チケットのエスカレーションにはさまざまな形があります。カスタマーとのやりとりをマネージャーに報告・相談する場合もあれば、特別な専門知識を持つエージェントにチケットを転送する場合もあります。
インテリジェントトリアージを使用すると、エスカレーションが必要になりそうな状況を特定し、それに応じた対処に役立つワークフローを設計できます。この記事では、これを実践する方法の例をいくつか紹介します。
エスカレーションプロセスを適切に設計することで、解決時間を短縮し、カスタマーが必要とするヘルプをすばやく提供し、緊急事態を正しく判断することができます。これにより、カスタマーエクスペリエンスが改善され、カスタマーのロイヤルティが向上し、カスタマーとの関係の価値が潜在的に高められる可能性があります。
この記事では、次のトピックについて説明します。
ステップ1:インテリジェントトリアージをオンにしてデータを待つ
このプロセスの最初のステップは、インテリジェントトリアージをオンにすることです。オンにしたら、選択したチャネルのチケットを、カスタマーの目的、言語、センチメントに関する予測で充実化します。これらの充実化は、エスカレーションの可能性を特定するための基盤となります。
次のステップに進む前に、十分なデータを収集するために十分な時間を確保することが重要です。アカウントのエスカレーションの頻度によって、この時間は異なります。通常、2週間ほどあれば十分です。
ステップ2:既知のエスカレーションパスと指標を考慮する
次のステップは、既知のエスカレーションパスや指標を考慮に入れることです。これらは、チケットのエスカレーションが必要になりそうな状況を示すパターンや属性です。
一般的な指標として、以下の2つがあります。
- グループ転送:グループ間でチケットが転送されることです。特定の種類のチケットが頻繁に転送される場合、それは複雑な問題が存在しており、エスカレーションが必要である可能性を示唆しています。そのような場合、チケットは、カスタマーサポートグループからスペシャリストグループへ、またはチームリーダーやマネージャーのグループへ転送されます。
- タグとフィールド:チケットの特定のタグやフィールドによって、エスカレーションが実行されます。おそらく、指定されたチケットフィールドにタグを適用したり、エスカレーションを追跡したりする特定のマクロがあります。
ステップ3:レポートを作成する
エスカレーションの可能性を示す指標を特定したら、次のステップはレポートを作成することです。このレポートには以下のものが含まれます。
- エスカレーションに特有のメトリックまたは属性:これらは、転送されたチケットの新旧のグループ、上記のステップ2で特定された該当するタグまたはフィールド値を含むチケットなどです。
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目的/言語/センチメント:これらの属性をレポートに含めることで、インテリジェントトリアージで得たインサイトが将来的なエスカレーションを予測するのに役立つかどうかを確認できます。インサイトの例として、次のものが挙げられます。
- 特定の目的を含むチケットについて、何人ものエージェントから返信を行うと、頻繁にエスカレーションされる。
- グループに割り当てられたネガティブなセンチメントのチケットは、エスカレーションされる可能性が高い。
こうした状況でレポートを使用すると、将来のエスカレーションを予測し、事前に対策を講じることができます。
エスカレーションを追跡するメトリックを作成する
カスタマーに直接応対するサポートエージェントからチームリーダーまたはマネージャーへのエスカレーションが観察された場合、Exploreでメトリックを設定して、このエスカレーションパスをたどるチケットを追跡することができます。
If([Changes - Field name]="group_id" AND IN([Changes - Previous value], ARRAY( /* Tier 1 Group */ "XXXXXXX", /* Tier 2 Group */ "YYYYYYY")) AND IN([Changes - New value], ARRAY( /* Manager Group */ "AAAAAAA", /*Team Lead Group */ "BBBBBBB",))) THEN [Ticket ID] ENDIF
このエスカレーションパスをたどるチケットを追跡するレポートを作成する
- Exploreで、レポートアイコン()をクリックします。
- レポートライブラリで、「新規レポート」をクリックします。
- 「データセットを選択」ページで、「Support」>「更新履歴」を選択し、「レポートを開始」をクリックします。レポートビルダーが開きます。
- 「メトリック」パネルで、「追加」をクリックします。
- リストから、上記で作成したメトリック(例では「マネージャーへのエスカレーション」)を選択し、「適用」をクリックします。
- 「行」パネルで、「追加」をクリックします。
- リストから以下の属性を選択し、「適用」をクリックします。これらは属性は一例です。これらのうちの少なくとも1つの値と、それに関連する信頼レベルを、アカウント内の他の既知の属性とともに使用することができます。
- 目的
- 言語
- センチメント
- (オプション) About、Issue type、Reason code(または、カスタマーやエージェントにリクエストの内容を追跡させるために使用する一般的なカスタムチケットフィールド)。この値とインテリジェントトリアージの値を組み合わせることで、レポートの効果を高めることができます。「Exploreレシピ:カスタム「About」フィールドを使用したインテリジェントトリアージの目的予測の比較」も参照してください。
- レポートをフィルタリングして、インテリジェントトリアージによって「目的」、「言語」、または「センチメント」フィールドが入力されたチケットのみを表示するには、次の手順に従います。
- 左側にある「目的」、「言語」、または「センチメント」の属性をクリックします。
- 「除外済み」タブをクリックします。
- 「NULL」を選択します。
- 「適用」をクリックします。ヒント:このステップを実行する代わりに、インテリジェントトリアージによって充実化されたチケットを識別するフィルターとして機能する標準のユーザー定義属性を作成することができます。ユーザー定義属性の利点は、他のレポートでもすぐに再利用でき、目的、言語、またはセンチメントの予測が行われたチケットを見つけることができることです。手順については、「オプションフィルターの作成」を参照してください。
- デフォルトの「更新 - 日付」をクリックし、最も役立つ時間枠を選択します。たとえば、インテリジェントトリアージを有効にしてからの期間、特定のワークフローを更新してからの期間、または過去30日間などの任意の期間などです。
ステップ4:アクションを実行する
インテリジェントトリアージのエスカレーションプロセスの最後のステップは、調査結果に基づいてアクションを実行することです。いくつかの選択肢があり、状況によってはさまざまなアプローチが取れます。
- チケットを自動的にエスカレーションする:特定の目的や主題を持つチケットの割合が非常に高い場合、チケットをすみやかに適切なエージェントに転送した方が効率的な場合があります。ビジネスルールまたはルーティングを変更して該当する値を組み込み、エスカレーションの理由を示す社内メモを追加できます。インテリジェントトリアージを使用したチケットのルーティング方法の詳細については、「自動トリアージチケットのルーティング方法の選択」を参照してください。
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社内メモを追加する:社内メモのトリガアクションを使用して、特別な処理要件についてエージェントに警告することができます。エージェントの回答が一定数に達した後にこのアクションをトリガするように設定し、エージェントに役立つリソース(説明書、ナレッジベース記事、その他の外部リンクなど)を提供することができます。手順については「トリガを使用して社内メモをチケットに追加する」を参照してください。たとえば、以下の条件とアクションでトリガを作成できます。
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以下の条件をすべて満たす:
- 目的|=|ソフトウェアのエラー
- エージェントの返信|=|5
- ステータス|=|オープン
- チケットタグ|次のいずれも含まない|agent_esc_notified
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アクション:
- タグを追加|agent_esc_notified
- 社内メモ | エージェントに助けを求める、役に立つドキュメントを提案する、エスカレーションの必要性を助言する、などの目的で使用するメッセージを追加します。これは、エージェントが現在の問題に行き詰っているのか、問題が解決するまで継続できるアクションプランがあるのか、振り返って判断する良い機会となります。
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以下の条件をすべて満たす:
- サービスレベルアグリーメント(SLA)を追加する:緊急の問題が生じることが多い場合、トリガによってチケットの優先度を変更し、チームによって優先されるSLA要件を満たすことができます。SLAの設定の詳細については、「SLAポリシーの定義」を参照してください。
一貫性のあるチケット分類を自動化することにより、すべてのチケットの割り当てを手動で処理せずに、予測可能なワークフローを構築することができ、エージェントの時間を節約し、顧客満足度を向上させることができます。