自動化はトリガに似ています。どちらも、条件やアクションを定義することで、チケットのプロパティを修正したり、必要な場合に電子メール通知をカスタマーやエージェントに送信したりすることができます。ただし、自動化は、チケットが作成または更新された後すぐにではなく、チケットのプロパティが設定または更新された後、イベントが発生したときに実行されるという点でトリガとは異なります。
すべての自動化は、すべての終了していないチケットに対して、1時間ごとに実行されます。自動化は、条件に一致したすべてのチケットに対して実行または適用されます。
新しい自動化の作成と管理については、「時間ベースのイベント用の自動化の作成と管理」を参照してください。標準の自動化のリストについては、「標準のSupport自動化について」を参照してください。
自動化に関する基本事項
自動化に関する基本事項をいくつか抜き出し、この記事で詳しく説明します。
- 自動化は時間を基準としており、チケットが作成または更新された直後ではなく、時間イベントが発生したときにアクションを実行します。
- 自動化は1時間ごとに実行されますが、必ずしも毎時正時に実行されるとは限りません。自動化は1時間中のいずれかの時点で開始されます。
- 自動化は、1時間あたり最大1,000枚のチケットで起動できます。
- 自動化は、終了済みのチケットには実行または適用されません。
- 各チケットは、自動化によって最大100回更新できます。
- 自動化には、一度だけ真になる条件、または条件の少なくとも1つを無効化するアクションが含まれている必要があります。
- アクティブな自動化は、すべてが一意である必要があります。いくつかの条件が重複していてもかまいませんが、まったく同一の自動化があってはなりません。
- 自動化は、すべてのビジネスルールと同様に、65KB未満であることが必要です。
- 一度に最大500個の自動化をアクティブにすることができます。
- Enterprise以外のプランでは、自動化はライトエージェントや閲覧担当を含むすべてのエージェントに表示されますが、編集できるのは管理者のみです。Enterpriseプランでは、自動化は、自動化を管理する権限を持つカスタムロールのエージェントにのみ表示されます。
自動化の使用例
自動化はワークフローの管理に役立ちます。また、エスカレーションの必要な未解決チケットについて自動化を使って注意を促すことで、パフォーマンスとカスタマー満足度の向上を期待できます。
以下に、自動化の使用例を示します。
- 担当のチケットが未解決のまま所定の時間が経過した場合に、その旨をエージェントに通知する
- 新しいチケットが未割り当てのまま所定の時間が経過した場合に、その旨をエージェントグループに通知する
- 保留中のチケットをリクエスタが最後に更新した後、所定の時間が経過したら、その旨を担当のエージェントに通知する
- チケットが「解決済み」に設定された後、所定の日数が経過したらチケットを終了する
- 一定期間更新されていない「中断」しているチケットを見つける
- 緊急のチケットが48時間以上放置されている場合にSMSテキストメッセージを送信する(ターゲットと自動化の併用については、「自動化およびトリガでターゲットを使用する」を参照)
これらの一般的な用途の一例として、Zendeskには以下のような自動化があります。
この自動化は、チケットが解決されてから96時間後にチケットを終了します(96時間は、解決済みになったチケットを終了するまで、最低限サポートに残しておく期間のベストプラクティスです)。この自動化が実行されると、この条件を満たすチケットがすべて終了となります。終了アクションは、以下のようになります。
チケットを終了すると、それ以降そのチケットは編集できなくなり、自動化の影響も受けなくなります。
また、この例には、「自動化には条件をキャンセルするアクションを含める必要がある」という自動化の重要なルールも示されています。「ステータスが解決済み」という条件は、「ステータスが終了済み」というアクションによってキャンセルされます。キャンセルアクションが含まれない場合、自動化は無限ループとなり、適用を繰り返します。これは、ステータスが「解決済み(終了ではない)」のままとなり、条件の基準に一致し続けるためです。
自動化が確実に1回だけ実行されるようにする
自動化は、条件が満たされたかどうか、1時間ごとにチェックします。そのため、自動化には以下のどちらかが必ず含まれている必要があります。
- 条件の1つを無効化するアクション
- 1回のみ真となる条件
無効化にするアクションまたは1回だけ真となる条件のどちらも含まれていない場合、修正されない限り条件が一致し続けるため、自動化は無限ループとなって適用され続けます。
一般に無効化される条件の例は、「チケットの優先度」条件です。チケットの優先度条件は、通常、「作成されてからの時間数」と組み合わせて使用されます。たとえば、チケットの優先度が「普通」(「チケット:優先度」>「=」>「普通」)の場合、優先度を「高」(「チケット:優先度」>「高」)または別の優先度に変更するアクションを含めることで、条件は無効化されます。
1回だけ「真」となる条件の例は、「オープンになってからの時間数」条件です。この条件は、無効化アクションを必要としません。たとえば、チケットがオープンになってからの時間数が4時間の場合(「チケット:作成されてからの時間数」>「=」>「4」)、この条件は、1回目のチェックでのみ「真」になります。次回のチェックでは、オープンになってから5時間が経過しているため、この条件は「偽」となります。
「...からの時間数」条件を使用する場合には、注意が必要です。自動化が実行される時間は1時間ごとに微妙に異なるため、=条件が一度も真と評価されない可能性がわずかにあります。このような状況は、大規模なアカウントや多くの自動化が実行されるアカウントで発生しやすくなります。詳しくは「自動化での「からの時間数」条件の使用」を参照してください。
条件をキャンセルするには、タグを追加するやり方が簡単です。自動化はタグをチェックし、そのタグが付いていない場合、そのタグをチケットに追加し、アクションを実行します(通知を送信するなど)。タグがチケットに付いていれば、自動化がそのアクションを再び実行することはありません。
自動化を実行する状況について
自動化は1時間ごとに実行されますが、必ずしも正時に実行されるわけではありません。自動化は、1時間内のいずれかの時点で開始されます。たとえば、正時から5分過ぎ、または38分過ぎに開始されるかもしれません。
自動化を実行するのにかかる時間は、処理する自動化の数やチケットの件数に応じて異なります。自動化は、その後の1時間のある時点で再び実行されます。
各自動化は、毎時最大1,000件のチケットを処理できます。自動化の条件を満たしているチケットが1,000件を超える場合は、その時間に1,000件のチケットが処理され、同じく条件を満たしていれば、次の時間に残りのチケットが処理されますが、そうでない場合は、さらにその後の時間に...というように、すべてのチケットがチェックされるまで処理を繰り返します。大規模なジョブでは、その自動化の条件を満たすチケットすべてを処理するのに何時間もかかることがあります。
自動化サイクルが長くなると、エージェントが自動化サイクルの実行と同時にチケットの更新を行う可能性が高くなります。チケット更新の競合を防ぐために、Zendeskの自動化機能では、自動化サイクルの開始時にチケットの状態に基づいて動作するだけでなく、更新時のチケットの状態をダブルチェックします。
不要なアクティビティを防ぐため、過去14日以内にサインインしていないアカウントに対しては、自動化は実行されません。
自動化アクションが発動するタイミングについて
自動化は1時間ごとに実行され、条件に一致したチケットに対して適用されます。自動化が起動され条件が満たされると、各自動化が適用されます。つまり、チケットに対してアクションが実行されます。つまり、サイクル中に自動化が適用されるたびにチケットが更新されているため、すべての自動化が同じ状態のチケットを参照するわけではありません。1つの自動化のアクションが、同じ時間枠の別の自動化のアクションに影響を与えることがあります。
- 自動化No.1:ステータスが48時間以上「保留中」の場合、担当者に通知する
- 自動化No.2:ステータスが48時間以上「保留中」の場合、優先度を「高」に変更する
- 自動化No.3:優先度が「高」の場合、エスカレーショングループに通知する
自動化が順番に実行および適用されます(条件が満たされた場合)。48時間以上保留になっているチケットがある場合、自動化が49時間目に実行されると、自動化#1が実行および適用された後で、自動化#2が実行および適用されます。自動化#2が適用されると、チケットが更新され、優先度が「高」になります。つまり、自動化#3が実行され、条件が満たされると、自動化#3が適用されます。
前述したように、自動化はトリガとは異なり、チケットが条件を満たした直後にアクションを実行することはありません。また、自動化は、条件が一致してから正確に1時間後に実行されるわけでもありません。 自動化の場合、チケットが更新されるタイミングは、自動化が1時間中どの時点で実行されるかによります。
- 自動化の実行時にアクションが実行される例について検討してみましょう。午前10時15分に更新されたチケットが、メール通知を送信する自動化の条件を満たしているとしましょう。この自動化が午前11時10分に実行される場合、条件が満たされてから55分経過するまで通知は送信されません。ただし、この自動化が午前10時20分に実行される場合、条件が満たされてから5分後に通知が送信されます。
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時間ベースの「~してからの時間数」条件の例をみてみましょう。時間ベースの条件は、所定の時間内に、または一定の最少時間が経過してから、満たされる必要があります。イベントが発生してから自動化が初めて実行される時点が、「ゼロ」時間としてカウントされます(1時間未満であるため)。チケットが解決されてから2時間後にアクションを実行する自動化があり、チケットが午前9時15分に解決されたとします。その後の経過を以下に示します。
- 自動化が午前10時10分に実行された場合、チケットが解決してから55分しか経過していないため、自動化は適用されません。
- 自動化は午前11時10分に再び実行されます。チケットが解決してから1時間と55分が経過していますが、自動化では1時間とカウントされます(2時間未満であるため)。
- 自動化は午後12時10分に再び実行されます。チケットが解決してから2時間55分経過しているので、自動化では2時間とカウントされます。つまり、条件は満たされたので、自動化が適用され、チケットが更新されます。