状況によっては、特定の複数のエージェントにコールをルーティングしたいが適切なエージェントが応対不可の場合に、代替エージェントに「オーバーフロー」するルーティングロジックが必要になることがあります。このワークフローの例では、オムニチャネルルーティングのスキルとトリガを活用して、着信コールを特定のエージェントにルーティングし、必要に応じて他のエージェントにオーバーフローさせる方法を説明します。
このレシピでは、オムニチャネルルーティング、スキル、トリガを使用します。
ワークフローの目標
現在、請求関連のコールをすべて請求グループのエージェントにルーティングしています。オムニチャネルルーティングを使用しているため、コールの発信元の国コードを使用して、必要な言語スキルとタイムゾーンをまたぐ請求グループ内のエージェントにコールを誘導します。リクエストにマッチするスキルを持つエージェントがいない場合は、そのスキルのない請求グループ内のエージェントにコールを送るようにします。
コールにオムニチャネルルーティングを使用する
コールのルーティング方法を決める前に、チケット作成プロセスについて理解することが重要です。オムニチャネルルーティングを使用する場合、コールがキューに入るとすぐ、チケットが作成されます。つまり、応答される前の着信コールに対してトリガを実行することができます。オムニチャネルルーティングを使用しない場合、チケットはエージェントがコールに応答した後に作成されるため、チケットが作成されるまでは着信コールに対してトリガを実行することはできません。つまり、オムニチャネルルーティングは、トリガを使ってコールルーティングに影響を与えることができる唯一の方法なのです。
詳しくは「オムニチャネルルーティングの仕組み」を参照してください。
請求に関するコールを処理するエージェントグループを作成する
グループはエージェントをまとめたものです。グループ化することで、管理者はエージェントのスキルや経験に基づいて、チケットの割り当てを管理することができます。
- 管理センターで、サイドバーのメンバーアイコン()をクリックし、「チーム」>「グループ」を選択します。
- 「グループを追加」をクリックします。
- グループ名を入力します。この例では、「請求」とします。
- このグループに追加するエージェントを選択します。
- (Enterpriseプランのみ)このグループをプライベートにしたい場合は、「このグループをプライベートにする」をクリックします。
- 「保存」をクリックします。
- 請求関連のコールを請求グループに割り当てるトリガなどのプロセスを作成します。
請求に使用する言語のスキルを定義する
新しいスキルを作成する作業は、スキルタイプの作成、スキルタイプへのスキルの追加、およびエージェントへのスキルの割り当ての3つの作業から構成されています。スキルの作成を行う前に、スキルとは何か、スキルはどのように使用できるかを理解しておくことをお勧めします。
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「スキル」を選択します。
- 「Billing Language」という名前のスキルタイプを作成します。
- 「Billing Language」スキルタイプ内に各スキルを追加します。たとえば、Billing_ENやBilling_FRなどです。
- 各スキルを追加したら、「エージェント」で「管理」をクリックし、各エージェントにそれぞれの言語と場所を割り当てます。
各スキルは、少なくとも1人のエージェントに割り当てられる必要があります。
トリガを使用して着信コールにスキルを割り当てる
スキルを作成し、エージェントに割り当てたら、着信コールにスキルを割り当てるプロセスを作成する必要があります。これを行う一番良い方法は、チケットの作成または更新時にスキルを管理するトリガを使用することです。詳しくは「チケットのスキルの追加と管理」を参照してください。
着信コール用に作成されたチケットには、発信元の電話番号が付いたコメントが含まれます。つまり、国コードから、チケットの処理に必要な言語および文化的スキルを予測することができます。
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- トリガを作成または編集します。
- 「条件」で、スキルを追加する条件を指定します。以下はその例です。
- チケット >チャネル > = > 電話コール(着信)
- チケット > グループ > = > 注文
- チケット > コメントテキスト」>「少なくとも次の語句の1つを含む > 発信元: +33
詳しくは「トリガの条件文を作成する」を参照してください。
- 「アクション」で、「スキルを追加」またはスキルを置換」を選択し、割り当てたい個々のカスタマースキル(Billing_FRなど)を選択します。
「トリガのアクション文を作成する」を参照してください。
- すべてのスキルに「オプション」の優先度を選択します。すべてのスキルに「オプション(優先度 - 低)」のように同じオプションの優先度を使用することで、確実にすべてのスキルが同時にタイムアウトになります。
このワークフローが正しく機能するためには、オムニチャネルルーティングの設定で、スキルにスキルタイムアウトを設定する必要があります。スキルを「必須」としてマークすることは、このワークフローの目標とは相容れません。
- 「保存」をクリックするか、新しいトリガの場合は「作成」をクリックします。
オムニチャネルルーティングのスキルを設定する
スキルを作成し、エージェントとチケットに割り当てると、すぐにスキルをルーティングに適用させることができます。ただし、ルーティング設定を有効にしないと、オムニチャネルルーティングでスキルが考慮されません。
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「オムニチャネルルーティング」>「ルーティング設定」を選択します。
- 「ルーティング設定」ページで、「初期ルーティング設定」の横にある「編集」をクリックします。
- 「ルーティング初期設定」ページで、「スキルベースルーティングをオンにする」を選択します。
- 「スキルのタイムアウトを有効にする」を選択し、各チャネルのスキルのタイムアウト値を指定します。メモ:マッチするスキルのない他のエージェントにコールを「オーバーフロー」(フォールバック)させるには、スキルのタイムアウトを有効にする必要があります。有効にしない場合、マッチするスキルを持つエージェントが対応可能になるか、コールがボイスメールに送信されるまで、コールはキューに残ります。
この記事で説明した設定を使用すると、特定の国コードからの請求関連コールは、該当する言語および文化スキルを持つエージェントに最初にルーティングされますが、指定したスキルに設定されているタイムアウトの期限までにそのスキルを持つエージェントが誰も利用できない場合は、請求グループ内の任意のエージェントにオーバーフローされます。