メッセージングでの会話中に、エージェントにつながるまでの時間が不明だと、カスタマーがフラストレーションを感じ、会話を放棄してしまうことがあります。そのため、特にエージェントにつながるまでの待機時間を予測・管理することは、良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するうえで非常に重要です。
予想待機時間をカスタマーに伝えることで、次のようなメリットが得られます。
- カスタマーエクスペリエンスの向上:待機時間の目安をバナーで表示することで、不確実な待機状態や不安を軽減し、カスタマーが自分の期待を適切にコントロールできるようになります。
- 透明性の向上:待機時間のバナーを通じて、チケットのステータスがエージェントによって常に最新に保たれていることがわかり、サポートプロセスの透明性が高まります。
この記事では、メッセージングの待機時間バナーの機能と、バナーを有効にする方法を説明します。
この記事では、以下のトピックについて説明します。
待機時間バナーを使用するための前提条件
次の設定が正しく行われていることをご確認ください。
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メッセージングが有効になっており、以下のネイティブのメッセージングチャネルを少なくとも1つ使用している。
- Zendesk Web Widget
- iOSまたはAndroid版のZendesk SDK v2.30.0以降
- Unity Zendesk SDK v3.2.0以降
- 改良されたメッセージングバックエンドを使用している
待機時間の計算方法について
待機時間はあくまで予測値であることを理解しておくことが大切です。その精度には、さまざまな要因が影響します。
計算方法を理解するには、以下のポイントを把握しておく必要があります。
待機時間の計算に使用する主なデータ
Zendeskでは、統計モデルを使用し、次の2つの主要データを基にチケットの待機時間を計算します。
- キュー内のカスタマーの順番における平均待機時間:このモデルは、キュー内でのカスタマーの順番に基づいて、平均待機時間を算出します。つまり、過去のデータから、同じような順番にいたカスタマーの待機時間をもとに推定を行います。
- グループまたはキューに固有の過去の待機時間:このモデルでは、チケットに割り当てられたグループやキューの過去の待機時間も計算に含まれます。これは、グループごとに人員体制やチケットの種類、業務効率などが異なるため、それらに応じたパフォーマンスの違いを考慮して、より正確な予測を行うためです。
待機時間の計算に使用されるデータの最新性
メモ:
予想待機時間は、過去7日間に少なくとも1回チケットがルーティングされたキューおよびグループに対してのみ表示されます。これは、モデルが正確な予測を行うために、最新かつ関連性の高いデータに基づいて計算できるようにするためです。
モデルは、以下に示す最新の期間からパフォーマンスデータを取得します。
- 過去10分:最新のアクティビティと待機時間のスナップショットを取得し、短期的な予測に活用します。
- 過去2時間:過去10分間に十分なデータがない場合、こちらを参照します。
- 過去7日間:過去2時間にもデータがない場合、過去7日間のデータを使用します。
予想待機時間の精度に悪影響を与える要因
以下のようないくつかの要因が、モデルによって計算される予想待機時間の精度に影響を与える可能性があります。
- たとえば、チケット送信の急増は、短期的に精度を下げる要因となることがあります。これは、突発的なチケットの増加によって対応リソースが逼迫し、実際の待機時間が、これまでのデータに基づく予測値よりも長くなる可能性があるためです。ただし、チケット件数や待機時間の増加を反映した新しいデータが蓄積されると、モデルはそれに応じて調整され、予測精度は徐々に向上します。
- 最近のチケットデータが不足している場合、モデルは過去のデータに頼らざるを得なくなります。その結果、現在の状況に即した正確な予測が難しくなることがあります。このような影響は、直近でルーティングされたチケットの数が少なく、モデルが参考にできる最新の実績データが十分にない場合に発生します。
- エージェントの空き状況が変化すると、一時的にデータが不正確になることがあります。
- 新しく作成されたキューやグループでは、過去のデータが少ないため、モデルが正確な予測を行えないことがあります。しかし、時間の経過とともにチケットの処理が増えることで、モデルがデータを蓄積し、予測精度も徐々に向上していきます。
待機時間バナーが表示されるタイミングについて
待機時間バナーの設定に基づき、待機時間またはキュー内の順番がバナーに表示されます。「まもなくエージェントが対応します」というメッセージをバナー表示して、待機中のカスタマーを安心させることができます。
待機時間バナーは、グループまたはキューの割り当てが変更された場合にのみ表示されます。具体的には、以下のような場合が対象です。
- チケットが初めてグループに割り当てられたり、キューに追加された場合。この最初の割り当てがトリガとなり、カスタマーに予想待機時間を知らせるバナーが表示されます。
- チケットが、あるグループやキューから別のグループやキューに転送された場合。すでに待機時間バナーが表示されている場合は、その内容が更新されることがあります。これは、新しいキューの状況により待機時間が変動する可能性があるためです。このような変化は、カスタマーの期待値に影響を与えるため、適切に通知することが重要です。
データは1分ごとに更新され、過去1分以内に変更があった場合は、更新された待機時間が表示されます。
待機時間が増えたり、キュー内の順番が遅くなることもあります。以下はその例です。
- アカウントでは、チケットの優先度によってキュー内の並び順が決まります。優先度の高いチケットが後から追加された場合、それより優先度の低いチケットの前に割り込むことがあり、その結果、待機中のチケットの順番が後ろにずれたり、待機時間が長くなったりすることがあります。
- エージェントの問題解決が通常より時間がかかっている場合、待機時間の表示が長くなります。
バナーに「まもなくエージェントが対応します」とメッセージを表示する
エージェントがチケットへの対応を開始すると、バナーの表示が変わり、「まもなくエージェントが対応します」というメッセージが表示されます。このメッセージがバナーに表示されるのは、以下の場合です。
- エージェントがチケットを引き受けた場合:メッセージングの会話関連のチケットは、人間のエージェントに回されます。アカウントの設定で、これらのチケットをエージェントが手動で引き受けることも、自動的に引き受けさせることもできます。
- オムニチャネルルーティングにより、チケットがエージェントに直接割り当てられた場合:管理者またはチームリードが、オムニチャネルルーティングを使ってチケットをエージェントに手動で割り当てた場合にも、バナーが表示されます。
- エージェントが自分自身にチケットを割り当てた場合:エージェントが未割り当てのチケットを閲覧し、「自分に割り当てる」オプションを使って自分自身にチケットを割り当てた場合。
エージェントが最初のメッセージを返信すると、バナー表示は消えます。
バナーが表示されない場合について
以下の場合、待機時間バナーは表示されません。
- グループまたはキューの割り当てが変更されたときに、チケットに関連するグループまたはキューがオフラインだった場合。
- チケットに関連付けられているグループまたはキューがなく、グループまたはキューの割り当てが変更されたときにアカウントがオフラインだった場合。
- チケットが特定のエージェントに直接割り当てられた場合、予想待機時間のバナーは表示されません。
- エージェント間をチケットが移動しているときに、チケットがキューに戻らない場合。この場合、チケットは別のエージェントに直接渡されるため、待機時間が伸びることはありません。
- チケットがキューから出た場合。たとえば、メッセージングセッションがタイムアウトした場合などです。
- エージェントがチケットのグループの唯一のオンラインメンバーである場合。このシナリオでは、エージェントがすぐに対応できない場合でも、チケットはすぐにエージェントに直接割り当てられます。
メッセージングの待機時間バナーを有効にする
メッセージングの待機時間バナーを有効にするには、以下の手順に従います。
- 管理センターで、サイドバーの「
チャネル」をクリックし、「メッセージングとソーシャル」>「メッセージング」を選択します。
- チャネル(Android、iOS、Web Widget、またはUnity)を選択します。
- 「待機時間」をクリックまたは展開します。
- 「予想待機時間を表示」チェックボックスをクリックすると、エージェントが応答する予想時間が表示されます。
- 「キュー内の順番を表示」チェックボックスをクリックすると、エージェントはキュー内の自分の順番を確認できます。
- 「保存」をクリックします。