オブジェクトトリガEAPでは、チケットトリガでチケットに関連するカスタムオブジェクトを使用する方法、新しいタイプのトリガを紹介しています。オブジェクトトリガは、カスタムオブジェクトを参照するチケットトリガとは異なり、カスタムオブジェクトレコードのイベントに基づいて実行され、カスタムオブジェクトレコードのフィールドの値を更新するトリガです。たとえば、エージェントが新しいカスタムオブジェクトレコードを作成すると、そのカスタムオブジェクトに定義されたオブジェクトトリガが起動し、それによってレコードを更新することができます。
カスタムオブジェクトのオブジェクトトリガについて
オブジェクトトリガはカスタムオブジェクト用に作成することができます。チケットが作成または更新されたときにチケットトリガが実行されるように、オブジェクトトリガは、指定したカスタムオブジェクトのレコードが作成または更新されたときに実行されます。カスタムオブジェクトのレコードイベントが発生すると、そのオブジェクトに関連するすべてのトリガが評価されます。そのオブジェクトのすべてのトリガが評価された後、該当するすべての変更でレコードの更新が行われます。同じフィールドに値を設定するアクションが2つある場合、最後に書き込まれた値が表示されます。
たとえば、IT部門でカスタムオブジェクトを使用して、ソフトウェアライセンスやノートPCの割り当てなどの資産管理を行なっているとします。「アセット」というカスタムオブジェクトがあり、「タイプ」というカスタムドロップダウンフィールド、「許可が必要」というチェックボックス、「アセットオーナー」というユーザーを参照するルックアップリレーションフィールドがあるとします。アセットオブジェクトにオブジェクトトリガを定義すると、エージェントがアセットレコードを作成または更新するたびにトリガが起動します。レコードに「許可が必要」チェックボックスが選択されていて、「アセットオーナー」が指定されていなければ、自動的にデフォルトユーザーをオーナーとして割り当てるトリガを作成することができます。
使用するトリガのタイプを決める
どのタイプのトリガを使用するかは、トリガを実行させるイベントに大きく依存します。チケットが作成または更新されたときにトリガを実行させる場合は、チケットトリガを使用します。または、カスタムオブジェクトレコードが作成または更新されたときにトリガを実行させる場合は、オブジェクトトリガを使用します。
チケットトリガは、元になるオブジェクト(チケット)のフィールドの値だけでなく、リクエスタ(ユーザー)や組織など、オブジェクトに関連するフィールドの値も更新できます。チケットトリガには、カスタムオブジェクトを参照するチケットルックアップリレーションシップフィールドがある限り、カスタムオブジェクトに基づく条件とアクションを設定することができます。オブジェクトトリガは、元になるオブジェクトのフィールドのみを更新します。
オブジェクトトリガの構造
オブジェクトトリガの条件
条件文は、基本的に、指定した条件に一致した結果を返す「if」文です。トリガでは、「all」と「any」の2つの条件セットを定義することができます。「以下の条件をすべて満たす」の下に条件が指定されている場合、カスタムオブジェクトレコードが一致すると見なされるには、これらの条件をすべて満たす必要があります。または、「以下のいずれかの条件を満たす」で指定された条件の少なくとも1つを満たす場合、カスタムオブジェクトレコードは一致すると見なされます。
条件文は、カテゴリ、演算子、および値で構成されます。チケットなどの標準オブジェクトに基づくトリガでは、プリセットされた条件のリストが提供されます。カスタムオブジェクトのプロパティはすべてカスタムフィールドで設定されるため、カスタムオブジェクトではそのようなリストは利用できません。代わりに、カスタムフィールドのタイプごとに、プリセットされた演算子のリストを利用できます。カスタムオブジェクトのフィールドに基づく条件に加え、「現在のユーザー」の条件と「更新」の条件が使用できます。
各条件でサポートされる演算子は次のとおりです。
フィールドタイプ | 演算子 | 値 |
---|---|---|
チェックボックス | = | TrueまたはFalse |
現在のユーザー | =、≠ | エージェントロールおよびユーザーから選択 |
小数 | =、≠、あり、なし、次より小さい、次より小さいか等しい、次より大きい、次より大きいか等しい | 任意の少数値を入力 |
ドロップダウン | =、≠、あり、なし | フィールドのオプションから選択 |
整数 | =、≠、あり、なし、次より小さい、次より小さいか等しい、次より大きい、次より大きいか等しい | 任意の整数値を入力 |
ルックアップリレーションシップ | =、≠、あり、なし | そのターゲットオブジェクトのレコードから選択 |
複数行 | =、≠、あり、なし、次を含む、次を含まない | 任意の文字列値を入力 |
正規表現 | =、≠、あり、なし、次を含む、次を含まない | 任意の値を入力 |
Text | =、≠、あり、なし、次を含む、次を含まない | 任意の文字列値を入力 |
更新 | = | 指定したカスタムオブジェクトに対してレコードが作成または更新 |
オブジェクトトリガのアクション
アクション文では、条件文が真である場合、トリガを起動して実行する操作を定義します。基本的に、これらは「then」文です。条件が真であれば(If)、これらのアクションを実行します(then)。条件と同様に、利用可能なアクションは、カスタムオブジェクトのフィールドに基づいて決定されます。
カスタムフィールドの各タイプでサポートされるアクションは次のとおりです。
フィールドタイプ | アクション |
---|---|
チェックボックス | TrueまたはFalse |
小数 | 小数値を指定 |
ドロップダウン | フィールドのいずれかのオプションを選択 |
整数 | 整数値を指定 |
ルックアップリレーションシップ | 関連するオブジェクトのレコードのアクションを指定 |
複数行 | 文字列値を設定 |
正規表現 | 値を設定 |
テキスト | 文字列値を設定 |
オブジェクトトリガを作成する
オブジェクトトリガを作成するには、管理センターの「トリガ」ページの「オブジェクト」タブを使用します。
オブジェクトトリガを作成するには
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- ページ上部の「オブジェクト」タブをクリックし「トリガを作成」をクリックします。
- 「名前」にトリガの名前を入力します。
- (オプション)「説明」にトリガの説明を入力します。
そのトリガを使って何ができるかを詳しく説明します。説明を手がかりにトリガを検索できるようになります。
-
トリガオブジェクトを選択します。
選択したトリガを保存すると、後から変更できません。
- 「条件を追加」をクリックし、「すべて」または「いずれか」の条件を満たすようにトリガを設定します。
- 追加する各条件について、「カテゴリ」、「演算子」、および「値」を選択します。
フィールド演算子は、条件とその値との関係を決定します。たとえば、フィールド演算子「=」を選択した場合、条件と値は等しくなければなりません。詳しくは「オブジェクトトリガの条件」を参照してください。
- 「アクションを追加」をクリックして、トリガの条件が満たされたときに実行するアクションを設定します。
- 追加する各アクションについて、「アクション」を選択し、「値」を指定します。詳しくは「オブジェクトトリガのアクション」を参照してください。
- 「作成」をクリックし、トリガを「アクティブ」または「非アクティブ」に設定します。
オブジェクトトリガを管理する
作成したオブジェクトトリガは、順序を変更したり、条件やアクションを変更したり、複製したり、非アクティブにしたり、削除したりすることができます。
オブジェクトトリガを並べ替える
オブジェクトトリガのリストは、オブジェクトごとに整理されています。少なくとも一つのトリガを含む各オブジェクトは、アルファベット順に並べられ、その下にオブジェクトのトリガが並びます。トリガを含むオブジェクトのレコードが作成または更新されるたびに、すべてのオブジェクトトリガが評価された後、すべてのアクションが一度に実行されます。つまり、最初のオブジェクトトリガのアクションによって、レコードがリスト内の後続のオブジェクトトリガの条件を満たすかどうかが決定されることはありません。
オブジェクトトリガを並べ替えることはできますが、同じオブジェクト内の他のトリガとの相対的な関係でのみ可能です。オブジェクト間でオブジェクトトリガを移動したり、並べ替えたりすることはできません。
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- ページの上部にある「オブジェクト」タブをクリックします。
- 「順序を編集」をクリックします。
- トリガを並べ替えるトリガオブジェクトを選択します。
- トリガをドラッグ&ドロップして、順番を並べ替えます。
- 「保存」をクリックします。
オブジェクトトリガを編集する
トリガオブジェクトの値以外は、オブジェクトトリガを作成した後から編集することができます。
オブジェクトトリガを編集するには
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- 「オブジェクト」タブをクリックします。
- 編集するオブジェクトトリガの名前をクリックします。
- 名前、説明、条件、アクションを必要に応じて変更します。
- 「保存」をクリックします。
オブジェクトトリガを複製する
既存のトリガとほとんど同じで内容で、少し変更を加えた新しいトリガを作成したい場合があります。この場合、既存のトリガを複製して編集することができます。
オブジェクトトリガを複製するには
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- 「オブジェクト」タブをクリックします。
- 複製するオブジェクトトリガの名前をクリックします。
- 「アクション」をクリックし、「複製」を選択します。
編集用のトリガのコピーが開きます。
- 必要に応じて複製したオブジェクトトリガを編集し、「作成」をクリックし、トリガを「アクティブ」または「非アクティブ」に設定します。
オブジェクトトリガを非アクティブにする
不要になったトリガは、削除するか、非アクティブにすることができます。削除したトリガは完全に消去され、二度と使用できなくなります。将来的にトリガを再び使用する可能性があるが、現在は必要ない場合、そのトリガを非アクティブにすることができます。非アクティブなトリガは、トリガリストの上部にある「ステータス」ドロップダウンで「非アクティブ」を選択すると表示され、必要に応じて再アクティブ化することができます。トリガを再度アクティブにした場合、以前に作成または更新されたオブジェクトレコードに対して、遡ってトリガが実行されることはありません。
オブジェクトトリガを非アクティブにするには
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- 「オブジェクト」タブをクリックします。
- 非アクティブにするオブジェクトトリガの名前をクリックします。
- 「アクション」をクリックし、「非アクティブ」を選択します。
オブジェクトトリガを削除する
不要になったトリガは、削除するか、非アクティブにすることができます。削除したトリガは完全に消去され、二度と使用できなくなります。トリガを完全に削除する場合、そのトリガをあらかじめ非アクティブにしておく必要があります。
オブジェクトトリガを削除するには
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- 「オブジェクト」タブをクリックします。
- トリガリストのすぐ上にある「ステータス」ドロップダウンリストで「非アクティブ」を選択します。
- 削除するオブジェクトトリガを見つけ、オプションメニューアイコン()をクリックし、「削除」を選択します。
すでに非アクティブなオブジェクトトリガを表示している場合は、「アクション」をクリックし、「削除」を選択します。
- 確認画面で「トリガを削除」をクリックします。