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セルフサービスチャネルのコンテンツ開発と展開を計画する最初の手順を実行したら(「セルフサービスを提供するには - パート3:セルフサービスコンテンツのプロジェクト計画」を参照)、コンテンツのアーキテクチャとヘルプセンターのナレッジベースの編成方法について検討する必要があります。次に、ナレッジベースの記事を追加するカテゴリとセクションを追加することで、ヘルプセンターに構造を作成することができます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
ナレッジベースのコンテンツの編成
ヘルプセンターの利用者が誰であるかによって、ナレッジベースの構築方法に影響を与えることがあります。たとえば、利用者が一般消費者である場合は、製品の使用、サイトの案内、注文、返品、出荷の問題の理解に役立つアーキテクチャに重点を置くと良いです。
ヘルプセンターの構造の最上位レベルは、カテゴリです。カテゴリ内にセクションを作成して、下位レベルのコンテンツを編成できます。次に、各セクションに記事を配置します。これは、一般的な2つのレベル(カテゴリとそのカテゴリ内のセクション)から成る構造です。
Zendeskヘルプセンターのナレッジベースコンテンツに使用されるカテゴリの例を以下に示します。
これらのカテゴリの下には、関連性のある記事を整理するためのセクションがいくつかあります。この例では、「Guideの使い方」がカテゴリで、「Guideの基本知識」と「Zendesk guideのセットアップ」がセクションです。
フラットな構造(1階層のみの編成)が必要な場合は、カテゴリを1つだけ作成して、そのカテゴリ内にセクションを作成することもできます。使用するカテゴリが1つの場合、そのカテゴリはコンテンツの構造には表示されません(ヘルプセンターのエンドユーザーには表示されません)。どのようなアプローチをとるにしても、できるだけシンプルな構造を維持するように努めるべきです。
幸いなことに、Zendesk Guideには、あらゆるタイプの企業や組織向けに作成されたヘルプセンターの例が多数あります。BtoC(消費者向け)、BtoB(企業向け)およびBtoE(従業員向け)の各ヘルプセンターの構造とデザインの例について、以降のそれぞれのセクションで説明します。
カテゴリとセクションから成るナレッジベース構造の作成ついて詳しくは、「ナレッジベースのコンテンツをカテゴリ別およびセクション別に整理する方法」を参照してください。
- ナレッジベースのコンテンツをカテゴリ、セクションおよび記事に編成する。
- 可能な限りシンプルな構成にする。
- コンテンツをどのように整理するかは、利用者側の状況と、利用者に提供する必要があるコンテンツの種類によって異なる。
BtoC(消費者向け)ヘルプセンターの例
BtoC企業の一例として、オンライン小売業者が挙げられます。BtoCヘルプセンターは、企業に注文を行う顧客へのサポート、出荷や返品に伴う活動や問題に焦点を当てています。
この例は、家庭やライフスタイル製品のオンライン小売業者であるMagnoliaのものです。ヘルプセンターはサイトにシームレスに統合されており、デザインも視覚的に統一され、グローバルナビゲーションの「ヘルプ」をクリックするだけでヘルプセンターにアクセスできます。
ナレッジベースのコンテンツを詳しく見ていくと、購入の障壁を取り除き、返品の方法などのよくある質問に関する情報を見つけやすくするなど、必須事項に重点が置かれていることがわかります。
コンテンツの構造をできるだけフラットにしています。記事の構成は1階層です(記事のセクションのみ)。
記事の1つを見ても、コンテンツがいかに簡潔で直接的であるかがわかります。できるだけ短く、問題を解決するためにどのようなアクションを取るべきかが明確に示されています。これは、ヘルプセンターのすべての記事で共通しています。
上に示した2つの画像のどちらでも、おそらく目立つのは検索バーではないでしょうか。ユーザーは必要な情報を検索することは好みますが、情報アーキテクチャの複数の階層をクリックして移動する必要はありません。つまり、カスタマーに提供するさまざまな種類の情報を分類する必要がありますが、できるだけ単純にします。
BtoCヘルプセンターを作成する場合、Zendesk GuideとSupportを一緒に使用してこのモデルをセットアップする方法の詳細については、「企業対消費者間(BtoC)サポートでのSupportの利用」を参照してください。
BtoB(企業向け)ヘルプセンターの例
さまざまなタイプのBtoB企業があることを考えると、BtoBヘルプセンターの例もそれだけ数多くあります。ただし、ベストプラクティスとして、通常は、可能な限りシンプルな構成にしています。
例として、Slackのヘルプセンターを見てみましょう。SlackはBtoCモデルのサポートにも使用できますが、主にBtoBとBtoE(従業員向け)であり、B2Bコンテンツ構造の優れた例となっています。Slackを利用することで、チームはグループディスカッションやチームメンバー間のプライベートメッセージの交換といった形で、リアルタイムの会話を通じてより良いコミュニケーションを取ることができます。ユーザーはヘルプセンターにアクセスして、ソフトウェア、アプリケーション、およびサービスの使用方法を理解します。
Slackのナレッジベースは前述のMagnoliaの例よりも広範囲で確かに複雑ですが、それでも構造はいたってシンプルなものです。
ヘルプセンターのホームページでは、コンテンツの整理のために6つのカテゴリを作成しています(上の画像には全カテゴリは示されていません)。カテゴリ(「Slackの使用」など)をクリックすると、テーマに関連したセクションに記事が編成されているのがわかります。
記事はシンプルで直接的であり、記事のタイトルは主に「Create ~」、「Remove~」、「Set~」、「Delete~」といった明確な動詞で始まるスタイルが特徴です。これは、ナレッジベースコンテンツのベストプラクティスに従ったものと言えます(Zendeskは「Using ~」「Creating ~」「Enabling ~」などの動名詞から始まるスタイル)。
記事は、簡潔な文章、短い段落、明確にフォーマットされた手順説明など、できるだけ簡潔にされています。
Magnoliaの例と同様に、Slackのヘルプセンターは同社のWebサイトのデザインに合わせて設計されており、ヘルプセンターはサイト内のグローバルナビゲーションからすばやくアクセスできるようになっています。
BtoBヘルプセンターを作成する場合、Zendesk GuideとSupportを一緒に使用してこのモデルをセットアップする方法の詳細については、「企業間(BtoB)サポートでのSupportの利用」を参照してください。
BtoE(従業員向け)ヘルプセンターの例
BtoEヘルプセンターには、通常、従業員が新しい仕事を開始する際に必要な情報の多くが含まれており、組織内の典型的なビジネスプロセス(経費報告書の提出方法、社内IT部門へのサポート依頼方法など)に関する情報が必要な場合の参考資料として利用されます。
以下の例のヘルプセンターでは、これらのリソースや他の多くの一般的な従業員ドキュメントリソースに、ホームページから、またはページ上部の検索ボックスからすばやくアクセスできます。
BtoEヘルプセンターは社外に公開されるものではないため、デザインは実用的であり、実装が容易なものなっている傾向があります。BtoBやBtoCのヘルプセンターほど洗練されたものではないにしても、明確に整理された使いやすいコンテンツの作成を目指したものとなっています。
BtoEヘルプセンターは通常、Slack、Confluence、Trelloなどの他の社内システムやコラボレーションツールへのポータルとしても機能します。このような使い方の場合、カテゴリまたはセクションと見なされるものへのリンクは、実際には単にそれら他のシステムおよびツールへのリンクとなっています。BtoEヘルプセンターの構成は、従業員が就業中に必要とする数多くのリソースに何らかの秩序を持たせるのに役立ちます。
BtoEヘルプセンターを作成する場合、Zendesk GuideとSupportを一緒に使用してこのモデルをセットアップする方法の詳細については、「企業対従業員間(BtoE)サポートでのSupportの利用」を参照してください。
進化するヘルプセンターの構成とデザイン
Zendeskは、最初はシンプルなヘルプセンターを作成し、できるだけシンプルさを維持しながら、ナレッジベースとセルフサービスを成長させることを提唱してきました。時間とともに成長するナレッジベースとヘルプセンターの例として、過去9年間に(本記事の執筆時点で)Zendeskがヘルプセンターをどのように開発してきたか見てみましょう。
この2012年のスナップショットは、急速に拡大するナレッジベースを整理するために使用した、いくつかのカテゴリのうちの1つを示しています。当時、Zendeskは1つの製品で(現行のSupport)、私たちが焦点を置いていたのは、カスタマーに私たちの製品を理解させ、その使用をサポートするという比較的シンプルな目標でした。また、製品発表用のカテゴリ、サポートのヒントやFQA用のカテゴリ、コミュニティ専用のカテゴリもあり、ユーザーのフィードバックを求めたり、サポートする上でやりとりしたりしました。
2015年までに、Zendeskはチャット、高度なレポート機能、開発者向けプラットフォームなど、他にも多くの製品を提供するようになりました。ヘルプセンターもコア製品からスピンオフされ、ナレッジベースを構築し改善するための多くの機能が追加されてきました。
コンテンツの執筆チームは新製品とともに成長し、数多くのデザインの見直しに加えて、急速に成長するナレッジベースにコンテンツ構造を適応させ続けてきました。上図の例に示すように、ヘルプセンターのホームページからコンテンツをナビゲートできるように、3つの階層を作成しました。また、ページの展開/折りたたみ領域を使用して、ユーザーがコンテンツの構造を簡単に理解できるようにしました。
当時のヘルプセンターにもZendeskブランドの要素は含まれていましたが、現在のようにzendesk.comをシームレスに拡張するものではありませんでした(本稿の執筆は2020年春)。
Zendeskは今や、それぞれ独自のナレッジベースとドキュメントの課題を持つ製品スイートに成長しました。各製品には独自のナレッジベースとヘルプセンターがあり、これらはすべてグローバルナビゲーションおよび検索エンジンに統合されています。ヘルプセンターのホームページ(https://support.zendesk.com/hc/en-us)から特定のZendesk製品を選択すると、その製品のナレッジベースコンテンツが表示され、特定のコンテンツセットを検索できます。
製品固有のヘルプセンターでは、その製品の検索結果のみが表示され、ナレッジベースの記事とコミュニティの投稿が返されます。
これらの独立しつつ統合されているヘルプセンターのデザインと構造には一貫性があります。「初めての使い方」、「...の使用方法」、「ヒントとトラブルシューティング」など、共通する主要なカテゴリがいくつかあります。
幅広い製品がある場合は、一貫性を保つことが不可欠です。ヘルプセンターの利用者は、コンテンツの編成方法(使用するカテゴリとセクション、および記事レベルでのコンテンツの表示方法)を理解したうえで、一貫性があることを期待します。一貫性があることで、ユーザーがヘルプセンター内を移動する際に、コンテンツの編成方法を再処理する必要がなくなります。
デザインも進化し、コンテンツの構成も進化し、おそらくはコンテンツも進化しています(カスタマーの質問にできる限り明確に、正確に、簡潔に答えるように改良されている)。しかし、継続的な進化のプロセスを通じて、コンテンツ(カスタマーが必要とする情報)は常にヘルプセンタープロジェクトの最も重要な部分となります。カスタマーにとっては、問題を解決するために必要な情報をすばやく見つけることができれば、完成度の高くないデザインや時折見つかるタイプミスは重要な問題ではありません。