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セルフサービスチャネルを立ち上げるための最初のステップは、達成すべき重要なタスクを計画することです。この計画には、ヘルプセンターを開設する時期、コンテンツ作成者の指名、ヘルプセンターのセットアップとブランド設定を行う管理者の任命などが含まれます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
基本的な質問に答える
セルフサービスサポートチャネルのコンテンツ開発と立ち上げを成功させるためには、以下の質問に答えを用意して計画を作成する必要があります。
- ヘルプセンターの開設をいつにするか?
- ナレッジベースのコンテンツを誰が作成するか?
- 誰がヘルプセンターをセットアップし、稼動させるのか?
もちろん、これらの質問には多くの情報が関わっており、補足が必要な質問もたくさんありますが、これらはセルフサービスのプロジェクトを開始する際に、自分に問いかけるべき重要な質問です。
この記事の次のセクションでは、これらの質問のそれぞれについて、さらに詳しく説明します。
ヘルプセンターの開設時期を決定する
ヘルプセンターの本番稼働はいつ頃が良いでしょうか?答えは、できる限り早くです。理想的には、Zendesk Supportの本格稼働と同時にヘルプセンターを立ち上げることで、初日からマルチチャネルのソリューションを実現し、ナレッジベースのコンテンツでカスタマーの問題解決を支援する準備を整えることができます。しかし、多くの場合、セルフサービスチャネルは、Supportの本番稼動後、サポートリクエストが殺到したときに、多数のサポートリクエストを迅速に処理する必要に迫られて立ち上げられます。
Zendesk Supportを立ち上げた後にヘルプセンターを立ち上げる利点としては、サポートリクエストを受け取ることで、リクエストの上位を占めるサポートの課題を把握することができ、ナレッジベースに含めるべき記事を作成するなどの対策がとれることです。これはチケットのデータから把握できます。
タイミングの問題は、製品やサービスの深さや複雑さ(ナレッジベースに追加すべきコンテンツの量)、ヘルプセンターの設計や設定の管理などにも関係します。この点を考慮すると、まずはシンプルに、最も必要なセルフサービスのニーズにできるだけ早く対応できる体制を整えることを考えるべきでしょう。ヘルプセンターを立ち上げた後に、ナレッジベースにコンテンツを追加することもできますし、設計も開設後に何度でも変更することができます。幅広く深い知識を集積し、美しくブランド設定されたヘルプセンターの設計を、すぐに実現できるでしょう。
- できるだけ早くヘルプセンターを開設しましょう。
- すぐに立ち上げられない場合は、サポートリクエストの内容から、作成すべきナレッジベースの記事のコンテンツを判断することができます(まだコンテンツを決めていない場合)。
- ヘルプセンターを迅速に立ち上げるには、設計をシンプルなものにして、カスタマーに必要な情報をできるだけ早く提供することです。
ロールとセルフサービスチームを定義する
セルフサービスチャネルを提供するには、ナレッジベースのコンテンツが必要です。つまり、誰かがコンテンツを書く必要があります。セルフサービスを提供しようとする多くの企業にとって、これが最初の障害となることがあります。コンテンツを作成できるプロのライターがいないからです。
プロの手で洗練されたコンテンツを作成することは重要ですが、必ずしもプロのライターが書く必要はありません。その代わりに、たとえば、ライティングスキルを持つサポートチームの誰かが、この種のコンテンツを作成するためのベストプラクティスに従っていれば、作成することは可能です。
ナレッジベースの記事を作成するには、ライターだけでなく、作成に必要な情報を提供する各分野の専門家(SME)や、コンテンツの正確さを確認するメンバー(大抵は同じSME)の協力が得られることも重要です。
一般的なセルフサービスチャネルの立ち上げと同様に、コンテンツの作成プロセスには、さまざまなロールの多くの人が関与することもあれば(複雑なプロセス)、できるだけ少ない人数で行うこともあります(シンプルなプロセス)。
小規模なチームの場合
セルフサービスサポートチャネルの立ち上げと継続的な開発の成功には、さまざまなチームや職能の人々が関わっているものです。しかし、セルフサービスサポートを始めた時点では、まだこれらの人々をリソースとして利用できないかもしれません。その代わり、はるかに少ない人数で、セルフサービスチャネルの立ち上げと管理を行うことができます。
ドキュメントチームやテクニカルライターがいれば、もちろんナレッジベースのコンテンツを作成することができます。しかし、そのようなリソースがない場合や、会社の規模が小さく成長の途中にある場合、あるいはサポートソリューションをカスタマーに展開しているだけの場合は、ナレッジベースのコンテンツの作成をメンバーの誰かに頼むこともあるでしょう。
サポートチームのメンバーにナレッジベースの記事を書いてもらうデメリットは、必要に迫られた結果、そのメンバーがすぐに専任のライターになってしまうとことです。たとえば、大規模なナレッジベースの開発と管理が必要になる場合や、他にリソースがない場合などです。しかし、プロのライターに依頼できない場合は、往々にしてこれが最善の方法となります。サポートエージェントは、文章を書いてカスタマーとやりとりすることに多くの時間を費やしているため、製品を深く理解し、適度なライティングスキルを備えているからです。
コンテンツのライターに加えて、SMEを何人か参加させ、公開前のコンテンツレビューを担当する人(通常はSME)、ヘルプセンターのセットアップと管理を行う人、ヘルプセンターのデザインにブランド設定する人が必要になります。ここでは、小規模チームにおける各メンバーのロールについて詳しく説明します。
ヘルプセンター管理者 |
ヘルプセンター(場合によってはZendesk Gatherを使用したオンラインコミュニティ)をセットアップし、ユーザーロールを設定して、ヘルプセンターの情報アーキテクチャ(コンテンツのセクションやカテゴリ)構築の支援を行います。さらに、ヘルプセンターのインターフェイスを設計するすべてのメンバーに協力します。 ヘルプセンターがセットアップされて稼働すると、ヘルプセンター管理者はフルタイムのロールではなくなります。したがって、コンテンツを作成する担当者や、セルフサービスチャネルのを立ち上げを支援するために選ばれたSupportチームの担当者を兼任することもできます。 |
ナレッジベースの記事作成者 | ナレッジベースの記事を作成および管理する担当者です。 |
テクニカルレビューア/SME | 製品マネージャーは、多くの場合、SMEおよびナレッジベースコンテンツのレビューアです。製品の機能に詳しい、コンテンツのレビューやコンテンツの作成を支援できる社内や組織内のメンバー。 |
ヘルプセンターのビジュアルデザイナー | ヘルプセンターのデザインを作成するのは1回限りの作業です。設計とブランド設定を作成し、オーナーになる社内または組織内の担当者が必要です。 |
小規模チームの事例:Zendesk
Zendeskがまだとても小さな会社だった頃、サポートチームにテクニカルライターを採用し、ナレッジベースコンテンツを作成していました。やがてドキュメントチームの規模は大きくなり、プロダクトチームに組み込まれ、現在も存続しています。
プロダクトチームと緊密に連携することで、継続的に優れたドキュメントを簡単に作成できるようになるため、多くの新製品リリースやアップデートのタイミングに合わせてドキュメントを制作することが可能になります。新しい製品がリリースされると同時に、製品ユーザーのためにナレッジベースの記事も用意されます。
Zendeskのドキュメントチームは、コンテンツを作成するだけでなく、サポートチームやユーザーからのフィードバックに対処する形で、常にコンテンツを洗練し、最新の状態を維持し、内容が正確で有用なものにします。また、サポートされる他の言語へのコンテンツの翻訳も担当します。
大規模な組織の場合
エンタープライズレベルの企業になると、大規模なチームともっと複雑なワークフローが必要になります。このセクションでは、大規模な組織向けのセルフサービスコンテンツを作成するチームの各スタッフのロールを紹介します。
ナレッジマネージャー | 大規模な組織でセルフサービスを展開するには、小規模なチームよりもプロジェクト管理に手がかかることがあります。このナレッジマネージャーのロールにおいては、イニシアチブの開始から完了までを管理し、ビジョンを掲げ、社内の他の部門に宣伝し、リソースのコミットメントを確保します。多くの場合、プロジェクトマネージャーまたはプログラムマネージャーがこのロールを担います。 |
推薦者 / 寄稿者 | ナレッジベースを充実させるためのアイデアやさまざまなコンテンツを生み出すために、推薦者や寄稿者を多数選ぶことができます。このロールを担うのは、多くの場合、製品マネージャーやサポートエージェントですが、選ばれたカスタマーでもかまいません。 |
スタイルレビュー担当 / 発行者 | ブランドを重要視している企業や組織の場合は、すべてのコンテンツが承認されたスタイルに準拠しているかどうかを監視し、カスタマーに対して一貫性のあるブランド設定を提示する担当者を割り当てることができます。たとえば、クリエイティブチームやマーケティング担当者などです。 |
レポートスペシャリスト | ZendeskのレポートツールとGoogleアナリティクスを使用すると、ヘルプセンターのコンテンツの利用状況や、提供しているセルフサービスの効果について、多くの貴重な知識を得ることができます。セルフサービスのメトリックには、把握して追跡したいものが数多くある場合は、そのデータを監視して報告する担当者を割り当ててもよいでしょう。このロールは、データサイエンティストに最適です。 |
トレーナー | コンテンツの寄稿者チームに多数のメンバーがいる場合は、全員がコンテンツを作成して公開し、フィードバックを収集してコンテンツに取り入れる適切な方法を理解できるように、正式なトレーニングプログラムを提供することをお勧めします。 |
セルフサービスの提供を開始する際は、まず上の最初の表で説明した中核的なロールに焦点を当ててください。サポートチームが成長し、拡張してより多くのリソースで作業負荷を共有する必要が生じたときに、これらの追加のロールを他のスタッフに割り当てることが適切かどうかを判断できます。
- ヘルプセンターを迅速に設置し、ナレッジベースの記事を作成するために、大規模なチームや専任のリソースは必要ありません。
- 文章を書く能力がある人、製品の知識がある人、またはそのようなリソースとコンタクトできる人が必要です。
ヘルプセンターとブランドを設定する
コアチームを構成するライターやレビュー担当者以外にも、ヘルプセンターを設計、設定、管理、および起動するための担当者が必要です。前のセクションでコアチームについて説明したように、ヘルプセンター管理者とヘルプセンターのデザイナーが必要です。
ヘルプセンター管理者は通常、専任のロールではありません。ヘルプセンターの立ち上げを1人で担当している場合は、セットアップと管理のタスクも担当することになるでしょう。これには、ヘルプセンターをセットアップモードで有効にする(稼働準備の最初のステップ)、コンテンツの編成方法を設定する、ユーザーのロールを定義する、ヘルプセンターのブランド設定のためにヘルプセンターデザイナーと協力するなどのタスクが含まれます。
- 管理タスクの概要については、「ヘルプセンターをGuideで構築する方法:設定」を参照してください。
- ヘルプセンターのデザインとブランド設定について詳しくは、「ヘルプセンターのブランド設定」を参照してください。