メールとは複雑なものです。日々送信されるメールは膨大な件数にのぼり、Zendeskだけでも数百万件ものメールを受け取り、処理しています。時とともに、メールの役割は変化してきました。メールは個人間のコミュニケーションだけでなく、大量送信やボットコミュニケーションにも使用できます。メールの複雑さはさまざまな脅威(メールループなど)をもたらすため、Zendesk Supportでメールを管理する場合に考慮する必要があります。
この記事では、次のトピックについて説明します。
メールループとは
メールを受信するソフトウェアでは、メッセージの自動通知は一般的なやり方です。デフォルトのトリガ「リクエスタとCCへの通知 - リクエスト受信」はその一例です。Zendesk Supportでチケットを作成すると、ユーザーにメールで通知が届きます。このような動作は一般的ですが、2台のマシンが相互にメールを送り合う場合に問題を引き起こす可能性があります。
マシンどうしでメールをやりとりする分には問題はありません。たとえば、あるシステムが、別のシステムからのメールを受け取ったときに自動返信を送るだけなら問題はありません。ところが、ここで、自動返信を受け取った相手のシステムが自動返信を行なうと、メールループが発生します。このシナリオでは、双方のシステムが、通知を受け取るたびに自動的に返信を行い、誰かもしくは何かが介入するまで、無限ループとなります。
ループは他のやり方でも発生する可能性があります。チケットの更新は、API、チケット共有、アプリ、またはWebインターフェイスから行われます。更新時に、「リクエスタとCCへの通知 - コメント更新」(などのトリガ通知によってメールが送信されることがあります。これらのメールは、メールではない他の手段で別の更新を引き起こすことがあります。
Zendeskのメールループ対策
Zendeskはメールループを回避するために、さまざまな対策を施してしています。メールループを常時完全に回避することは不可能です。メールループは今ではエコシステムの一部であり、Zendeskは可能な限りあらゆる対策を講じていますが、スパムメールと同様、メールループも時折発生することがあります。
以下は、Zendeskが実施しているメールループ対策の一部です。
Zendesk間のメールに対して自動通知を制限する
多くのZendeskアカウントでは、メールを受領しチケットを作成したことをユーザーに自動で通知するために、トリガを採用しています。ただし、エンドユーザーが別のZendeskアカウントのユーザーである場合、これらのトリガが作成するメールは無限ループになります。つまり、一方のZendeskアカウントが自動的にチケットを作成してもう一方のZendeskアカウントにメッセージを送ると、後者のアカウントも自動的にチケットを作成し、メッセージを送り返します。このやりとりが繰り返されます。
メールループを発生させないために、Zendesk Supportでは自動メール通知とその他の通知を区別しています。
- 自動メール通知は、エージェントは何のアクションも取ることなく、Zendesk Supportによって生成されるメールです。受信したメールからチケットが自動的に作成されると、メッセージが自動的に送信されます。
- その他すべてのメール通知は、エージェントが実行したアクションに基づいてZendesk Supportによって生成されるメールです。たとえば、エージェントがチケットにコメントを追加すると、送信される通知メールなどです。
別のZendeskアカウントであると認識されたエンドユーザーからのメールがZendesk Supportインスタンスに届いた場合、次の手順で処理されます。
- メールアドレスに基づいてチケットを作成するか、リクエスタの送信メールアドレスを使用して、元のチケットにスレッド形式で返信します。
- 自動メッセージのトリガを無効にします。
メール通知のトリガは有効なままです。エージェントがチケットにコメントを追加すると、最初のメールを送信したZendeskアカウントにメール通知が送られ、コメントに次のフラグが付きます。
共有契約を結んでいるZendesksパートナーのアドレスリスト
別のZendeskにメールを送信すると、自動メール通知は差し止められますが、エージェントアクションによって生成されたメール通知が送信されます。この動作は、他のZendeskとの間にチケット共有契約を結んでいる場合に問題を引き起こす可能性があります。その場合、CCまたはリクエスタフィールドのユーザーのメールアドレスが、共有契約を結んでいるZendeskのサポートアドレスであれば、通知の無限ループが作成されてしまうおそれがあります。
無限ループを回避するため、Zendesk SupportはZendeskパートナーアドレスのリスト、つまり共有契約を結んでいる各Zendesk Supportのすべてのサポートアドレスのリストを自動で管理しています。
ユーザーがZendesk Supportで作成されると、パートナーのアドレスリストと照合され、アドレスがリストにあった場合には、そのユーザーに対するすべてのメール通知の表示を取りやめます。これには、エージェントアクションによって生成された通知も含まれます。ZendeskパートナーのアドレスのリストにあるユーザーがCCまたはリクエスタのフィールドにある場合、チケットにフラグが表示されます。この警告フラグは、メールがそのユーザーに送信されないことを示すものです。
同様に、Zendesk Supportでは、パートナーのアドレスリストにあるメールアドレスから届いたメールはすべて拒否されます。これは、共有契約が結ばれているためです。必要があれば、リクエスタとしてこのユーザーとチケットを共同作成し、既に共有契約を結んでいるZendeskとチケットを共有することができます。
ユーザーのアドレスには使用しない、専用のサポートアドレス
顧客は、サポートアドレスに対して問い合わせを行います。外部サポートアドレス(support@mycompany.comなど)を使用している場合、Zendesk Supportは、自社のサポートアドレスの1つをメールアドレスとして使用するユーザーを許可しないことで、メールのループを防ぎます。つまり、メールアドレスがsupport@example.comのエンドユーザーがいる場合、support@example.comをサポートアドレスとして有効にすることはできません。逆に、サポートアドレスとしてsupport@example.comを使用している場合、同じアドレスを持つユーザーを作成することはできません。
これは、サポートアドレス宛に通知が送信されないようにするためです。サポートアドレスに送られたメールは自動的にZendesk Supportに転送され、そのメールから新しいチケットが作成されます。このプロセスはその後ループ状態に陥り、チケットやコメントが多数生成されてしまいます。
一括メールとno-replyアドレスからチケットを作成しない
Zendeskでは、特定の種類のメールが、デフォルトでチケットを作成することを禁止しています。具体的には、明らかに迷惑メールか、またはボットとして識別されたメッセージが禁止対象です。また、送信元no-replyアドレスの場合にも、チケットを作成しません。これらは、チケットの一時停止機能によって制御されます。送信者が安全であるとわかっている場合、そのアドレスを許可リストに登録できます。
チケットが大量送信者の代理で作成された場合、自動通知は差し止められます。エージェントがコメントを追加した場合は引き続き通知がトリガされますが、メールループを避けるため、コメントが追加されずに送信されたメッセージに対しては自動通知は差し止められます。この制限は、これらのメッセージを一時停止から回復したときや、大量送信者を許可リストに追加した場合にも適用されます。
ユーザーによるチケット更新のフォールバック制限は1時間以内
最後の対策として、Zendeskは1人のユーザーが1時間以内に行う更新の数に制限を設けています。同じユーザーからのメールは、1時間内に20件までという制限があります。この制限を超えると、次の20回の更新は一時停止されます。40回を超える更新が受信されると、その時間内の追加の更新はすべて拒否されます(つまり、一時停止チケットも作成されません)。これは、メールループが重大な問題になるのを防ぐための対策です。
ループしている相手のシステムが同じメールアドレスを毎回使用しない場合、この制限は機能しません。たとえば、自動メッセージごとに新しいメールアドレスを使用するシステムがあります。
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