SIP(Session Initiation Protocol)技術は、インターネット回線での音声通話や他のコミュニケーションサービスを可能にします。これは、インターネットベースの電話システムが通信するために使う、共通の言語のようなものです。
SIPを使えば、以下のことを実現できます。
- 仮想エージェントからのコールのエスカレーション:サードパーティの仮想エージェントをZendesk Talkに接続し、リクエスタからの問い合わせを仮想エージェントが解決できない場合は、Zendeskエージェントにコールをエスカレーションします。
- 既存の通信事業者の利用(BYOC):現地の通信事業者を利用し、SIP経由でZendeskにコールを転送することで、その国でビジネスを展開します。
- コール転送:PSTNの使用料を支払わずに、SIP経由でZendeskにコールを転送できます。
- サードパーティアプリケーション(外部IVR)への転送:コールフロー中にパートナーアプリ(外部IVRなど)に接続し、複雑な統合サービスの提供を可能にします。
- Zendeskエージェントへのコール転送が必要とされる、その他のケース。
この記事では、新しいSIP回線の設定方法を学びます。Talkの電話番号を追加する方法については、「Zendesk Talkの電話番号の追加」を参照してください。
この記事では、次のトピックについて説明します。
SIP-IN回線を追加する
このセクションでは、TalkのSIP-IN回線の設置および設定手順について詳しく説明します。
SIP-IN回線を追加するには
- 管理センターで、サイドバーの「チャネル」をクリックし、「Talkとメール」>「Talk」を選択します。
- Talkの設定ページで、「回線」タブをクリックします。「回線」タブで、既存の電話番号、デジタル回線、およびSIP回線を確認し、それらの新しい回線を追加します。「回線」ページで、「回線を追加」>「SIP回線を追加」の順にクリックします。
- 「SIP設定」タブで、以下の設定を行います。
- 識別名:SIP回線の一意の名前を入力します。識別名は、レポートで回線を認識したり、回線をアプリと統合したり、エージェントにコール先のSIP回線を通知する際に必要となります。
- URI:SIPのURIを入力します。このアドレスはZendeskで作成したSIP-IN回線のURIです(例:mtest-zendesk@sip.twilio.com)。このURIを使ってTalkにコールを送信します。
- 認証:SIPリクエストのソースIPアドレスに基づいて認証を行います。「IPアドレス範囲を追加」をクリックして、CIDR(Classless Inter-Domain Routing)アドレスの形式で許可されるIPアドレスの範囲を追加します。
- 次の記事を参照し、「回線」設定ページの各タブで必要な設定を行います。
- 「設定」タブ:詳しくは「Talk回線の設定の管理」を参照してください。
- 「ボイスメール」タブ:「ボイスメールオプションの構成」を参照してください。
- 「ルーティング」タブ:詳しくは「エージェントのグループ別にコールをルーティングする方法」を参照してください。
- 「コール録音」タブ:「Zendesk Talkのコール録音オプションの使い方」を参照してください。
メモ:すべての設定がSIP回線で利用できるわけではありません。 - 操作を完了したら、「保存」をクリックします。
以上でSIP-IN回線の設定は完了です。
SIP-IN回線を編集および削除する
SIP回線を作成したら、回線の設定を編集したり、不要になった場合は削除することができます。
SIP回線を終了するには
- 管理センターで、サイドバーの「チャネル」をクリックし、「Talkとメール」>「Talk」を選択します。
- Talk回線のリストから、編集したいSIP回線の横にある歯車のアイコン()をクリックして、「編集」を選択します。
- 「SIP-IN回線を追加する」セクションの手順を参考に、設定を必要に応じて編集してください
- 編集が完了したら、「変更を保存」をクリックします。
SIP回線を削除するには
- 管理センターで、サイドバーの「チャネル」をクリックし、「Talkとメール」>「Talk」を選択します。
- Talk回線のリストから、削除したいSIP回線の横にある歯車のアイコン()をクリックして、「削除」を選択します。
- 「SIP回線を削除」をクリックして、SIP回線の削除を確定します。
SIP-INの技術要件について
TalkのSIP-IN回線の実装に関する技術要件を理解する上で、以下の情報を参照してください。
- サードパーティは、管理センターで設定されたSIPアドレス(例:mongoose@mongoose.sip.twilio.com)でコールを行うことができる必要があります。ZendeskはTwilio(当社のサービスプロバイダー)のSIPを使用しています。定義済みのSIP URIで、任意のユーザーに電話をかけることができます。
- SIP URIの from フィールドに渡された電話番号(例:+1-xxx-xxxx@mongoose.sip.twilio.com)は、既存のユーザープロフィールをチケットに関連付けるために使用されます。
- ZendeskはIPアクセス制御リストを使用しています。サードパーティのIP範囲は、管理センターで定義できます。ユーザー名とパスワードなどの他の認証方法は使用していません。
- セキュアリアルタイムトランスポートプロトコル(SRTP)はSIP回線ではサポートされていません。現時点でサポートされているのは、リアルタイムトランスポートプロトコル(RTP)のみです。
- AIエージェントのパートナーは、コール前に(関連するすべてのコール情報を含む)Zendeskチケットを作成し、チケットIDをZendeskに渡してSIP通話に関連付けることができます。
- エージェントには、SIP-INコールを処理する際に、発信者とSIPの詳細情報が記載されたリンクされたコールチケットが表示され、シームレスな会話が保証されます。オムニチャネルルーティングも、このチケットのパラメータから実行できます。
- SIPヘッダーのフォーマットは次のとおりです。X-Zendesk-Ticket-Id=1217
- チケットを作成する際には、via_id 34(詳しくはこちら)を使用します。これにより、Zendeskで音声着信コールチケットとして識別されます。
- メディアコーデックとIPの許可リスト:
- 当社のプロバイダーは、メディア用にG.711 μ-law(PCMU)とA-law(PCMA)コーデックをサポートしています。
- Twilio音声ディアIPは、168.86.128.0/18という単一のグローバル範囲を使用し、UDPポートの範囲は10000~60000です
- SIP-IN回線は、オムニチャネルルーティングと互換性があります。
SIP-IN回線の制限事項について
TalkでSIP-IN回線を作成する際には、現在、以下の制限事項が適用されます。
- 現時点では、SIP-INのみが利用可能であり、SIP-OUTはサポートされていません。
- Zendesk Talk SIP回線上のSIPリクエストの認証には、IPアクセス制御リストが使用されます。現時点では、ユーザー名とパスワードなどの他のセキュリティメカニズムはサポートされていません。
- セキュアリアルタイムトランスポートプロトコル(SRTP)はSIPではサポートされていません。現時点でサポートされているのは、リアルタイムトランスポートプロトコル(RTP)のみです。
- フェイルオーバー機能はSIP-IN回線ではサポートされていません。
- SIP-IN回線はAPIを使用して設定できません。設定は管理センターでのみ行えます。
- Talk IVRツリーは現在サポートされていません。
- 折り返し電話機能は現在サポートされていません。
- SIP-IN回線から発信コールを行うことはできません。コールのオーバーフローおよびエージェント転送の場合、発信コールには外部PSTN番号を選択する必要があります。
- SIP-IN回線では電話番号をブロックすることはできません。