Zendesk Guideを使用してカスタマーのためのヘルプセンターを構築すると、カスタマーがチケットを作成せずに問題を自分で解決するためのセルフサービスチャネルが作成されます。これにより、エージェントが処理しなければならないサポートリクエストが減り、チケットの数が減るため(「チケットの削減」という)、カスタマーサポート組織の規模を調整しやすくなります。
この記事では、セルフサービスチャネルを構築し、その効果を測定するためのツールとメトリックを紹介します。この記事を最大限に活用するには、Guideを使用してセルフサービスコンテンツをカスタマーに提供し、ユーザーのアクティビティを測定する必要があります。
ナレッジベースのエンゲージメントメトリックの分析
ナレッジベースのアクティビティの分析は、Zendesk Supportのレポートダッシュボードから始まります。ダッシュボードで、管理者はナレッジベースの重要なエンゲージメントメトリックを測定することができます。
使用するツールとその場所
「ナレッジベース」タブは、Zendesk Supportのレポーティングダッシュボードにあります。Supportでナレッジベースダッシュボードを開くには、サイドバーにあるレポーティングアイコン()をクリックし、「ナレッジベース」タブをクリックします。
プラン要件
すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + Guide
フィルタリングができるチャネル
ナレッジベースコンテンツはヘルプセンターに含まれているものですが、Web Widget(従来版)に表示したり、Webサイトの他のサポート機能と一緒に表示したり、モバイルSDKを使用してナレッジベースとサポート機能をアプリに埋め込むこともできます。
ナレッジベースダッシュボードには、ナレッジベースのすべてのアクティビティが表示されます。ナレッジベースコンテンツをWeb Widget(従来版)やモバイルSDKなどの他のセルフサービスチャネルに拡張している場合は、全体または特定のチャネルごとに分析を表示できます。
- ヘルプセンター
- モバイルSDK
- Web Widget(従来版)
測定できる内容
- 表示回数:レポート対象の期間にナレッジベースの記事が閲覧された回数です。これにより、ユーザーがどのコンテンツを閲覧し、どのコンテンツを使って問題を解決しているのかを把握することができます。
- 投票:これはヘルプセンターの記事に投じられた賛成票と反対票の合計です。総投票数だけでなく、賛成票または反対票のいずれかの数のみを表示することができます。これは、コンテンツについてカスタマーがどのように評価しているかを追跡する良い方法です。これらの評価を改善するために、反対投票数の多い記事は見直しをしましょう。
- 受信登録:ヘルプセンターで記事のフォローを選択したカスタマーの数です。これにより、カスタマーはコメントが追加されたときにメールで更新通知を受け取ることができます。これはユーザーの行動測定に最適な基準であり、特定の分野の専門知識を持つ多くのカスタマーは、これを使用してユーザーのコミュニティに関与し、ヘルプを提供します。記事にコメントを追加することで、記事が更新されたことをフォロワーに知らせることができます。
- コメント:カスタマーがさらに詳しい情報を必要としたり、ヘルプセンターから提供された情報についての説明を必要とする場合、記事にコメントを追加します。コメントを使用して、詳しい情報や想定外のユースケースなどを追加して、ナレッジベースの情報を充実させることができます。また、カスタマーがサポートリクエストを送信する前にコメントを読むことで問題を解決できれば、サポートチケットの作成も抑えられます。
検索エンゲージメントのメトリックの分析
探している情報をヘルプセンターで見つけられなかったら、セルフサービスチャネルはほとんど役に立っていません。Supportのレポーダッシュボードにある「検索」タブには、カスタマーが何を検索しているか、回答を検索した後にどのような行動を取るかを追跡するためのメトリックがあります。
使用するツールとその場所
「検索」タブは、Zendesk Supportのレポートダッシュボードにあります。Supportで、サイドバーにあるレポーティングアイコン()をクリックし、「検索」タブをクリックします。
プラン要件
すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + Guide
測定できる内容
検索に関しては、カスタマーが何を探しているかを把握することが重要です。それを理解するには、以下のメトリックを確認します。
- 検索結果なし:これは該当する結果がなかった検索の数です。つまり、検索キーワードを含む情報が、ナレッジベースやコミュニティに見つからなかったということです。この数値は、これらの検索をカバーするコンテンツを作成したり、関連する検索用語を含む記事タイトルを作成する必要があること、あるいはカスタマーとの間で使用する用語を一致させる努力が必要なことを示しています。
- クリックなしの検索:これは該当する結果が見つかったが、クリックされなかった検索件数です。このメトリックは、求めている記事ではなかったか、またはカスタマーが記事の内容をすばやく理解できるように記事タイトルを修正する必要があることを示しています。
- 検索後に作成されたチケット:カスタマーがヘルプセンターを検索した直後にサポートリクエストを作成した回数です。このメトリックは、提供されたコンテンツがカスタマー自身で問題を解決するには十分ではないことを明らかに示しているため、おそらく3つのメトリックのうち最も重要なものです。これは、製品自体に問題があることを示している可能性もあります。セルフサービスのコンテンツが十分であっても、カスタマーが製品を使用できていない場合が考えられます。
Googleアナリティクスによるヘルプセンターのトラフィックとアクティビティの監視
他のWebサイトと同様に、Googleアナリティクスを使用してヘルプセンターのトラフィックやアクティビティを追跡して分析することができます。Googleアナリティクスは、Webサイトのトラフィック、ユーザーのアクティビティ、ユーザーのエンゲージメントに関して業界標準のメトリックを提供します。重要なアクティビティデータのスナップショットを提供するSupportのレポートダッシュボードと併用することで、Googleアナリティクスは重要なユーザーの行動やヘルプセンターの利用度をさらに深く分析することができます。
これらのメトリックからは、ヘルプセンターを使用してどれだけのチケットが削減されたかを知ることはできませんが、ヘルプセンターでのコンテンツの使用と効果を包括的に理解することができます。
使用するツールとその場所
Zendesk GuideとGoogleアナリティクスのインテグレーション。Guide用にGoogleアナリティクスを設定したら、Googleアナリティクスアカウントでヘルプセンターのアクティビティを追跡できるようになります。
プラン要件
Googleアナリティクスに対応しているすべてのプラン
測定できる内容
- ページビュー:ヘルプセンターのページの閲覧数。ページの閲覧数は、GoogleアナリティクスとZendesk Supportのナレッジベースのレポートタブの両方で追跡できます。
- 単独訪問者数:ヘルプセンターにアクセスしたユニーク訪問者の数です。ヘルプセンターにアクセスするたびにセッションとしてカウントされ、(通常は)1回のセッションで複数のページが閲覧されます。ヘルプセンターにアクセスしているユーザーの数を追跡すると、指定した期間内の閲覧数の合計と比較することで、その使用状況を把握できます。月間の単独訪問者数1,000人に対して同期間のページビューの合計数10,000を比較すると、ユーザーのページ閲覧数が1セッションあたり平均10ページであることがわかります。これは、セルフサービスのコンテンツを利用するカスタマーの数を把握するのに役立ちます。
- 新規セッションの割合:新規ユーザーとリピートユーザーのヘルプセンターの訪問回数を把握することで、ユーザーのニーズに応えるコンテンツを検討することができます。たとえば、新製品をリリースすると、新しいユーザーが急増する可能性があります。新製品を使用するために必要な情報を提供することで新しいユーザーに対応できます。
- 平均セッション時間:ヘルプセンターでのユーザーセッションの平均所要時間は、ヘルプセンターでの滞在時間を示しますが、さらに詳細なドリルダウンを行えば、特定の記事やFAQを読むのにユーザーがどれくらいの時間を費やしたかを理解できます。理想的には、ユーザーが十分な時間をかけて、提供した情報に目を通せることです。時間をあまりかけていないようだったら、コンテンツが魅力的ではないか、必要な情報が含まれていない可能性があることが分かります。
- ページ/セッション:ヘルプセンターのセッション中に表示された平均ページ数です。これも同じく、セルフサービスのコンテンツがどれだけ利用されているかを示します。
- 直帰率:ヘルプセンターの1つのページだけを見てヘルプセンターを離れたユーザーの割合です。直帰率とは、ユーザーがアクセスした最初のページを表示した直後にヘルプセンターを離れたことを意味します。ユーザーがたまたまヘルプセンターにアクセスした可能性もあります。あるいは、ヘルプセンターで見たものが気に入らなかったのかもしれません。
Googleアナリティクスでは、ユーザーが何を検索しているのか、その検索後にどのような行動を取るのかを分析することもできます。
関連情報
セルフサービススコアの計算
セルフサービスチャネルとしてのヘルプセンターの効果をより直接的に数値化し、チケット作成の抑制に与える影響を直接的に把握するために、セルフサービスのスコアから判断できます。このメトリックはセルフサービス率とも呼ばれ、次の計算式を使用して手動で計算できます。
セルフサービススコア = ヘルプセンターのユーザーセッションの総数 / チケットのユーザーの総数
- 「ヘルプセンターでGoogleアナリティクスを有効にする方法」の説明に従って、Googleアナリティクスアカウントを設定してGuideに接続します。
- Googleアナリティクスで数か月にわたるユーザーアクティビティのデータがある場合は、ヘルプセンターのユニークユーザー数の30日分のスナップショットなどを作成します。
- その数値を同じ期間中にチケットを送信したユーザーの合計数で除算します。この数値を確認するには、D_COUNT(Requesters)メトリックを使用して、レポート対象の期間を「チケット作成日 - 日付」フィルターを使用して指定するExploreクエリを作成する必要があります。詳しくは「クエリの作成方法」を参照してください。
この計算を行う際に、セルフサービスの試みとしてヘルプセンターの積極的な利用と考えられるものを定義することもできます。「セルフサービスの成功を測る6つのステップ」で、RJMetricsのErin Cochran氏は次のように述べています。「コンテンツインタラクションの我々の定義によれば、訪問者とは単にヘルプセンターのランディングページにアクセスしたり、新しいチケットフォームにすぐに移動したりするだけではないということです」。これにより、チケットを送信する前にセルフサービスを試そうとしていた訪問者の数をより正確に知ることができました。 Erin氏はセルフサービスを評価するための他の有用なヒントを自分のブログで公開しています。
ナレッジキャプチャーアプリによるナレッジベースのコンテンツの使用状況と解決したチケット数のトラッキング
ナレッジキャプチャーアプリを使用すると、エージェントはナレッジベースのコンテンツを共有したり、カスタマーをナレッジベースのコンテンツに誘導したりすることが簡単にでき、カスタマーがサポート上の問題を自分で解決できるようになります。
ナレッジベースのコンテンツへのリンクをカスタマーへの返信に追加するため、エージェントは手作業による対応が必要になりますが、コンテンツへのリンクを使用することでユーザーが自分でチケットを解決することができたかどうかを追跡できます。この場合、チケットの作成は抑えられませんが、セルフサービスチャネルを使用したことで問題が解決される可能性があります。
使用するツールとその場所
Zendesk Exploreのナレッジキャプチャーダッシュボードダッシュボードを開くには、ExploreでZendesk Guideダッシュボードを選択し、「ナレッジキャプチャー」タブをクリックします。
プラン要件
すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + Guide
関連情報
Answer Botによるチケットの自動解決のトラッキング
Answer Botは、機械学習を使用してサポートリクエストのテキストをスキャンし、チケットに自動的に応答して、問題の解決に役立つナレッジベースの関連記事のリストを提示します。カスタマーがエージェントと対話する必要はありません。
ナレッジキャプチャーアプリと同様に、Zendesk ExploreでAnswer Botのアクティビティの分析を表示できます。最も重要なことは、ナレッジベースの記事を使用して解決されたチケットの数がわかることです。
これには、全体的なパフォーマンス(リンクがチケットを解決した回数)と個々の記事のパフォーマンス(カスタマーが問題を解決するのを助けるのに最も適切な記事と最も不適切な記事かを示す数値)が含まれます。
使用するツールとその場所
Zendesk ExploreのAnswer Botダッシュボード。ダッシュボードを開くには、ExploreでZendesk Guideダッシュボードを選択し、「Answer Bot」タブをクリックします。
プラン要件
すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + GuideとAnswer Botアドオン
関連情報
セルフサービスチャネルのレポートオプションのまとめ
レポーティングツール | プラン要件 | レポートの場所 |
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「ナレッジベース」ダッシュボード | すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + Guide |
Supportのレポートダッシュボードの「ナレッジベース」タブ |
「検索」ダッシュボード | すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + Guide | Supportのレポートダッシュボードの「検索」タブ |
Googleアナリティクス | Googleアナリティクスに対応しているすべてのプラン | 「Googleアナリティクス」ダッシュボード |
「ナレッジキャプチャーアプリ」ダッシュボード | すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + Guide | Exploreの「Guide」ダッシュボードの「ナレッジキャプチャー」タブ |
「Answer Bot」ダッシュボード | すべてのSuiteプラン(Suite Teamプランを除く)、またはSupport + GuideとAnswer Botアドオン | Exploreの「Guide」ダッシュボードの「Answer Bot」タブ |