自律型AIを使用するAIエージェントは、人間が必要最小限のサポートをするだけで、ユーザーからの複雑なリクエストを自ら処理できるように設計されています。これらのAIエージェントは、カスタマーとの会話中に自律的な意思決定、計画、適応的な実行を行うことができます。つまり、より自然で人間らしい方法でカスタマーとやりとりしながら、世間話を交えたり、必要な次のステップを特定したり、状況に応じて追加の質問を行ったりすることで、複雑な問題やあいまいなリクエストにも対応できます。
自律型AIエージェントは、カスタマーの期待に応えるレベルのサービスを提供する一方で、自動化率を高め、人間のエージェントや管理者の負荷を軽減します。
この記事では、以下のトピックについて説明します。
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自律型AIエージェントの優れた点
自律型AIエージェントは、最小限の設定で導入でき、管理者による制御と高い透明性を備えているため、自動化率80%の実現を大きく加速します。さらに、適応的な推論力によって、あらゆるチャネルからの細かな問い合わせにも柔軟に対応し、最適な解決方法を自律的に判断できます。
自律型AIを搭載したAIエージェントは、自動化された会話のアプローチそのものを刷新します。従来のような硬直的な対話フローに依存せず、次のように機能します。
- サービスに特化した設計:他のソリューションのように幅広い業務フローに重点を置くのではなく、高度で繊細な問い合わせでも解決できるよう、サービス対応に最適化されています。
- すばやく導入・簡単に拡張:複雑な対話フロー、硬直的なテンプレート、手動トレーニングは不要。導入は数か月ではなくわずか数分で完了し、スケールも容易です。
- より自然で高品質なカスタマーエクスペリエンスを提供:タスクを実行するだけではなく、必要に応じて確認の質問を行い、最適なアクションを判断し、文脈に応じてリアルタイムに応答を調整します。
- 品質をコントロールできる運用:AIの判断プロセスを可視化できるため、完全自律で運用するか、制御されたワークフローに沿って動作させるかを選択できます。いずれの場合でも、対応品質を組織の基準に合わせて維持できます。
自律型AIエージェントは、スクリプトで制御する従来型のチャットボットや、第一世代の生成AIボットの限界を超え、より高い自動解決率、低コストの運用、そして魅力的なユーザーエクスペリエンスを実現します。
自律型AIエージェントの機能
以下の表に、自律型AIエージェントの主な機能をまとめました。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| アップグレードされたAIエージェントビルダー |
ビジネスポリシーを書くだけで、AIエージェントが自律的に会話を進める「生成プロシージャ」を作成できます。そのため、これまでのように対話をすべてスクリプトで組み立てる必要はありません。なお、すべてを生成プロシージャに移行する必要はなく、従来のスクリプト型の対話に残すトピックと、生成プロシージャで処理するトピックは、自由に選択できます。 また、生成プロシージャはAIエージェントの多言語化にも対応しています。一度、1つの言語でプロシージャを記述すれば、AIエージェントがサポートするすべての言語で使用できます。 |
| インテグレーションとアクション | 自律型AI搭載のAIエージェントは、AI生成のプロシージャを活用して、既存のセッション、CRMアクション、APIコールなどを統合できます。そのために必要なのは、API定義フォームで、AIエージェントに必要な追加コンテキストを提供することだけです。 |
| 適応型推論 | 自律型AIエージェントは、カスタマーからのリクエストを分析し、問題を特定したうえで、最適な次のアクションを判断し、業務プロシージャの範囲内で動的に対応します。その際、現在のコンテキストを評価して不足している情報を見極め、必要に応じて追加の質問を行います。特に優れているのは、自律型AIを搭載したAIエージェントが、1つのユーザーリクエストの中に含まれる複数の問題をそれぞれ処理できる点です。 |
| 推論制御 | 自律型AIエージェントのアクションや判断理由は、会話ログで確認できます。すべての会話内容を監査し、解決方法を見直すことで、動作の微調整や解決策の信頼性の向上が可能です。 |
自律型AIエージェントの注意事項と現在の制限事項
自律型AIを使ったエージェントを利用し始めるにあたっては、次のポイントと、現時点での制限を確認してください。
- メールには対応していない:自律型AIエージェントはメールチャネルでは利用できません。
- 生成プロシージャではリッチテキストフォーマットはサポートされていない:自律型AIエージェントで使用される生成プロシージャでは、リッチテキストフォーマット(ボタンやカルーセルなど)はサポートされていません。ただし、対話ではリッチテキストフォーマットがサポートされています。
- 生成プロシージャで検索ルールはサポートされていない:自律型AIエージェントが使用する生成プロシージャでは、ナレッジソースの指定に検索ルールを使用することはできません。つまり、ナレッジソースを複数設定し、特定のユーザーに対して特定のナレッジソースのみを使用するようにAIエージェントに指示することはできません。ただし、対話を使用する自律型AIエージェントでは、検索ルールは引き続き使用できます。
- ペルソナが必須:自律型AIエージェントでは、ペルソナの設定が必要です。設定されていない場合、AIエージェントがメッセージを受信するたびに技術的なエラーが発生します。
- エスカレーション返信の変更:自律型AIエージェントには、新しい「エスカレーション」システム返信が導入されています。これは、カスタマーからエスカレーションの要求があった場合や、管理者が生成プロシージャ内で「エスカレーション」を参照した場合に、自動的にトリガされます。従来の「トレーニング不要」型AIエージェントから自律型AIエージェントに移行した場合は、現在使用しているエスカレーション返信をコピーし、新しいシステム返信に貼り付けたうえで、古いエスカレーション返信は非アクティブ化するか削除してください。
次のステップ
自律型AIエージェントを作成し、設定する方法については、「AIエージェント - Advancedの初めての使い方」を参照してください。