?
- コンテンツの内容は適切か?
- サイトをもっと使いやすくしたほうがよいか?
- ヘルプセンターをモバイルデバイス対応にしたほうがよいか?
この連載は以下の内容で構成されています。
- パート1 - 適切な答えを得るための質問(この記事)
- パート2 - 検索の有効性の測定
- パート3 - カスタマーのアクションの追跡
- パート4 - ヘルプセンターの最適化
- パート5 - ヘルプセンターのユーザーデータの取得
この連載ではGoogleアナリティクスの機能について簡単に触れるだけですが、アナリティクスの詳細については参考になるリソースがたくさんあります。この記事をお読みになった後は、Webアナリティクスについてあらゆる観点から解説したAvinash Kaushikのブログ記事「Occam’s Razor(オッカムの剃刀)」をご覧ください。非常に有用なリソースです。
初めての使い方
使い始める前に、ヘルプセンターでGoogleアナリティクスを有効にします。「ヘルプセンターでのGoogleアナリティクスの有効化」を参照してください。
Googleアナリティクスのマイレポート一覧で、「ユーザー」>「サマリー」の順に選択します。
ユーザーサマリーのページで、ヘルプセンターのユーザーに関するメトリックの概要を確認できます。
ヘルプセンターの立ち上げ時はとりわけ、計画した改善が実際に達成されているかどうかを測定することが重要です。ユーザーに関するメトリックでは、カスタマーがヘルプセンターとやりとりした状況を追跡することができます。また、テーマや操作性、コンテンツを変更した場合、それらの効果が、セルフサービスに対するカスタマーの満足度の向上として実際に表われているのかを、測定することもできます。
以下のセクションでは、Googleアナリティクスのマイレポート一覧を活用する方法を解説し、カスタマーによるセルフサービスサポート機能の有効利用を推進しているGuideの管理者の皆様が持たれるさまざまな疑問にお答えします。
セルフサービスを利用するカスタマーはどのくらいいるか?
ユーザーメトリックを使用します。
「ユーザー」メトリックは、特定の期間にヘルプセンターを訪問したユニークユーザー数を示します。Zendesk Supportのヘルプセンターのアナリティクスでは、記事や質問の表示回数を追跡していますが、カスタマーが1回のセッションで複数のページを閲覧していることも考えられます。一方、「ユーザー」メトリックでは、カスタマーが何度ページを表示しても、1回のセッションは1回とカウントします。この情報を利用すると、実際にセルフサービスを利用したカスタマーの数を把握することができます。
ある期間にわたってこのメトリックを観察すれば、さまざまな傾向をつかむことができます。たとえば、ヘルプセンターのユーザーが多い日を特定したり、ヘルプセンターの知名度が上がるとユーザーの数が増えるのかを確認したりできます。
さらに一歩進んで、セルフサービスのスコアも計算できます。「セルフサービススコア」とは、企業が用意したコンテンツを使用して問題を解決しようとしたユーザーの数を、問題の回答を求めてリクエストを送信したユーザーの数で割ったもので、以下のように計算します。
セルフサービススコア = ヘルプセンターのユーザーの総数 / チケットのユーザーの総数
スコアを計算するには、ヘルプセンターのユーザーの総数をGoogleアナリティクスから取得し、チケットのユニークリクエスタの総数で割ります。このスコアをZendeskのベンチマークレポートと比較すると、同業者と比較した自社の競争力を把握することができます。Zendeskを使用している企業の平均スコアは4:1です。つまり、セルフサービスを利用して問題を解決しようとするカスタマーの4人に1人が、サポートリクエストを送信しています。
カスタマーはセルフサービスをどれだけ利用しているのか?
「平均セッション継続時間」メトリックを使用します。
「平均セッション継続時間」は、ヘルプセンターでのセッションの平均時間を示します。すなわち、1回のセッションでカスタマーがヘルプセンターに滞在していた平均時間です。セルフサービスを必要としているカスタマーが、どの程度、そのサービスを利用しているのかを調べるには、このメトリックが役に立ちます。
平均セッション時間は、ユースケースやカスタマーの状況によって異なります。たとえば、小売業界や通信業界などのB2Cビジネスの平均セッション時間は、通常、カスタマーがより複雑な問題を抱えるB2Bビジネスよりも短くなります。
新規と既存のどちらのカスタマーを対象にコンテンツを作成したらよいか?
「新規セッション率」のメトリックを使用します。
「新規セッション率」のメトリックは、特定の期間におけるヘルプセンターでの初回セッションのおおよその割合を示します。あるカスタマーについて、新規の訪問者であるのか、過去に利用歴があるのかがわかれば、そのカスマーのニーズに合わせてより適切にコンテンツをカスタマイズすることができます。
通常、B2Bおよび社内ユースケースのセッションの大多数は、過去に利用歴があります。このようなカスタマーは、詳細な回答が得られる記事を探し出すために、余計な前書きのコンテンツをスキップすることに比較的慣れています。ユーザーの大半がこのようなカスタマーであることがわかれば、ヘルプセンターの用途を変えて、関連性のあるニュースやお知らせの配信に利用することも考えられます。
一方、新規の訪問者の占める割合が高い場合は、製品やサービスに詳しくないユーザーに合わせたコンテンツを作成することをお勧めします。
「新規セッション率」メトリックで、ヘルプセンターのカテゴリやセクション、記事、ヘルプセンターに寄せられた質問ごとに、詳細な調査を行うこともできます。また、この情報を使って、コンテンツの初めてのユーザーとリピートユーザーの割合を示すことができます。
コンテンツの内容は適切か?
「直帰率」メトリックを使用します。
コンテンツがユーザーにとって適切なものであるかどうかを判断する一つの方法として、その反対の内容を測定する方法があります。つまり、コンテンツがどれほど不適切であるのかを測定します。「直帰率」は、ヘルプセンターの1ページだけのセッションの割合を示します。「直帰」とは、カスタマーが最初に訪問したページで何もせず、そのままそのページを去ることを意味します。
カスタマーが最初のページを見ただけで何もせずに去ったのは、さまざまな理由が考えられます。必要なものが見つけられなかったか、あるいは、最初のページだけで十分に用が足りたのかもしれません。違いを見分けるにはどうすればよいのでしょう?記事の場合には、その内容が十分なものであれば、直帰率は高くなると考えられます。記事の中に必要なものを見つければ、おそらく、そのまま通常の業務に戻るでしょう。一方、ほかの記事へのリンクを集めた「目次」のようなページで直帰率が高い場合には、カスタマーが目的のコンテンツを見つけられていない可能性があります。
Googleアナリティクスのマイレポート一覧で、「行動」>「サイト コンテンツ」>「ランディング ページ」の順に選択します。「ランディング ページ」のレポートには、カスタマーが最初にアクセスしたページがアクセス数の高い順に一覧表示されます。カテゴリーページやセクションページなど、「目次」の働きをするページで直帰率の高いものがないか調べます。このようなページは通常、セッション数の多いページです。直帰率が高い場合には、情報の検出率が上がるようにページの内容を改修することを検討してください。
サイトをもっと使いやすくしたほうがよいか?
「ページ解析」のメトリックを使用します。
「ページ解析」では、ヘルプセンターの各ページでユーザーが最も多くクリックしたリンクがわかります。この情報から、人気のあるコンテンツがどのようなものか詳しく知ることができます。また、重要なコンテンツへのリンクをカスタマーがクリックしていないといった問題があれば、それもわかります。
開始する前に、「Page Analytics」が正しく設定されていることを確認します。
- Googleアナリティクスで、ページの上部にある「管理」タブを選択します。
- 自社のヘルプセンターが選択されている「プロパティ」列で、「プロパティ設定」を選択します。
- 自社のヘルプセンターがある場合、「デフォルトのURL」で、デフォルトのURLが「http」ではなく、「https」で開始されていることを確認します。
- 「デフォルトのビュー」で、「すべてのウェブサイトのデータ」が選択されていることを確認します。
- 「ページ解析」セクションで、「ページ解析を開始」>「フルビューモード」を選択します。
- 「保存」をクリックします。
目的のページのページ解析を表示するには
- Googleアナリティクスダッシュボードで、「行動」>「サイトコンテンツ」>「すべてのページ」を選択してから、解析するランディングページを選択します。
- ダッシュボードの上部にある「ページ解析」タブをクリックします。
選択したページがクリックデータのオーバーレイとともに新しいウィンドウに読み込まれます。ヘルプセンターの各ページを移動したり、カスタマーがクリックした場所や特定のリンクのクリック回数を確認することで、カスタマーが実際に行った操作を追跡することができます。例:
この情報を利用すると、カスタマーが探しているものや、見つけ出すのに苦労しているものを詳しく知ることができます。「Above the fold」と呼ばれるページの上部に配置されているリンクやコンテンツは通常、クリックされる確率が高くなっています。特に重要なコンテンツへのリンクは、できるだけ「Above the fold」に配置します。
Zendeskのお客様であるBetterCloud社のヘルプセンターの例を見てみましょう。この会社のヘルプセンターでは、人気のあるサポートトピックに人目をひくアイコンが付けられています。何らかの理由でこのアイコンのクリック率が低い場合は、トピックとの関連性に問題がある可能性があります。
新しいデザイン要素やCTA(Call to Action)をテストする場合にも、「ページ解析」は大いに役立ちます。BetterCloud社の例をもう一度見てみると、「Upgrade to Enterprise」という右下のアイコンで、アップセルのチャンスを得ようとしているのがわかります。このアイコンのクリック率に注目すれば、このタイプのCTAがヘルプセンターで機能するのかどうかを、BetterCloud社は判断できます。
ヘルプセンターをモバイルデバイス対応にしたほうがよいか?
「ページ/セッション」のメトリックを使用します。
「ページ/セッション」は、ヘルプセンターのセッション中に閲覧したページ数の平均値を示します。総数としてのメトリックは注目に値しますが、カスタマーがヘルプセンターへのアクセスに使用したデバイスに注目してみるのも面白いでしょう。モバイルデバイスを利用するカスタマーが増えているのであれば、モバイルデバイスの利用の観点から「ページ/セッションビュー」に目を向けることができます。
デバイスの種類ごとに「ページ/セッションュービュー」を分類したレポートを見るには、Googleアナリティクスのマイレポート一覧で、「ユーザー」>「モバイル」>「サマリー」の順に選択します。
通常、デスクトップPCのユーザーは、タブレットのユーザーよりも「ページ/セッションビュー」の値が高く、また、タブレットのユーザーは、モバイルのユーザーよりもこの値が高くなります。モバイルデバイスでヘルプセンターへアクセスするカスタマーの数に増加が見られる場合は、リソースを投入して、モバイルデバイスでヘルプセンター内をスムーズに移動できるように最適化を進めましょう。このヒントとして、「Custom Mobile CSS for Help Center(迅速なサイト設計のためのモバイルCSSの使用)」を確認してください。