時間をかけて、推奨されるベストプラクティスを使用して高品質なナレッジベースを作成し維持していくことが、効果的なセルフサービスのための強固な基盤を構築するための最善の戦略です。ただし、ナレッジベースをすばやく充実させ、AIによる返答の質を高めたい場合は、以下に挙げる戦略が役立つでしょう。
この記事では、次のトピックについて説明します。
戦略1:チケットデータを分析する
チケットデータを分析することは、最も多くのカスタマーを支援できるトピックを検索する最善の方法です。カスタマー支援に必要なトピックが分かれば、ナレッジベースの記事を作成・補充し、不足している情報を準備できます。たとえば、チケットを分析して以下のような情報を得ることができます。
- カスタマーが困っている共通の問題や問題点
- よくある質問(FAQ)
- カスタマーに影響を与える既知の技術的な問題と回避策
- 時間のかかる問題
チケットの分析は手作業でも可能ですが、初めは労力を要する場合があります。優れた戦略があれば役立ちます。チケットを分析して必要なコンテンツを特定するために使用できるプロセスの一例を以下に示します。
- チケットをカテゴリに分類する:チケットを分類する方法は、チケット内で収集している情報に基づいて決まります。理想としては、「説明」というカスタムフィールドを使用して、問題ごとに分類したいところです。次に、Exploreレポートを作成して、主要なチケットカテゴリと課題を確認します。詳しくは「チケットをカテゴリに分類する」を参照してください。
- チケットの分類を詳しく検討して、よくある問題を見つける:チケットをカテゴリに整理した後、チケット件数が最も多いカテゴリを詳しく調べて、発生頻度の高い問題を見つけるためのビューを作成します。詳しくは「チケットの分類を詳しく検討して、よくある問題を見つける」を参照してください。
- チケットから記事を作成する:エージェントは、コンテキストパネルの「ナレッジベース」セクションを使用して、エージェントワークスペース内のチケットから直接、新しいヘルプセンター記事を作成したり、リクエストしたりすることができます。詳しくは「ナレッジベースにおける記事の作成とリクエスト」を参照してください。
- 生成AIで記事コンテンツを拡充する:「高度なAI」アドオンをお持ちの場合は、記事エディタ内でテキスト長文化ツールを使用して、記事のコンテンツをすばやく拡張できます。このツールを使って、短いメモや箇条書きから完全な段落を作成でき、へルプセンターのコンテンツをすばやく拡充できます。詳しくは「生成AIを使用したヘルプセンターコンテンツの長文化および洗練化」を参照してください。
- ドキュメント化する内容を決定する:見つかった問題を記録する追跡用ドキュメントを作成し、ドキュメント化する内容を決め、コンテンツ作成の優先順位を設定します。まずは最もよくある問題の5%を特定し、まずそれらの問題への対応に集中します。チケット対応のためのナレッジベースコンテンツの開発を少しずつ進めることで、大きな効果を得ることができます。詳しくは「ドキュメント化する内容を決める」を参照してください。
戦略2:カスタマーのよくある問題を特定する
チケットに記載されたカスタマーのよくある問題を確認した後は、カスタマーの課題をさらに詳しく調査するために、他の情報源を活用します。たとえば、以下のような分析を行うことができます。
- マクロ:よくあるチケットへの返答にマクロを使用している場合は、最もよく使われているマクロを調べ、よくあるカスタマーの問題点の手がかりを見つけることができます。それができたら、これらのマクロでカバーされているトピックをナレッジベースに文書化できます。既知の問題と回避策をカバーするマクロは、ヘルプ記事を作成する上で非常に有益な情報源となります。
- タグ:チケットに付けられたタグを使用して、よくある問題を特定することができます。タグクラウドを調べて、過去30日間に最もチケットに適用された100個のタグを確認します。これにより、ナレッジベースに必要な記事を特定するのに役立ちます。
戦略3:既存のコンテンツを見直す
既存のコンテンツは、問題を特定し、ナレッジベースを構築する上で役立つもう1つの情報源になります。多くの場合、既存のコンテンツはそのまま使用でき、最小限の編集でナレッジベースに追加することが可能です。
たとえば、よくある問題やその回避策を思い出すのに役立つ非公式の文書や「チートシート」を持っているエージェントがいるかもしれません。また、Wiki、社内ヘルプセンター、またはその他の活用可能な非公式なプロセスを通じてチームと情報を共有しているエージェントもいるかもしれません。
既存のコンテンツを活用するための戦略を確認する方法については、「他の情報源を参照して、カスタマーの問題を調べる」を参照してください。
戦略4:コミュニティの声に耳を傾ける
よくある問題や問題点をコミュニティで探るには、以下のような方法があります。
- エージェントと話す:エージェントはよくある問題を教えてくれるだけでなく、必要なドキュメントを明確に説明できる場合もあります。エージェントと定期的にミーティングを行い、新しいコンテンツの提案や、可能な場合はコンテンツの作成やレビューへの参加を促します。
- コミュニティの声を聞く:最も活発なスレッドをチェックして、わかりづらい機能についてのコメントがないか調べます。カスタマーのコメントが集中している機能があれば、操作を失敗しやすい箇所である可能性があり、ドキュメント化した方がよいかもしれません。ヘルプセンターのコミュニティフォーラムを定期的にチェックする方法もあります。ヘルプセンターにコミュニティフォーラムがなければ、サードパーティのコミュニティフォーラム(Redditなど)をチェックし、貴社の製品についてカスタマーが話題に挙げたり、質問したりしているかどうかを確認できます。
- ソーシャルメディアをチェックする:カスタマーがいるあらゆる場所にアクセスして、発言内容をチェックします。よくある問題について話題に上ることがあるかもしれません。
戦略5:コンテンツをAI用に最適化する
文書化すべき問題を特定したら、記事を一から新規作成するか、チケットから作成するか、または生成型AIを使用して、最小限の箇条書きリストやメモから記事のテキストを拡張するか、いずれかの方法をとることができます。記事の作成方法に関わらず、以下のシンプルな戦略を使用してコンテンツを最適化し、ヘルプセンターで生成AIに対応した記事を作成することができます。
- 記事のタイトルとコンテンツには、一貫性のある構造化された形式をとる:記事のタイトルや小見出しは簡潔でわかりやすいものにします。記事内で手順や要点を説明する場合は、箇条書きや番号付きリストを使用します。
- マルチメディアの使用は控えめに:ヘルプセンターの記事を読むユーザーがコンセプトを理解し、理解を深めるられるように、記事に画像、図、スクリーンショットを追加して充実化することは良いアイデアですが、画像や動画は生成AIに対応していないことに留意してください。画像を使用する場合は、必ずALTタグを使用し、テキストに代わるものとしてのマルチメディアの使用は避けてください。
- 1つのアイデアに焦点を絞る:1つのアイデアに集中し、簡潔な記事タイトルを作成し、最初の75語のキーワードを強調して、明確で焦点の絞られたコンテンツを作成し、ユーザーの理解を促します。
- シンプルに保つ:記事はシンプルで簡潔にし、要点を明確にします。専門用語を避け、明確でわかりやすい言葉を使用することで、あらゆるレベルの専門知識を持つユーザーが理解しやすいようにします。
自動応答の品質と精度を向上させるために記事を最適化する方法については、「ヘルプセンターのコンテンツの最適化」を参照してください。
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