Zendesk Talkはインターネットを使用して電話をかけたり受けたりするので、高速で信頼性の高いネットワークを利用することが重要です。Wi-Fiが無効になっている有線ネットワークが最適ですが、使用するネットワークはいずれもTalkが適切に動作するように設定する必要があります。自分で設定できない場合は、IT部門に相談してください。このような設定を行うことで、以下の問題を低減できます。
- レイテンシー:RTP(メディア)パケットが宛先に到着するまでの時間。レイテンシーは、メディア配信の遅延を引き起こし、通話者の声が誤って互いに重なってしまうことがあります。レイテンシーが小さいほど、まるで同じ部屋で2人だけで話しているかのように通話することができます。レイテンシーが大きくなると、その逆で、コールが中断したり、間延びしたりして、発言が相手の会話に被ってしまうようになります。
- ジッター:時間の経過に伴うレイテンシーの変動です。ジッターは通常、妨害音のように聞こえたり、誰かがマイクをつなごうとして失敗したかのように聞こえたりします。さらに、会話の相手側の声が聞こえないこともあります。
- パケット損失:音声信号がデジタル化されて送信される際には、パケットに分割されます。パケットの一部が目的地に到達しないと、音声信号の細部が欠落し、会話の音声に歪みが生じます。
この記事の情報を活用してネットワークの問題を最小限に抑え、Talkを最大限に活用してください。Talkの使用準備に関する一般的な情報については、「Talkの使用計画」を参照してください。ネットワークの問題を回避するには、有線ケーブルと3.5mmジャックのヘッドセットを使用し、有線でインターネットに接続します(Wi-Fiを無効にする)。
一部のアプリケーション、特にストリーミングアプリは、帯域幅を大量に使用します。Zendesk Talkでは、Talkを使用するエージェントごとに500kbpsの帯域幅が必要です。これは、TalkとZendesk Supportが同時に実行されるのオーバーヘッドを考慮したものです。50人のエージェントがいる場合、それぞれ専用の(Qos)500kbps、つまり最低50mbpsの回線が必要になります。
ネットワーク問題をトラブルシューティングする際の最初のステップとして、Netflix、Spotify、YouTubeなどのアプリケーションを終了します。
この記事では、次のトピックについて説明します。
Talkに必要なポート、ドメイン、IPアドレス、およびURL
Talkを使用できるようにするには、ネットワークの調整が必要になるかもしれません。どのような変更も、ファイアウォール、ルーター、スイッチ、ロードバランサー、およびTalkネットワークトラフィックをブロックまたは操作する可能性のあるその他のハードウェアまたはソフトウェアで許可されている必要があります。
ここでは、以下のトピックについて説明します。
ポート設定を構成する
以下の表のポートが、この記事で取り上げたすべてのドメインとIPアドレスと通信できることを確認します。
Zendeskはアマゾンウェブサービス(AWS)によってホストされています。Talkで許可する必要があるAWSのすべての IPアドレス範囲のリストについては、「ファイアウォールとZendeskを共存させるための設定」を参照してください。
ネットワーク上のZendeskサブドメインを許可する必要があります。以下はその例です。
*.{{yoursubdomain}}.zendesk.com
Talkは次の発信ポートを使用します。
TCP / UDP | 443,3478 |
UDP | 10,000~60,000 | 443 | 3478 |
TCP | 5349 |
Twilioドメインへのアクセスを許可する
TwilioはZendesk Talkの音声通信プロバイダーです。次のリストは、アクセスを許可する必要があるTwilioドメインを示しています。
最近追加されたアドレス(2023年5月31日)
chunderw-vpc-gll-us2.twilio.com | media.twiliocdn.com |
voice-js.ashburn.twilio.com | eventgw.au1.twilio.com |
voice-js.sydney.twilio.com | eventgw.br1.twilio.com |
voice-js.dublin.twilio.com | eventgw.ie1.twilio.com |
voice-js.sao-paulo.twilio.com | eventgw.de1.twilio.com |
voice-js.frankfurt.twilio.com | eventgw.sg1.twilio.com |
voice-js.tokyo.twilio.com | eventgw.jp1.twilio.com |
voice-js.singapore.twilio.com | eventgw.us1.twilio.com |
voice-js.umatilla.twilio.com | eventgw.us2.twilio.com |
voice-js.roaming.twilio.com | eventgw.gll.twilio.com |
既存のTwilioドメイン
chunderw-gll.twilio.com | chunderw-vpc-gll.twilio.com |
chunderw-vpc-gll-au1.twilio.com | chunderw-vpc-gll-br1.twilio.com |
chunderw-vpc-gll-ie1.twilio.com | chunderw-vpc-gll-de1.twilio.com |
chunderw-vpc-gll-jp1.twilio.com | chunderw-vpc-gll-sg1.twilio.com |
chunderw-vpc-gll-us1.twilio.com | matrix.twilio.com |
eventgw.twilio.com | gwasset.twilio.com |
sdk.twilio.com |
TwilioのIPアドレスへのアクセスを許可する
以下のリストは、アクセスを許可する必要があるTwilioドメインを示しています。
最近追加されたアドレス(2023年5月31日)
168.86.128.0/18
既存のTwilio IPアドレス
54.244.51.0/24 | 3.1.77.0/24 | 3.112.80.0/24 |
3.122.181.0/24 | 18.228.249.0/24 | 3.104.90.0/24 |
72.52.10.0/24 | 65.9.130.0/24 | 44.234.69.0/25 |
3.235.111.128/25 | 18.141.157.128/25 | 18.180.220.128/25 |
3.249.63.128/25 | 3.7.35.128/25 | 18.230.125.0/25 |
3.25.42.128/25 | 54.252.254.64/26 | 177.71.206.192/26 |
54.171.127.192/26 | 52.215.127.0/24 | 54.65.63.192/26 |
54.169.127.128/26 | 54.172.60.0/23 | 34.203.250.0/23 |
35.156.191.128/25 |
設定で特定のURLを許可する
一部のTalk機能については、Zendeskへの接続はZendeskの他の部分へのリクエストと同じURL(mydomain.zendesk.comなど)経由ではなく、pubsub-shardC-P-N.zendesk.comなどのURLで行われます。これは、たとえば、https://pubsub-shard2-17-1.zendesk.comのように表示されることもあります。
- Cはアカウントのクラスタ(1から3の間の値)
- Pはアカウントのポッド
- Nは1から4までの乱数
pubsub-shardC-P-N.zendesk.com接続を特定するには
- Chromeを開き、オプション(
)メニューをクリックします。
- 「その他のツール」>「デベロッパーツール」をクリックします。
- 「Filter」フィールドに、「pubsub」と入力します。
次のURLを許可するには
「C」と「P」は、以下のURLで確認したクラスタ番号とポッド番号に置き換えてください。
- https://pubsub-shardC-P-1.zendesk.com
- https://pubsub-shardC-P-2.zendesk.com
- https://pubsub-shardC-P-3.zendesk.com
- https://pubsub-shardC-P-4.zendesk.com
ネットワークを設定する
次のネットワーク構成を行う必要があります。
- ZendeskとTwilioのIPアドレスとドメインの両方を必ずステートフルパケットインスペクション(SPI)から除外してください。そうしないと、UDPまたはTCPの接続に時間がかかる恐れがあります。
- スマートスイッチへの接続を想定していないハードウェアを接続しないようにし、この記事で説明されている設定がネットワーク構成に反映されているかをネットワーク担当チームに確認してください。スイッチまたは他のネットワークハードウェアが誤って設定されたCiscoスマートスイッチに接続されていることがあり、許可されたドメインとIPアドレスが上書きされる可能があります。
- ファイアウォールは、Talkを使用するブラウザからパブリックインターネットへの発信UDPを許可し、応答のリターントラフィックを許可する必要があります。ZendeskはAWSでホストされているため、IPアドレス範囲を絞り込むことはできません。AWSネットワーキングの影響により、これらの範囲から少し外れたIPアドレスが表示される場合があります(「ファイアウォールとZendeskを共存させるための設定」を参照)。
- ルーターにSIPアプリケーションレベルゲートウェイ(ALG)機能が装備されている場合は、Zendesk Talkを使用するネットワークでこれらの機能を両方とも無効にします。
- MPLSまたはVPNではTalkは機能しません。リストされているドメインおよびIPアドレスのトラフィックに、VPNで実行することを許可しないでください。
上記のIPアドレスとドメインに対して、記載されているポートへの接続を許可したら(各ポートはリストにあるすべてのドメインとIPアドレスにアクセスする必要があります)、Zendesk Talkのコールの受発信に問題はなくなるはずです。
Proxy、MPLS、またはVPNでのTalkの使用
プロキシ、MPLS、またはVPNを使用するには、Twilioで使用されるIPアドレスとドメインがVPNを通過できるように設定する必要があります。前のトピック「Talkに必要なポート、ドメイン、IPアドレス、およびURL」を参照してください。
適切に設定しないと、バックグラウンドで実行されるサービスが原因で、プロキシ、MPLS、VPNでTalkが機能しなくなります。このサービスは、Talkを実行するための最適なネットワークパスを選択します。VPNを使用している場合は、IPアドレスがマスクされるため、通話相手との間の最短ルートを見つけることも困難です。プロキシ、MPLSまたはVPNを使用する場合、エージェントの実際の場所がわからないため、Talkは効率的にルーティングできません。このことは、遅延やその他のコール品質の問題につながる可能性があります。
Proxy、MPLS、またはVPNを使用するには
- ZendeskとTwilioのドメイン(FQDNのサブドメイン.zendesk.comを含む)のトラフィックを除外します。
- この記事に記載されているIPアドレスを使用してVPNを通します。
Zendesk Talkは、仮想デスクトップ環境には対応していません。
DSCPの使用
DSCPを実装するためのガイドラインについては、「WindowsドメインでのTalkのサービス品質(QoS)設定の構成」を参照してください。
パケット内のDSCPタグによって、ネットワークアプライアンスにトラフィックの優先順位を通知することができます。デフォルトでは、TalkコールのDSCPタグは46です。ネットワークで輻輳が発生する場合は、このセクションの手順を使用してDSCPを実装することを検討してください。Twilioクライアント1.3以降は、互換性のあるブラウザ(Google Chromeなど)ではデフォルトでDSCPを有効にします。
互換性のあるブラウザは、WebRTCメディアパケットにタグを付けます。これにより、LAN上で差別化処理が可能になり、リアルタイムメディアを他のネットワークトラフィックよりも優先させることができます。Differentiated Services(DS)フィールドは、IPv4ヘッダーのTOSオクテットまたはIPv6トラフィッククラスのオクテットにあります。DS準拠のネットワークノード(ルーターなど)には、DSフィールドの値に基づいてパケットを選択する分類器と、バッファ管理、DSフィールドの値によって示される特定のパケット転送処理を配信できるおよびパケットスケジューリングメカニズムが含まれます。
Twilioクライアント1.3では、送信されたRTPパケットはローカルWiresharkパケットキャプチャにDiffServコードポイントを持ちます。DSCPを有効にすると、WebRTCエンジンはRTPパケットにEFをマークします。以下は優先転送に関連する値です。
- バイナリ:101 110
- 16進数:0x2e
- 十進数:46
webRTCをサポートするChromeやFirefoxなどのブラウザを使用する必要があります。DSCPを実装する場合は(推奨)、Chrome(ベータ版を除く最新バージョン)を使用してください。DSCPをサポートしているのはChromeのみです。
Chromeの最新バージョンを使用しているかどうかを確認するには、アドレスバーに「chrome://help/」と入力します。再読み込みボタンをクリックしてChromeを更新します。
ここでは、以下のトピックについて説明します。
DSCP機能を正しくチェックする
一部のWindowsベースの環境では、ネットワークがDSCP用に設定されているにもかかわらず、DSCPタグが除外されます。ネットワーク担当チームは、Wiresharkでキャプチャを実行することにより、DSCPタグがWindowsによって除外されているかどうかを確認できます。DSCPを強制するグループポリシーを実装するか、コンピューターがドメイン内にない場合は、コンピューターごとにDSCPを実装します。
WindowsでDSCPタグが削除されないようにするには、コンピューターがドメイン内にあるかどうかに応じて、次の手順を実行する必要があります。
ドメイン内のマシンのDSCPタグを確認する
ドメイン内のマシンについては、異なるグループポリシールールを設計することによって、特定のアプリケーションに使用されるQoS設定を制御します。
次の手順を使用すると、WebRTCパケットが優先され、ダイヤラーが最適に動作するようになります。
上記を機能させるには、クライアントマシンにこの新しいグループポリシーを強制的に適用する必要があります。通常は再起動すれば解決します。
ドメイン内のマシンのDSCPタグを確認するには
- コマンドラインに「gpedit.msc」と入力すると、グループポリシーのルールが開きます。
- 「グループポリシーのルール」の「コンピューターの構成」で、「ポリシーベースのQoS」を選択します。
- 右クリックして、「新規ポリシーの作成」を選択します。
- 開いたウィザードインターフェイスで、使用するQoSルールを構成します。
- 「ポリシー名」に「Salesloft DSCP」と入力し、DSCP値に「46」を指定します。
- 「次へ」をクリックします。
- 次のダイアログで、「次の実行可能ファイル名を持つアプリケーションのみ」を選択し、「Chrome.exe」と入力します。
- 「次へ」をクリックします。
- このダイアログでは、設定を入力する必要はありません。「次へ」をクリックします。
- 次のダイアログで、QoSを適用するプロトコルを選択します。Salesloft Dialerの場合、これは「UDP」に制限されます。
ドメインにないマシンのDSCPタグを確認する
このセクションでは、レジストリ設定を変更して、構成するグループポリシー設定に基づいて使用されるQoS設定を指定できるようにします。
ドメイン内にないマシンのDSCPタグを確認するには
- 「HKEY_LOCAL_MACHINE」>「CurrentControlSet」>「Services」>「tcpip」>「QoS」に移動します。
- QoSキーが存在しない場合、「TCP/IP」を右クリックして「新規キー」を選択します。
- 名前に「QoS」と入力します。
- 「QoS」キーを選択します。
- 文字列がまだ存在しない場合は、「NLAを使用しない」という新しい文字列値を作成します。
- 値を1に設定します。
- 再起動して設定を有効にします。
Windowsコンピューターの要件
Windowsオペレーティングシステムを搭載したコンピューターを使用している場合、Zendesk Talkで問題が発生する可能性があります。Zendesk Talkをご利用のお客様は、Quality Windows Audio Video Experienceサービスを使用し、スタートアップの種類をデフォルトの「手動」ではなく「自動」に設定する必要があります。
QWAVEが有効で、起動が自動であることを確認するには
- Windowsのスタートメニューを開き、「cmd」と入力します。
- 「コマンドプロンプト」アイコンを右クリックし、「管理者として実行」をクリックします。
- 次のテキストをコマンドラインに貼り付けます。
net start QWAVE
- Enterキーを押します。次のような結果が表示されます。
- この自動スタートアップを永続的に維持するために、コマンドプロンプトに以下を入力し、サービスのスタートアップの種類を「自動」に設定します。
REG add "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\services\QWAVE" /v Start /t REG_DWORD /d 2 /f
- Enterキーを押します。
「QWAVE」サービスのスタートアップの種類が「自動」に設定されました。上記の手順を実行中にエラーが発生した場合は、ITチームのメンバーまたはコンピューター管理者に相談してください(コマンドプロンプトは管理者として実行する必要があります)。
ネットワークにグループポリシーを設定して、すべてのクライアントコンピューターのサービスが「自動」に設定されるようにすると、各コンピューターを手動で設定する手間を省くことができます。
トラブルシューティング
コール品質
この記事で紹介した手順を実行した後、Twilio SDKを使用してコールの品質を調べます。詳細については、「Voice Insights SDK Events Reference」を参照してください。
エラーメッセージ
「現在Talkの一部の機能が利用できません。コールの送受信は引き続き行えます」というエラーメッセージが表示された場合、ブラウザがURLに接続できないことを意味します。通信を許可しない場合、Talkの複数の機能が期待どおりに動作せず、着信の受け入れと拒否、コールの終了しかできなくなる可能性があります。
この問題を解決するには
- ネットワーク管理者に連絡して、ネットワークがリソースと通信できるようにしてください。
- 次を無効にします。
- 後処理。後処理が有効になっていると、ユーザーはすぐにコールから切断されます。
- 録音
- 転送
- 保留
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