このレッスンでは、次のトピックについて説明します。
レッスンの概要
このレッスンでは、エージェントがチケットを解決するやり方を詳しく説明します。管理者およびアカウントオーナーは、Zendesk Supportの管理権限を持つエージェントでもあります。チケットを解決するやり方はエージェントと同じです。
チケットを解決する際には、次のタスクのいくつか、またはすべてを行う必要があります。
- Zendesk Supportへのリクエストを受け取ったことをカスタマーに伝える
- カスタマーと協力して問題をトラブルシューティングする
- 別のエージェントと協力して問題をトラブルシューティングする
- チケットの履歴を確認する
- チケットを解決する
- 繰り返し発生する問題を解決する
レッスン1で作成したテストチケットが、Zendesk Supportで開いた状態になっていますか。開いていない場合は、サイドバーのビューアイコン()をクリックしてチケットを探してください。チケットが、未解決チケットのリストに表示されるはずです。下図のように、回答を入力できる状態のチケットが表示されます。
このレッスンの以降のセクションで、チケットのライフサイクルについて詳しく説明します。
カスタマー宛のチケット更新通知
リクエストが届いたときにエージェントがまずやるべき仕事は、サポートリクエストを受け取ったことを知らせる通知をカスタマーに返信することです。
ただし、Zendesk Supportではその必要はありません。この作業は自動で行われます。チケットが作成された時点で、チケットの受領通知メールが自動的にカスタマーに送信されます。Zendeskではこの通知を「メール通知」と呼んでいます。これらの通知は、特定のチケット更新作業の後にも自動送信されます。
新しいサポートリクエストを受け取ると、そのリクエストを確認するためにメール通知がユーザーに送信されます。メールにはそのサポートリクエストによって作成されたチケットへのリンクが含まれているため、カスタマーはチケットを追跡したり、必要に応じて更新することができます。また、エンドユーザーは、通知に返信することでチケットを更新することもできます。メールに返信するたびに、チケットに新しいコメントが追加されます。
Zendeskのお客様の多くは、メール経由でのみカスタマーとやりとりし、他のコミュニケーションチャネルを開設していません。Zendeskをメール専用に設定するのは簡単です。メール通知のテンプレートを修正して、チケットへのリンクを削除します。また、テンプレートをカスタマイズして、自社のブランドに合わせて外観のデザインを変更することもできます。
トリガとは
リクエストの受領メールは、Zendeskのトリガ機能の実例の1つです。トリガとは、チケットの作成または更新直後に実行されるアクションの集まりです。トリガは、特定の条件が満たされたときに発動します。この例では、チケットが作成されたときに発動します。
Zendesk Supportには、既定のトリガがいくつか用意されています。既定のトリガを編集することも、独自のトリガを定義することもできます。トリガについては、後のレッスンで詳しく説明します。
チケットのタイプと優先度
ご存じのように、チケットのステータスは、新規から解決済みへと順次更新されます。ステータスの更新は、解決までの全行程のどの段階にチケットがあるかを監視するうえで非常に重要です。また、チケットキューの並べ替えや管理に使用できるオプションのチケットプロパティが2つ用意されています(オプションですが非常に便利です)。ステータスの変化とオプションのプロパティは、チケットの緊急性を判断する目安となります。
タイプ
最初のプロパティはチケットタイプで、4つの既定の選択肢から選ぶことができます。それぞれ、「質問」、「問題」、「事象」、「タスク」です。チケットのタイプはオプションで、新規チケットの優先順位付けを行うときにエージェントが手動で選択するものです。
「質問」タイプは、リクエスタの問題が、解決が必要なトラブルではなく、質問であることを示します。
「問題」タイプは、カスタマーの製品またはサービスで発生した問題が、ほかのユーザーにも発生しうる問題である場合に使用します。
「事象」タイプは、複数のユーザーに影響する問題が発生した場合に使用します。事象チケットは問題チケットにリンクされます。問題チケットが解決された時点で、その問題チケットにリンクされているすべての事象チケットも自動的に解決されます。
「タスク」タイプは、特定のエージェントへタスクとしてチケットを割り当てるときに使用します。「タスク」を選択した場合は、「タスクの期日」も設定します。
優先度
チケットの優先度は、各チケットの緊急度を表すのに役立ち、チケットを管理するルールをZendesk Supportで設定する際に適用できます。
優先度の値には、それぞれ、「低」、「普通」、「高」、「緊急」となります。チケットの優先度は任意に決めることができます。たとえば、チケットの送信者であるカスタマーがサポートリクエストを「緊急」に指定している場合や、チケットが作成されてから長時間経過しているような場合には、チケットの優先度を「緊急」に指定します。
問題と事象の例
問題チケットと事象チケットのしくみを理解するために、自分が大企業でサポートを担当していると仮定してみましょう。ある日突然、社内のwikiシステムに障害が発生し、必要な書類に社員がだれもアクセスできなくなったとします。サポートリクエストが大量に届き始めます。そのような場合、ひとつひとつに対応するのではなく、その問題をまとめた新規の問題チケットを1つ作成し、すべてのサポートリクエストを、その問題チケットにリンクします。問題が解決したら、問題チケットを「解決済み」に設定すれば、すべての事象チケットも自動的に解決となります。
よくある質問に回答する
複数のカスタマーに影響するサポート案件の中には、不具合が原因ではないものもあります。定型の回答で済ませられる問題やよくある質問などです。たとえば、多数のカスタマーから、実装していない機能やパスワードのリセットに関する質問が届いたとします。繰り返し寄せられるこの種のリクエストを処理するには、マクロを使用します。
マクロとは、どんなチケットにも簡単に適用できる既定の回答です。マクロを使うと便利な状況の例として、パスワードをリセットしたいというカスタマーからのリクエストに回答する場合があります。問い合わせのひとつひとつに対してエージェントが個別に回答を作成するのではなく、すべてのエージェントが使用できる所定の回答例を1つ作成します。
ビューと同様に、すべてのエージェントが使用できるグローバルマクロや、特定のグループに属するエージェントだけが使用できる制限付きマクロ、個人マクロを作成できます。
マクロはいちから作成することも、チケットに対する回答を再利用して作成することもできます。
マクロはサポート業務の生産性を高めるためのものです。Zendeskには、よくある状況への対応に役立つマクロがいくつか用意されています。
また、よくある質問に対応するには、ナレッジベースを作成するやり方もあります。カスタマーはZendesk Supportのポータルからナレッジベースにアクセスし、自分で答えを検索して探すことができます。ナレッジベースの作成とセルフサービスの詳細については、後のレッスンで説明します。
プレースホルダを使ってマクロをカスタマイズする
カスタマーとのやりとりでは、応答を自動送信するのではなく、直接話しかけられているような印象をカスタマーが持つようにカスタマイズすることを常に心がけてください。マクロや、その他の自動応答通知をカスタマーに送信する場合、カスタマー固有のデータ(名前はチケットへのリンク)を含める必要があります。それには、プレースホルダを追加します。
プレースホルダは、カスタマー宛のメッセージに挿入できるチケットおよびユーザーデータへの参照です。たとえば、カスタマーの名前をマクロの先頭に挿入したい場合、{{ticket.requester.first_name}}というプレースホルダを追加します。このようにしておくと、マクロが処理されチケットが更新されたときに、カスタマーが受け取るメッセージの文頭に、一般的な「お客様各位」ではなく、「佐藤様」のように個人名が表記されます。
マクロを作成して適用する
それでは、実際にマクロを作成してZendesk Supportのチケットに適用してみて、マクロの機能を確認してみましょう。
マクロを作成するには、以下の手順に従います。
- サイドバーの管理アイコン()をクリックし、「管理者センターへ移動する」を選択します。
- サイドバーで、「 ワークスペース」をクリックし、「エージェントツール」>「マクロ」を選択します。
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「マクロを追加」をクリックします。
この例では、詳細情報の提供をカスタマーに依頼するマクロを作成します。チケットのステータスを「保留中」に変更し(カスタマーから必要な情報が得られるまで先に進めないため)、どのような情報が必要かを説明するメッセージを追加します。
- マクロの名前を入力します(「詳細情報が必要」など)。
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マクロには、チケットを更新し、カスタマー宛の通知を生成するためのアクションが含まれています。「アクションを追加」をクリックし、「チケット:ステータス」と「保留中」を選択します。
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次に、別のアクションを追加して、メール通知のメッセージを追加します。「アクションを追加」をクリックし、「チケット:コメント/説明」を選択します。
テキストボックスが表示されます。 -
次のようなメッセージを入力します。
{{ticket.requester.first_name}}様、このたびはお問い合わせいただき、ありがとうございます。この問題を解決するには、追加で情報をご提供いただく必要があります。お手数ですが、製品本体の底面に記載されている機種番号とシリアル番号をお知らせください。
- マクロを使用できるチーム内のユーザーを指定します。「すべてのエージェント」を選択します。
- 「作成」をクリックします。
次は、完成したマクロをチケットに適用してみましょう。
- もう一度テストチケットを表示します。
- チケットウィンドウの下部に「マクロを適用」というボタンがあります。このボタンをクリックして、Zendesk Supportの既定のマクロと、先ほど作成したマクロを表示します。
- リストからマクロを選択します。
チケットはマクロに含まれるアクションによって更新されます。 - 「送信」をクリックして、更新した内容を保存してカスタマー宛のメール通知を生成します。
チケットの履歴を確認する
先ほど述べたように、カスタマーがメール通知に返信すると、チケットに新しいコメントが追加されます。エージェントが問題を解決する過程において、エージェントとカスタマーの間でメッセージのやりとりが何回も行われます。これを、チケットのやりとりと呼びます。その間、チケットは、マクロや、チケットのプロパティや内容を変更するトリガなどの自動化ツールによって更新されることがあります。
チケットデータには2つのビューがあります。1つは、これまでの手順で参照したチケットプロパティとコメントが表示されるビューで、もう1つはチケットのイベントと通知の履歴を確認できるビューです。
この履歴を確認するには、テストチケッと一番上のチケットコメントの上に表示されている「会話」ドロップダウンリストを使用します。このリストで、チケット本体に表示する内容を選択できます。
- 会話:エージェントとカスタマーの間の会話、またはエージェント同士の会話のみを表示します。
- イベント:エージェントやビジネスルールによってチケットに適用されたすべての返信や、ステータスの変更といった情報を表示します。
このレッスンの前半で説明したとおり、トリガはチケットのいくつかの条件に基づいて自動的にチケットを更新するために使用されます。チケットのイベントビューでは、トリガがいつチケットを更新したかを確認できます。また、他のエージェントにいつチケットがCCされたかなども確認できます。
ユーザーおよびチケットを統合する
ユーザー登録をユーザー自身で行えるようにZendeskアカウントが設定されている場合、ユーザーアカウントが複数作られてしまうことがあります。また、同じユーザーが同じ問題に関するチケットを何件も重複して作成してしまうこともあります。このような事態になっても、Zendeskなら簡単に解決できます。重複しているユーザーアカウントを1つのアカウントに統合し、同じ問題に関する重複するサポートリクエストを1つのチケットに統合します。
統合を実行すると、チケットのイベント履歴も統合されます。
同僚やその他のZendeskインスタンスとチケットを共有する
チケットに割り当てられたエージェントだけが、必ずしもチケットに対処する唯一の担当者とは限りません。新規から解決済みに至るチケットの行程で、チケットには何人でもエージェントを割り当てられます。また、他のメンバーをチケットのCCに含めることもできます。CCには、エージェントとエンドユーザーの両方を含めることができます。CCに他のメンバーを追加できるので、チケットの解決に役立つ情報を持っていそうな他のメンバーと簡単に協力し合えます。チケットのCCに追加された場合、エージェントは公開コメントとプライベートコメントの両方を追加できますが、エンドユーザーは公開コメントしか追加できません。
Zendeskでは、チケットを解決するためのコラボレーションを、同じZendeskアカウント内のユーザー同士のみに限定することはしていません。Zendesk Supportの別のインスタンスを使用している他社の社員や、自社の別の部門の同僚と協力する場合、他社や他部門のメンバーとも簡単にチケットを共有できます。この機能は、チケットの共有と呼ばれます。
+チケットの共有では、関連するZendesk Supportアカウントにチケットを割り当てることができます。Zendeskエージェントは、問題を解決するための情報を提供するか、あるいは問題を自身で解決します。チケットのステータスとコメントは、各アカウントのチケット間で常に同期できます。Enterprise版のZendesk Supportでは、ビジネスルールに基づいてチケットを自動的に共有できます(たとえば、特定のタグが付いた誰かから新しいチケットを受け取り、トリガがそれを別のZendesk Supportインスタンスに自動的に共有します)。Enterprise以外のZendesk Supportプランでは、一度に1件ずつ手動でチケットを共有します。
チケットコメントの書式を設定する
リッチコンテンツまたはMarkdownと呼ばれるシンプルなテキストマークアップ言語を使用して、見出しや箇条書きリストや、その他の便利なテキスト書式をコメントに設定できます。リッチコンテンツを使用する場合は、コメントフィールドの下部にある書式設定ツールバーを使用できます。標準エージェントインターフェイスで、エージェントに使用させる書式設定のオプションを選択できます。Zendeskエージェントワークスペースでは、エージェントは同じエディタ内でリッチコンテンツ書式とMarkdown書式を切り替えることができます。