SIP(Session Initiation Protocol)技術は、インターネット回線での音声通話や他のコミュニケーションサービスを可能にします。
Talkは現在、インターネットからのコール受信にSIP-INをサポートしています。インターネットでコールを発信するためのSIP-OUTは現在サポートされていません。
SIP-IN回線の一般的なユースケースは、外部のAIエージェントをTalkに接続することです。たとえば、電話の最初の対応をAIエージェントに行わせたい場合があります。AIエージェントが解決できない場合は、Zendeskエージェントに転送します。
SIP-IN回線をTalkに追加したら、人間のエージェントやボイスメールが利用できない場合にAIエージェントに電話を転送するようにTalkを設定できます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
コールのエスカレーションプロセス
この記事では、このプロセスがどのような働きをするのか、大まかに説明します。
- エンドユーザーが公衆交換電話網(PSTN)の電話回線を使用して、Talkの電話番号に電話をかけてきます。
- エージェントが不在でボイスメールがオフの場合、Talkは、コールのオーバーフローまたはIVRキープレスを使用して、外部AIエージェントへのコールをAIエージェントプロバイダーがホストする外線番号に転送します。
- AIエージェントは、発信者の問い合わせに対応するか、対処できない場合は、SIP-IN回線を使用してオンライン中のZendeskエージェントにコールをエスカレーションします。
- エスカレーションの際に、AIエージェントが収集した発信者の問い合わせに関する情報をチケットに含めてZendeskエージェントに引き継ぐことができます。チケットの引き継ぎが行われない場合は、Supportによってそのコールのチケットが生成されます。
ステップ1:TalkのSIP-IN回線の要件について
手順を開始する前に、TalkでSIP-IN回線を使用するための要件を確認して理解しておきます。詳しくは「Talk SIP-IN回線の追加」を参照してください。
- SIPヘッダーのフォーマットは、X-Zendesk-Ticket-Id=<チケット番号>です。
- チケットを作成する際には、via_id 34(詳しくはこちら)を使用します。これにより、Zendeskで音声着信コールチケットとして識別されます。
- 当社のプロバイダーは、メディア用にG.711 μ-law(PCMU)とA-law(PCMA)コーデックをサポートしています。
- Twilio音声ディアIPは、168.86.128.0/18という単一のグローバル範囲を使用し、UDPポートの範囲は10000~60000です。
ステップ2:Zendesk Talkからの着信コールを外部AIエージェントにつなぐ
必要な要件を満たしたら、着信コールをAIエージェントにつなぐように設定できます。
コールをAIエージェントにつなぐようにするには
- SIP-IN回線用に作成したURIでAIエージェントを設定します。詳しくは「Talk SIP-IN回線の追加」を参照してください。
- エージェントが電話に出られない、またはボイスメールが応答できない場合に、AIエージェントにダイヤルするようにコールのオーバーフローを設定します。Suite Enterpriseプランで複数のスケジュールを作成し、時間を決めてコールをオーバーフローさせることができます。チケット番号はAIエージェントには渡されません。
標準のZendesk電話番号(公衆交換電話網、PSTN)に着信があった際、エージェントやボイスメールが対応できない場合は、TalkがPSTN回線を使用してAIエージェントにコールを転送します。コールはTalkのリアルタイムダッシュボードに表示されます。
ステップ3:AIエージェントと対話する
このステップでは、発信者が外部のAIエージェントと対話します。
AIエージェントが発信者を認証し、Zendesk Supportチケットを作成して会話を記録します。発信者が新しいエンドユーザーの場合、外部AIエージェントはSupportに新しいプロフィールを作成し、このプロフィールをチケットにリンクすることができます。
エージェントがSIP-INコールを処理する際、発信者情報やSIPの詳細を含むリンクされたコールチケットが表示されます。
AIエージェントによって生成されたチケットは、SIPヘッダーを使用してSupportに渡され、コールと関連付けられる必要があります。SIPヘッダー形式(X-Zendesk-Ticket-Id=<チケット番号>)を使用します。チケット番号は作成したいチケットの番号です。
チケットを作成する際は、via_id 34(詳しくはこちら)を使用してください。これにより、Zendeskで音声着信コールチケットとして識別されます。
ステップ4:コールを完了する
AIエージェントがコールを受けた後、プロセスは次の2つのうちのいずれかに分岐します。
- 外部AIエージェントが回答して発信者の質問を解決し、コールを終了し、チケットを更新します。チケットの更新情報は、Zendeskのレポーティングに使用できます。オムニチャネルルーティングは、このチケットのパラメータを使用して動作することができます。
- AIエージェントは発信者の問い合わせを解決できず、SIP-IN回線を使用してコールをTalkにエスカレーションします。Talkは対応可能なエージェントのメッセージを再生し、エージェントにこのコールを引き受けるか確認されます。SIP-IN回線の営業時間の設定、ボイスメール、オーバーフローの設定は考慮されます。コールがルーティングされている間、Talkの保留音が再生されます。
コールが終了すると、外部AIエージェントから引き継がれたチケットがエージェントに表示されます。チケットには発信者とSIPの詳細情報が追加されます。
コールのエスカレーションを設定するには
- 管理センターで作成したSIP-IN回線URIにコールを転送するように、AIエージェントを設定します。
- 作成したSIP回線を介してSupportにチケットを渡すようにAIエージェントを設定します。このプロセスは、使用するAIエージェントによって異なる場合があります。詳しくは、AIエージェントのドキュメントを参照してください。AIエージェントはZendesk APIを使用して、その会話に関するチケットをSupportに作成することができます。さらに、必要に応じてAIエージェントにZendeskのユーザープロフィールを作成させることもできます。詳しくはAPIに関するドキュメントを参照してください。
エスカレーションの際に、AIエージェントが収集した発信者の問い合わせに関する情報をZendeskチケットの形式でZendeskに引き継ぐことができます。チケットの引き継ぎが行われない場合、コールの新規サポートチケットが生成されます。
Zendeskは、SIP-IN回線で受信したリクエストのIPアドレスを、SIP-IN回線の設定で定義されたIPアドレス範囲と照合して認証します。SIPヘッダーに含まれるチケットIDを使用して、Zendeskは該当するチケットと電話を関連付けます。このチケットは、コールに応答したエージェントに表示され、レポーティング目的にも利用されます。
SIP回線でコールを転送するためのその他の接続要件については、こちらの記事を参照してください。
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