共有契約を結ぶことで、自分のSupportアカウントのチケットを他のアカウントと共有することができます。共有が行われる期間や、共有されたチケットの管理方法を指定することができます。共有契約を結んだ他のアカウントも、自分のアカウントと共有契約を結ぶことで、チケットを共有することができます。
チケット共有では、関連するアカウントにチケットを割り当てることができます。これらのアカウントのエージェントは、問題解決に向けた情報を提供するか、自分で問題を解決することができます。チケットのステータスとコメントは、各アカウントのチケット間で常に同期されます。
他のアカウントとの共有契約をアクティブにすることで、チケット共有を開始することができます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
チケット共有の仕組みについて
- どのSupportアカウントでも、他のアカウントを招待して、共有契約を結ぶことができます。
- 招待する側のアカウント(「送信者」)で共有契約の条件を設定します。招待を受けたアカウント(「受信者」)では契約条件を受け入れるか拒否するかを選択できます。
- 共有契約は一方向で行われます。受信者が契約条件を受け入れると、送信者が受信者とチケットを共有できるようになります。受信者のチケットを送信者と共有するには、まず、相手のアカウントと共有契約を作成してから開始する必要があります。
- 受信者として契約した場合、共有チケットのフィールドは表示されず、受信したチケットの共有を停止することはできません。
- 送信者は、1つのアカウントとのみ、チケットを共有できます。受信者は、共有されたチケットを、共有契約を結んでいる他のアカウントとも共有できます。
- 共有チケットは、受信者のアカウントでは、別のチケットIDが付けられて新しいチケットになります。
- チケットのステータス、カスタムフィールド、コメントは、双方のアカウントのチケット間で同期させることができます。カスタムフィールドは、双方のアカウントで作成する必要があります(後述の「他のアカウントとカスタムフィールドを同期する」を参照)。CC受信者は、元のチケットから共有チケットには引き継がれません。メモ:共有チケットに追加されたパブリックコメントまたはプライベートコメントは、チケットの共有元と共有先の両方のSupportアカウントでエージェントに表示されます。共有チケットへのパブリックコメントは、元のチケットにコピーされたすべてのユーザーにも通知されます。
- 「待機中」を除くすべてのチケットステータスを照合できます。一方のアカウントでチケットのステータスを「待機中」に変更すると、もう一方のアカウントでは「オープン」として送信されます。カスタムチケットステータスをアクティブにしている場合は、「カスタムチケットステータスのマッピングについて」を参照してください。
- 「終了」ステータスのチケットは、共有することができません。
- 共有チケット内のコールの録音(ボイスメールの録音を含む)には、元のコールが関連付けられているSupportアカウントにサインイン済みのエージェントのみがアクセスできます。たとえば、アカウントAがアカウントBと共有したコールチケットにコールの録音が含まれていたとします。アカウントBのエージェントは、この共有チケットに含まれている録音を聞くことができません。エージェントが両方のアカウントに登録されていれば、アカウントAにサインインして元のチケットを検索し、保存されているファイルの録音を再生できます。ボイスメールの会話ログは、共有チケット内のテキスト行として表示されたままになります。
- 共有契約の条件によっては、受信者のエージェントがチケットリクエスタと直接やりとりしてチケットを解決することができます。
- チケットを共有すると、送信アカウントのチケットに関連付けられた各ユーザーの受信アカウントに、プレースホルダユーザーが作成されます。受信アカウントに、プレースホルダユーザーと同じ名前とメールアドレスを持つユーザーが存在する場合でも、プレースホルダユーザーは作成されます。受信アカウントのエージェントがこの共有チケットにコメントすると、このエージェントを表すプレースホルダのエンドユーザーアカウントが送信アカウントに作成されます。チケット共有中に作成されたプレースホルダユーザーは、削除することができません。
なお、共有チケットはユーザー情報を渡さないので注意が必要です。つまり、メールアドレスや電話番号などのカスタマー情報は保存されません。受信アカウントでユーザーが作成されたときに、受信アカウントのエージェントが共有チケットのリクエスタを手動で照合しない限り、チケットが受信アカウントの対応するユーザーにリンクされることはありません。ただし、共有契約に問題が生じる可能性があるため、この照合を行うことは推奨されません。チケットを共有しない場合、ユーザープロフィールを変更してメールアドレスを含めるようにしないと、受信側のアカウントはリクエスタと通信することができません。
- 双方のアカウントのビジネスルールは同期されません。
- 共有されているチケットは他のチケットと統合できません。
- アカウントは、すべての共有契約の招待を自動的に拒否することができます。
- 共有契約は、送信者または受信者のどちらからでも、いつでもキャンセルできます。
- チケット共有が締結されている場合、別のSupportインスタンスへのメールの送信はサポートされません。共有されたSupportインスタンスからの自動メール通知は非表示にされます。エージェントのアクションによってメール通知を生成される場合、そのメールも非表示にされます。
- Supportアカウント間でチケットを共有する場合、ユーザーフィールドと組織フィールドはチケットと共有されません。
- 共有契約に含まれるアカウントの名前を変更すると、その契約は無効になります。
- 管理センターの「チケット」>「設定」ページで「安全なダウンロードを有効にする」の設定を有効にした後で、添付ファイルを含むコメントを追加した場合、共有アカウントはその添付ファイルを表示することもダウンロードすることもできません。
カスタムチケットステータスの対応関係
送信アカウント - カスタムステータス | 受信アカウント - カスタムステータス | ステータスの対応関係 |
---|---|---|
未アクティブ | 未アクティブ | 問題なし。ステータスは一致する。ただし、「待機中」ステータスは「オープン」にマッピングされる。 |
アクティブ化済み | 未アクティブ | 対応するステータスカテゴリにマッピングされる。 |
未アクティブ | アクティブ化済み | デフォルトのステータスカテゴリにマッピングされる。 |
アクティブ化済み | アクティブ化済み | カスタムステータスが一致する場合でも、対応するステータスカテゴリにマッピングされる。 |
チケットの共有契約を設定する
チケット共有を設定するには、チケット共有の招待状を作成し、共有契約の条件(アクセス権限)を定義します。チケットの共有契約を設定するには、管理者である必要があります。
- パブリック/プライベートコメントを追加し、ステータスを同期する
- プライベートコメントを追加し、ステータスは同期しない
1番目のオプションでは、受信者のアカウントはリクエスタと直接やりとりすることができ、チケットのステータスを変更できます(たとえば、「解決済み」に設定するなど)。共有チケットの更新内容は、送信者側のチケットにも反映されます。
2番目のオプション(プライベートコメントのみを追加し、ステータスは同期しない)では、受信者のアカウントからはサポートリクエストの解決に必要な情報が提供されるだけです。たとえば、ある会社で、他の会社が製造した部品を使って、製品を組み立てているとします。各関係会社(ビジネスパートナー)との間にSupportアカウントをセットアップし、供給部品に関する問題が発生した場合に詳しい情報を提供してもらう共有契約を設定します。このシナリオでは、最初のリクエストから解決に至るまでのチケット管理は送信者が行い、受信者のアカウントからは必要に応じて情報を収集するだけです。
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「チケット」>「設定」を選択します。
- 「チケット共有」タブを選択します。
- 「共有の招待を追加」を選択します。
- 表示されるウィンドウで、「別のZendesk Supportアカウント」、または「サードパーティのシステム」を選択します。
- チケットの共有先となるアカウントのURLを入力します。前の手順で選択したオプションに応じて、以下のいずれかのフィールドが表示されます。
- Zendesk Supportアカウント:「パートナーのZendeskドメイン」フィールド
- サードパーティのシステム:「共有URL」フィールド
- 「コメントおよびステータスの許可」フィールドからオプションを選択します。
- パブリック/プライベートコメントを追加し、ステータスを同期する
- プライベートコメントを追加し、ステータスは同期しない
- 「タグの同期」フィールドからオプションを選択します。
- 送信先とタグを共有しない
- 送信先とタグを共有するメモ:ビジネスルールによって追加されたタグは、共有チケット間では同期されません。
- (他のZendesk Supportアカウントと共有する場合にのみ適用される)カスタムフィールドの同期設定を選択します。次の2つのオプションがあります。
- 送信先とカスタムフィールドを共有しない
- 送信先とカスタムフィールドを共有する
- 「招待を送信」をクリックします。
以下に示すように、受信者の「チケットの共有」ページに招待が通知されます。
受信者は、共有招待の条件を表示して、契約をその場で受け入れるか、後で決めるか、または拒否することができます。
受信者が契約を受け入れると、ただちに両方のアカウントでチケットを共有できるようになります。
契約が拒否されても、送信者は次回に再度共有を招待することができます。他のアカウントと共有契約を結びたくない場合は、自動的に招待を拒否するようにアカウントを設定することができます(「すべての共有招待をオプトアウトする」を参照)。また、共有契約はいつでも非アクティブにすることができます(「共有契約を非アクティブにする」を参照)。
すべての共有契約(受け入れ、保留中、拒否)が「チケットの共有」ページに表示されます。
すべての共有の招待をやめる
他のアカウントとチケットを一切共有しない場合は、すべての共有招待をオプトアウトすることを選択できます。
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「チケット」>「設定」を選択します。
- 「チケット共有」タブを選択します。
- 「共有のオプトアウト」セクションで、「すべての共有契約の招待を拒否」を選択します。
- 「タブを保存」をクリックします。
このオプションを設定すると、共有招待を受けなくなります。
共有契約を非アクティブにする
共有契約は、送信者または受信者のどちらでも、いつでも非アクティブにできます。非アクティブにした契約を再びアクティブにすることはできませんが、送信者と受信者の両方のアカウントが、相手のアカウントに対して新しい共有契約を招待することができます。
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「チケット」>「設定」を選択します。
- 「チケット共有」タブを選択します。
- 非アクティブにする契約を見つけて、「ビュー」をクリックします。
- 「契約を非アクティブにする」をクリックします。
契約が非アクティブにされたことが契約の相手にメールで通知されると、両者の「チケット共有」ページにもその旨が反映されます。契約を非アクティブにすることは、新しいチケットを共有できず、すでに共有済みのチケットはそれ以降同期されなくなることを意味します。
ビジネスルールの共有チケットを参照する
チケットの共有でSupportアカウントに作成されたチケットは、自動化、トリガ、ビューで条件として参照することができます。更新経由条件には、値としてチケット共有も含まれます。
次の例に示すように、チケット共有で生成されたチケットを表示するビューを作成することができます。
このビューには、共有されたすべてのチケットが表示されます。他のアカウントと共有したすべてのチケットを表示するビューを作成するには、チケットにタグを追加し、そのタグからビジネスルールを作成します。
チケットの共有条件を含む自動化またはトリガを作成することができます。「更新経由 = チケット共有」を条件として使用して、特定のサポートグループに共有チケットを回したり、タグを追加するなどのトリガを作成することができます。
さらに、アカウントに受信契約を設定している場合は、受信チケットまたは送信チケットのみを表示するようにビューをフィルタリングできます。
- 受信チケットについて、条件を追加します。チケット共有:受信元 >(チケット共有先のインスタンス名)
- 送信チケットについて、条件を追加します。チケット共有:送信先 >(チケット共有先のインスタンス名)
カスタムフィールドを他のSupportアカウントと共有する
「チケットの共有契約を設定する」で説明したように、カスタムフィールドを他のSupportアカウントと同期することができます。これを行うには、それぞれのアカウントで個別にカスタムフィールドを作成する必要があります。たとえば、"Camera model"というカスタムフィールドを同期したい場合、そのフィールドが両方のアカウントに存在し、さらに同じタイトルとデータ型を持っている必要があります。
カスタムフィールドのタイトルは大文字小文字の区別がないため、片方のカスタムフィールドが"Camera model"で、もう片方のカスタムフィールドが"Camera Model"という場合でも、同期させることができます。
注意が必要なのは、各カスタムフィールドで使用されるデータ型に互換性がなければならないということです。これを確実にする最も簡単な方法は、もちろんそれぞれに同じデータ型を使用することです。この例では、どちらの"Camera model"のカスタムフィールドも、ドロップダウンリストのデータ型になっています。
適用されるその他の同期ルール:
-
Supportには、カスタムチケットフィールドとシステムチケットフィールドの2種類のチケットフィールドがあります。システムチケットフィールドを同期させることはできません。この2種類のフィールドの違いについては、「チケットフィールドについて」を参照してください。
- カスタムフィールドの間に互換性がない場合、チケットは同期されますが、互換性のないカスタムフィールドは同期せず、データは転送されません。
- 対応する値(たとえば、ドロップダウンフィールド)に関連付けられたタグを含むチケットフィールドを使用する場合、タグは両方のインスタンスで同じである必要があります。一致するチケットフィールド名と値があっても、タグが異なる場合、チケットフィールド間の同期は失敗します。
- チケットが2つのアカウント間で共有されている場合、フィールド値が変更されたアカウントだけが、チケットイベント/監査でその変更のレコードを参照できます。他のアカウントには、変更されたフィールド値が表示されますが、誰がいつ変更したかなど、変更に関する詳細情報は表示されません。
- 2つのアカウント間でカスタムフィールドを同期させる場合、受信側アカウントの共有チケットは受信側アカウントのデフォルトチケットフォームを使用するため、受信側アカウントのデフォルトチケットフォームにカスタムフィールドが存在する必要があります。