Guideを利用しているなら、カスタマーをサポートするために、サポートチケットを削減したり、カスタマーの要求に応じた情報を提供するために、外部向けのナレッジベースを設置していることでしょう。
社内用のナレッジベースの設置には多くの利点があり、社内の従業員のニーズに等しく応えることができます。多くの企業では、社内用の公式コンテンツは共有ドライブやリポジトリに保存されていますが、それよりもはるかに多くのコンテンツが文書やスプレッドシート、各分野のエキスパートの頭の中に隠されているかもしれません。同じ情報がいろいろな場所に保存され、他のチームがどのような資料を作成しているのかはほとんど見えません。
社内のナレッジベースは、外部向けのナレッジベースと同じニーズに対応していると考えられます。多くの社員が尋ねる質問や、誰もが必要とするリソースがある場合、そのコンテンツをナレッジベースに追加することで、サポートの負担を軽減できます。最終的に、Guideの外部ナレッジベースを社内に設置することの本当の利点は、すべてのコンテンツが追加コストなしでまとめて配置することができ、1つのセットとして社内で検索できることです。
社内ナレッジベースの構造を計画する
社内コンテンツの管理や共有は、従業員が数人のうちは簡単ですが、企業が成長するにつれ、ナレッジベース戦略や、共有している知識を先取りする方法を検討する必要が生じるでしょう。
社内のナレッジベースには、人事および法的手続きとポリシー、ITインストラクション、会社のプレゼンテーション、セールスプレゼンテーション、マーケティング資料、デザインテンプレートと画像、およびサポートチームがカスタマーのニーズを支援するために使用できるドキュメント(電話番号の移転方法など)含まれます。
利用者を定義することが重要です。ナレッジベースに含めるコンテンツに影響するからです。たとえば、Zendeskでは、多くのチームが社内のナレッジベースを使用していますが、主な利用者はカスタマーアドボケートです。
すでに外部向けのナレッジベースをお持ちの場合、外部向けのコンテンツと一緒に社内ナレッジベースを公開するか、社内向けのコンテンツを新しいブランドとして公開する(Suite Teamでは利用できません)かを検討する必要があります。後者の場合、コンテンツを独自のヘルプセンターに公開できます。
- 部門に基づく構成:
- カスタマーサービス / サポート:カスタマー向けのFAQとトラブルシューティングガイド
- HR:休暇と経費の規定、オンボーディング情報
- 法務情報:契約および法務ポリシー
- IT:ハウツーガイドとインストールに関するドキュメント
- デザイン:会社のロゴとデザインに関するガイドライン
- ロールまたはユーザータイプに基づく構成:
- 新入社員:オンボーディング情報、企業方針、入門ガイド
- 開発者 / エンジニア:ツールガイド、コードポリシー
- 経営陣:会社組織と経営方針
- よくある質問を中心にしたセクション構成:
- 経費:経費ポリシーと経費の締め日
- ITに関する問題:ハウツーガイドとインストールに関するドキュメント、ITサポートへの連絡方法
- トレーニング:教育関連のリソース
検索のみに特化し、カテゴリやセクションを採用しない企業もあります。ただし、検索のみに特化するやり方は、従業員が検索する可能性が高い適切なキーワードとタグがコンテンツ内に指定されているかどうかに依存します。
- クライアント向けの記事はすべて外部ナレッジベースに保存する
- カスタマーに公開できないコンテンツだけを社内向けのKB記事として保存する
- 社内ナレッジベースと外部ナレッジベース間で記事を重複して掲載しない
最初はいくつかのセクションと少数の記事から始めて、ナレッジベースの成長に合わせてあとから拡張・編集するとよいでしょう。または、Enterpriseプランでは、まず大きなセクションを少数作成し、コンテンツを作成するたびにサブセクションを追加することもできます。
納得のいく計画ができたら、社内のナレッジベースを構築する準備が整いました。
社内ナレッジベースを構成する
ヘルプセンターの構成を選択する
社内ナレッジベースを構成する際には、既存の構造や、利用しているGuideとSupportのプラン、セグメント構成に応じて、ヘルプセンターの2つのオプションのいずれかを選択します。ほとんどの場合、1つのヘルプセンターを構成することを選択します。
複数ブランドのヘルプセンターを構成することも可能です(Suite Teamでは利用不可)。
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1つのヘルプセンター。社外向けコンテンツと社内コンテンツの間で共有される1つのヘルプセンターのことです。
この設定では、カスタマーとスタッフが適切なコンテンツを確実に表示できるように、ユーザーセグメントを使用して閲覧権限と管理権限を設定する必要があります(「ユーザーセグメントを使用して記事の閲覧権限を設定する方法」を参照)。
すべての社内コンテンツを独自のカテゴリやセクションにまとめるか、既存のセクションに配置するかを検討してください。それぞれの場合は次のとおりです。- 社内コンテンツ用の新しいカテゴリまたはセクション:社内コンテンツ用の新しいカテゴリまたはセクションを使用すると、階層内のそれぞれの場所でコンテンツを整理できます。階層のこの部分は、このコンテンツの表示権限のないユーザーには表示されません。この方法は、社内セクションまたはカテゴリに、カスタマーに公開するコンテンツとはまったく異なる情報が含まれている場合にも有効です(閲覧制限については、「Guideユーザーのナレッジベースのアクセス権限について」を参照してください) 。
- 既存のカテゴリ内またはセクション内に配置される社内向け記事:たとえば、特定の製品を担当しているサポートチームが、その製品に関連するすべての社内向け記事と社外向け記事を同時に表示したい場合に便利です。
Enterpriseプランでは、セクション内にサブセクションを作成して、社内用に配置したいコンテンツをセグメント化することもできます(「サブセクションを追加してヘルプセンターを階層化する方法」を参照)。
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複数のヘルプセンター、または複数ブランドのヘルプセンターを使用すると、社内コンテンツを1つのヘルプセンターに配置し、外部コンテンツを1つまたは複数の他のヘルプセンターに配置することができます(機能はプランによって異なります)。
複数ブランドの設定では、社内コンテンツと外部コンテンツが物理的に離れるようにセグメント化されます(「ブランド別にヘルプセンターを作成する方法」を参照)。
社内ナレッジベース用に新しいヘルプセンターを作成する場合、設定モードでヘルプセンターを有効にしてナレッジベースをエンドユーザーから隠し、その後、コンテンツを追加してからヘルプセンターをアクティブにすることができます。
社内ナレッジベースをメインブランドの下に配置することを検討します。これにより、エージェントがコンテンツを検索する際に、ナレッジキャプチャーアプリを使用したり検索を実行するたびにブランドを選択する必要がなくなります。別のブランドで社内ナレッジベースを設定しており、エージェントが頻繁にナレッジベースを使用する場合、ナレッジキャプチャーアプリの「検索時にブランドを自動選択する」を無効にすることを検討してください。そうすることで、アプリの使用中やチケットの切り替え時にエージェントが選択したブランドが維持されます。
ヘルプセンターの設定を決める際の注意点
ここでは、1つの共有ヘルプセンターと複数ブランドヘルプセンターの設定を比較しています。
機能 | 共有ヘルプセンターが1つ | 複数ブランドのヘルプセンター |
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検索機能 | 社内記事と社外向け記事を1か所で検索 | 社内記事と社外向け記事をそれぞれのヘルプセンターで個別に検索 |
閲覧権限 | 閲覧権限を必ず設定し、記事の閲覧を制限する | 特別な閲覧権限の設定は不要 |
コミュニティフォーラム(Gatherプランが必要) | ヘルプセンターの共有コミュニティが1つ | ヘルプセンターごとに独立したコミュニティ |
対象プラン | 制限なし | Suite Teamでは利用不可(その他の制限事項) |
Zendeskでは、社内外のドキュメントを複数ブランドの設定から1つの共有ヘルプセンターに移行しました。これは、スタッフが社内外を問わずすべての記事を検索でき、コミュニティフォーラムを共有できるというメリットが、記事の閲覧権限および管理権限の適用に必要な労力を上回ったためです。
アクセスとオーナーシップを決定する
すべてのスタッフが社内のナレッジベースにアクセスできるようにすることが望ましいでしょう。Zendeskの場合、これはエージェントであるすべてのメンバーです(Zendeskの全員がエージェントであるため)。これはおそらく、他の組織にはあまり当てはまらないでしょう。したがって、組織用に1つまたは複数のユーザーセグメントを作成し、適切なメンバーが社内ナレッジベースにアクセスできるようにします。
さらに、コンテンツを公開できる人と、コンテンツのオーナーを定義する必要があります。そして、すべてのナレッジベース記事にオーナーを設定し、記事の確認やレビューを行うためのリマインダーを設定できます(Enterpriseプランのみ)。
組織によっては、社内ナレッジベースのすべてのコンテンツの管理を1人以上の担当者に割り振っている場合もありますが、さまざまなチーム(人事、財務、トレーニングなど)にオーナーシップを分割し、各領域の専門家がコンテンツを所有、更新するようにする方がよいでしょう。個々のチームは、名目上は、社内ナレッジベースのセクションまたはサブセクションを所有できます(サブセクションを使用するには、Enterpriseプランが必要)が、管理権限はセクションレベルではなく、記事レベルで適用されることに注意してください。
また、さまざまなレベルの権限を定義することもできます。たとえば、一部のスタッフは公開でき、他のスタッフは編集でき、一部はGuideの管理者です(「権限管理を作成し、エージェントの編集権限と公開権限を定義する方法」を参照)。
トレーニングの実施
エンドユーザーとエージェントには、社内ナレッジベースのトレーニングを準備してください。スタッフは社外向けのナレッジベースの使用に慣れているかもしれませんが、社内コンテンツでは運用モデルが異なります。
たとえば、エージェントが作成し編集する記事の閲覧権限とアクセス権限を設定することの重要性を認識することが重要です。このアプローチは、新しい社内ナレッジベースを公開し、承認を得るためのメカニズムも提供します。
社内ナレッジベースのデータを入力する
社内ナレッジベースの場合、ナレッジベースのもとになるコンテンツがすでに作られている可能性があります。たとえば、ポリシー情報や年次報告書などです。また、質問が発生したときにコンテンツを追加することもできます。
- 従業員のサポートチケットを確認する。チケットには、従業員の課題や苦労している点が明確に記録されています。また、チケット以外に、マクロ、タグ、既存のコンテンツ、コミュニティでの相談といったリソースも、ナレッジベースに文書化すべき課題をピンポイントで特定するのに役立ちます。詳細については、「カスタマーの問題を見つけてナレッジベースの運用を開始するためのベストプラクティス」を参照してください。
- コンテンツキューを使用して、サポートチケットを確認し、関連する記事を書くことができます(Enterpriseプランのみ)。
- サポートスタッフ(エージェント)に、受け取ったチケットに基づいて記事を投稿するよう依頼します。
エージェントは、チケットが発行されるたびに、ナレッジキャプチャーアプリを使用して記事を投稿することができます。記事を作成するには、Guideの管理者または権限管理のあるエージェントである必要があります。
たとえば、コンピュータの問題のトラブルシューティングやソフトウェアパッチのインストール方法を説明する記事をエージェントが作成し、記事に「トラブルシューティング」や「パッチ」のようなラベルを追加して検索結果を向上させれば、従業員はこの情報を検索して見つけ、チケットを発行する必要はなくなるかもしれません。
社内コンテンツを常時最新状態に保つ
- エージェントに権限を与える:エージェントに、ナレッジキャプチャーアプリを使用して、社内ナレッジベースのコンテンツのうち、古かったり不正確であったり、情報が不足しているものにフラグを立てるよう奨励します。
- オーナーシップを促進する。コンテンツのオーナーを明確にします。専門家やサポートチームもオーナーになりえます。エージェントどうしが協力し、コンテンツの不足や重複がないようにします。
- 時間を割り当てる:記事を更新するための時間をオーナーに割り当てていることを確認します。Zendeskでは、アドボカシーはフルタイムの仕事ですが、コンテンツに取り組む時間は週に10時間程度です。
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記事を検証し、古いコンテンツをアーカイブする:長い間更新されていないコンテンツは、もはや適切ではなくなっている可能性があります。また、レビューの頻度を設定し、アーカイブする記事に免責事項を追加して、アーカイブの理由を示すこともできます。Enterpriseプランでは、コンテンツキューを使用して、更新やアーカイブが必要な記事の統計情報を確認できます。
非公開予定機能を使用して、リリースノートやお知らせなど、保存期間のある記事をアーカイブできます(Enterpriseプランのみ)。
- ワークフローを使用する:記事を定期的に見直すためのワークフローを定義します。チームパブリッシングを使用して、コンテンツのレビュー、承認、公開のワークフローを設定することができます(Enterpriseプランのみ)。
- 分析を活用する:ページ閲覧数:やユーザーエンゲージメントの統計を、コンテンツ更新プロセスのインプットとして活用できます。
コンテンツを管理する方法に関するその他のアイデアについては、「ナレッジマネージャラウンドテーブル:ナレッジベースコンテンツの管理プロセスとは」を参照してください。
社内ナレッジベースの利用状況を分析する
ナレッジベース記事の利用状況を分析および測定するには、Guideに組み込まれたダッシュボードを使用する方法と、Googleアナリティクスを使用する方法があります(すべてのGuideプランで提供)。
ナレッジベースのアクティビティを表示すると、スタッフが何に最も興味を持っているかを確認できるだけでなく、役に立つと思われる記事を読んだかどうかを確認するのにも便利です(レポーティングで検討するさまざまなオプションについては、「Guide関連のリソース - レポーティング」を参照してください)。
アクティビティデータを解析する
ナレッジベースで最も人気のある記事を追跡して、スタッフがどの分野に最も興味を持っているかを確認し、その情報に基づいてアクションを起こすことができます。これには、記事に対する投票、受信登録、コメントの閲覧が含まれます。たとえば、ある記事に多くのコメントが寄せられている場合、その記事の内容に話題性があったり(今年のボーナスはないという会社発表の記事など)、不正確であったりする可能性があります(ソフトウェアの更新プログラムをインストールする方法を説明しているが、プログラムの入手先については説明がないなど)。あるいは、内容が本当に素晴らしく(複雑なプロセスを非常に簡単に説明している)、そのために人気がある場合もあります。
なぜその記事が人気なのかを理解するためには、記事を掘り下げたり、場合によっては他の情報源を利用したりする必要があることが多いでしょう。
Supportのレポートダッシュボードを使用すると、ナレッジベース内の記事の作成数、記事の閲覧数、投票数、受信登録数、コメントの合計数を確認できます。すべてのプランで、Googleアナリティクスを使用して同様の情報を確認することができます。
コンテンツキューを使用して、記事の利用状況データの統計を表示して既存のコンテンツを改善したり、不足しているコンテンツを新たに作成したりすることができます(Enterpriseプランのみ)。サポートチケットによく記載されているキーワードから情報を取得し、新しい記事を提案します。また、最も閲覧されている記事(更新が必要)と最も閲覧されていない記事(アーカイブが必要)の統計も表示されます。「コンテンツキューの概要」を参照してください。
アクティビティデータの分析の詳細については、「Googleアナリティクス:カスタマーのアクションの追跡」を参照してください。Exploreで統計情報を確認するには、「Exploreを使用したナレッジベースアクティビティの分析」を参照してください。
検索アクティビティを分析する
検索結果から、どの社内向け記事が閲覧数が多いのかを確認することができます。新しい休暇年度の始まりであれば、休暇の予約方法や取得可能な休暇日数に関する人事の記事が人気を集めているかもしれません。
休暇に関する人事部の記事が上位に表示されない場合は、記事にラベル(Suite Teamでは利用負荷)を追加したり、コンテンツのタイトルを更新して検索で見つけやすくしたり、検索結果を煩雑にしている可能性のある古いコンテンツを削除したりする必要があるかもしれません。
検索アクティビティの測定の詳細については、「Googleアナリティクス:検索の有効性の測定」を参照してください。Exploreで検索結果を表示するには、「Exploreを使用したヘルプセンター検索結果の分析」を参照してください(Suite Teamでは利用不可)。
ナレッジキャプチャーのアクティビティの分析
ナレッジキャプチャーイベントとチケットアクティビティを分析することができます。たとえば、どの記事が最もリンクされているか、どのサポートエージェントが最も社内向け記事を作成しているか、または最もナレッジキャプチャーアプリを使用しているかを確認できます(「ナレッジキャプチャーアプリのアクティビティの分析」を参照)。この機能はSuite Teamでは使用できません。
チームパブリッシングのアクティビティの分析
チームパブリッシングイベントを分析することができます。たとえば、Guideで最もアクティブなチームメンバーを確認したり、上位の編集者、コンテンツ作成者、発行者を表示したりできます(「チームパブリッシングアクティビティの分析」を参照)。この機能はSuite Teamでは使用できません。
社内ナレッジベースを通じて組織改革を実施する
エージェントに頼らなくても、スタッフが自分で答えを見つけるモデルに移行するためには、何らかの組織改革が必要です。ナレッジベースへの投稿を送信、レビュー、および維持することは、ナレッジベースの成功の鍵であり、エンゲージメントを確実にする方法の1つは、把握できるメトリック、特にエージェントのナレッジキャプチャーアプリへのエンゲージメントの度合に基づいてエージェントの目標を設定することです(「ナレッジキャプチャーのアクティビティの分析」参照)。
たとえば、Zendeskでは、ナレッジベースとのエンゲージメントを確保するために、2つの要素が使用されています。まず、ニュースレター、アンケート、メッセージングチャネルなどの継続的なコミュニケーションプランがあり、チームは進捗や成功を伝え、エージェントが懸念や問題を理解できるようにします。2つ目の要素は、エンゲージメントに関する目標の設定です。たとえば、チケットの少なくとも20%に何らかのKCSエンゲージメントを持たせるよう指定することができます。たとえば、カスタマーへの回答を既存の記事にリンクさせる、あるいは不足しているコンテンツについてエージェントが新しいリクエストを提起する、などです。具体的な目標はあなた次第です。目標は適切な行動を促すべきであり、目標を達成していないという不安をエージェントに与えるものであってはなりません。(「Zendesk on Zendesk:KCアプリで継続的なエンゲージメントを促進する」を参照)。
チームパブリッシングを使用している場合(Enterpriseプランのみ)は、インサイトの統計情報に基づいて目標を設定できます(「チームパブリッシングのアクティビティの分析」参照)。
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