Zendeskでは、チケットやユーザー、組織など、カスタマーのデータを保存および処理するためのさまざまなタイプのネイティブデータオブジェクトが提供されますが、これらを「標準オブジェクト」と呼んでいます。しかし、標準オブジェクトは、組織が必要とする可能性のあるすべてのタイプのデータオブジェクトを提供できるわけではありません。管理者はカスタムオブジェクトを作成して、標準オブジェクトに収まらないデータを取得することができます。カスタムオブジェクトでZendeskデータモデルを拡張することで、カスタムデータをチケット、トリガ、Explore分析にシームレスに統合することができます。これらの機能はすべてZendeskに直接組み込まれているため、管理センターやZendeskエージェントワークスペースで設定し、使用することができます。コーディングの必要はありません。
カスタムオブジェクトとレコードについて
カスタムオブジェクトは、独自のフィールドと権限が設定されたユーザー定義オブジェクトです。製品、契約、配送ドライバー、資産、イベントなど、ほとんどあらゆるものをカスタムオブジェクトにできます。カスタムオブジェクトは、データテーブルのようなものです。カスタムオブジェクトの各フィールドは、テーブルの列になります。テーブルが作成され、列が追加されると、エージェントはテーブルにデータを追加することができます。テーブルの各行のデータは、カスタムオブジェクトのレコードを表します。別の見方として、カスタムオブジェクトをスキーマまたはモデルとして考えることもできます。つまり、作成されたカスタムオブジェクトを使用して、ユーザーがチケットやフォームなどにデータを追加できるようになります。エージェントがカスタムオブジェクトを使ってZendeskにデータを追加したり、管理者がオブジェクトのデータを一括アップロードしたりするたびに、新しいレコードが作成されます。これらのレコードを使って、トリガやルックアップリレーションシップフィールドなどのビジネスルールとやりとすることができます。
一例を紹介します。たとえば、レンタカー会社の場合、Zendeskの管理者によって、車両と予約を管理するために「車両」と「レンタル契約」という2つのカスタムオブジェクトが作成されているとします。これらのカスタムオブジェクトを使用すると、すべての車両と予約をZendesk内で追跡することができます。ここで、カスタマーがレンタカーを借りるために会社に連絡すると、チケットが作成されます。チケットとユーザーの標準オブジェクトには、カスタマーとそのリクエストに関する情報が格納されます。管理者は、アカウントで、チケットとユーザーにレンタル契約と車両とを関連付けるルックアップリレーションフィールドを定義することで、エージェントがリクエストを解決するために必要なすべてのデータがチケットで利用できるようになりました。カスタマーが希望する場所と日付で利用可能な車の記録を検索し、レンタル契約書を作成して契約書を車とカスタマーに関連付けることができます。
後日、レンタカーに問題があり、そのカスタマーから連絡がありました。このときも、チケットが作成され、ユーザー、車両、およびレンタル契約と関連付けられます。これらのカスタムオブジェクトはそれぞれチケットフォームに追加されているため、エージェントはカスタマーをサポートしながら、チケット内で車両とレンタル契約の両方の詳細を確認することができます。
機能と動作
以下のデモでカスタムオブジェクトの動作をご覧ください。また、この機能についての情報もお読みください。
次のビデオは、カスタムオブジェクトを使用するための基本的なワークフローを示しています。
カスタムオブジェクトを使用するには(3:20)
カスタムオブジェクトの要件と制限事項
カスタムオブジェクトを使用するにはいくつかの要件があり、また機能をオンにする前に考慮すべき制限事項もいくつかあります。
要件
- Zendesk SuiteまたはSupport Enterpriseプランを使用していること。
- アカウントでエージェントワークスペースがアクティブになっていること。
制限事項
カスタムオブジェクトはZendeskで収集するデータを増やすための強力なツールですが、パフォーマンスの低下を回避するために、以下の制限があります。
カスタムオブジェクトとフィールドの制限
- カスタムオブジェクトの最大数はプランによって異なります。
- Suite Team:3個
- Suite Growth:5個
- Suite Professional、Support Enterprise:30個
- Suite EnterpriseおよびEnterprise Plus:50個
- カスタムオブジェクトのフィールドには以下の制限があります。
- 各カスタムオブジェクトのフィールド数は最大100個です。
- Suite TeamおよびGrowthプランでは、1つのオブジェクトにつき最大5個のルックアップリレーションフィールドを作成できます。
- Support EnterpriseおよびSuite Professional以上のプランでは、1つのカスタムオブジェクトにつき最大10個のルックアップリレーションフィールドを作成できます。
- カスタムオブジェクトを作成できるのは管理者のみです。管理者および権限のあるカスタムロールのエージェントは、カスタムオブジェクトレコードを表示、編集、追加、および削除できます。
- Premiumサンドボックスでは、カスタムオブジェクトをコピーしたり、カスタムオブジェクトを参照するルックアップフィールドやトリガをコピーしたりすることはできません。
カスタムオブジェクトレコードの制限
- 各レコードの最大サイズは32KBです。
- カスタムオブジェクトレコードは、アカウントのストレージにカウントされます。
- ストレージ容量に関係なく、アカウントで5,000万個以上のカスタムオブジェクトレコードを作成することはできません。
- ライトエージェントと閲覧担当は、カスタムオブジェクトレコードの閲覧のみ許可されます。
データをモデリングする
データモデルの定義には、個々のカスタムオブジェクトと、カスタムオブジェクトをZendeskアカウントの他のオブジェクトとどのように関連付けるかという2つの側面があります。
各オブジェクトには独自のスキーマがあり、カスタムフィールドによって定義されます。これらのフィールドはカスタムオブジェクトのプロパティを表し、エージェントがレコードを作成する際に使用します。カスタムフィールドのタイプを増やすことで、必要なデータを的確に取得することができます。
次に、カスタムオブジェクトをZendesk内の他の標準オブジェクトやカスタムオブジェクトに接続する必要があります。このリレーションシップのネットワークによって、データモデルが完成します。カスタムオブジェクトとZendeskの標準オブジェクト(チケット、ユーザー、組織)や他のカスタムオブジェクトとの関係を定義するには、ルックアップリレーションシップフィールドを使用します。ルックアップリレーションフィールドは特別なタイプのカスタムフィールドで、ソースオブジェクト → 関連オブジェクトという一方向のリレーションシップを記述するために使用します。ソースオブジェクトは、ルックアップリレーションシップフィールド(およびその他のフィールド)を含むオブジェクトです。関連するオブジェクトは、ルックアップリレーションシップフィールドによって指定されたオブジェクトです。
重要な点として、オブジェクトを関連付けても、2つの特定のレコード間に自動的に関連付けが作成されるわけではない、ということが挙げられます。その代わりに、可能性のあるリレーションシップを示すことで、エージェントがこの方法でレコードを関連付けられるようにします。
- 別のカスタムオブジェクト
- 標準オブジェクト
カスタムオブジェクトにルックアップリレーションシップフィールドを含める場合は、「オブジェクトのリレーションシップを追加する」を参照してください。また、別のオブジェクトにルックアップリレーションシップフィールドとしてカスタムオブジェクトを含めたい場合は、「チケットへのカスタムフィールドの追加」、「ユーザーへのカスタムフィールドの追加」、または「組織へのカスタムフィールドの追加」を参照してください。
まとめ
カスタムオブジェクトとリレーションシップを使用して、実際の問題を解決したり、既存のプロセスを改善することができます。チケットフォームにカスタムオブジェクトを参照するルックアップリレーションシップフィールドを追加すると、エージェントはZendeskでカスタマイズされたデータを取得できるようになり、チケットインターフェイス内により関連性の高いデータを確認できるようになります。エージェントが外部システムとZendeskの間を行き来する必要がなくなることで、より迅速で完全なサポートをカスタマーに提供することができます。
オブジェクトレコードに取り込まれたカスタムデータは、ルーティングやトリガなどのビジネスルールでも使用できます。さらに、カスタムデータをExploreの分析やレポートに統合することもできます。カスタムデータをレポート化することで、カスタマーやビジネス全体をより正確に把握することができます。