エージェントCopilotのツールの1つであるオートアシストは、AIを搭載したエージェント支援ツールです。オートアシストは、大規模言語モデル(LLM)技術を活用して、カスタマーから届いたチケットの内容を理解し、問題の解決策をエージェントに提案します。
オートアシストを使用することで、エージェントは頻繁に届く同じ内容のチケットへの対応時間を減らし、一貫性のある方法でチケットを解決して、最終的にチケットの処理数を上げることができます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
関連記事:
オートアシストについて
オートアシストは、管理者が定義したプロシージャに従い、エージェントに提案を行います。これらの提案は、エージェントがカスタマーに送るべき返答や、エージェントが取るべきアクションです。
オートアシストを使用すれば、エージェントは自分で返答を作成したり、アクションを実行する必要がなくなります。エージェントの作業は、オートアシストから提案された返答やアクションの内容を確認し、承認を行うだけです。
オートアシストによる提案は、テキスト入力欄ではなく、エージェントワークスペース内のチケットに表示されます。提案は、エージェントのコメントではなく、エンドユーザーのコメントへの応答にのみ行われます。
オートアシストは、管理者がプロシージャを作成したトピックに関して返答を提案できます。プロシージャとは、特定のカスタマーの問題について推奨される解決方法を示す一連の指示書です。プロシージャを定義することは、社内で特定の問題をどのように解決すべきかを新人のエージェントに説明するのと似ています。
オートアシストは、このプロシージャの指示とビルトインのLLMトレーニングを使用して推奨する返答やアクションを生成し、エージェントワークスペースでチケット処理を行うエージェントに提案します。オートアシストによって提案された返答やアクションは、カスタマーに送信または実行される前にエージェントの承認が必要であり、エージェントの名前で送信または実行されます。エージェントとやりとりしている間、カスタマーはオートアシストの存在に気づくことはありません。
オートアシストは会話ボットでの使用に最適化されていますが、メールでの返答にも使用できます。
オートアシストが返答を提案できるプロシージャの例:
- 会社の商品やサービスの購入についてカスタマーにアドバイスを行う
- カスタマーにビジネスポリシーを説明する
- カスタマー自らが製品の問題をトラブルシュートするのをサポートする
オートアシストが返答とアクションを提案できるプロシージャの例:
- Shopifyで現在の注文のステータスを確認するか、またはShopifyで特定の商品または注文全体をキャンセルして返金を行う。
- APIを使った社内業務システムへの問い合わせと変更、またはサードパーティのアクションを実行する。
オートアシストは、OpenAIがサポートするすべての言語で動作します。
オートアシストの使用に関する要件
オートアシストを使用するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 「高度なAI」アドオンを持っている。
- 改良されたメッセージングバックエンドに移行済みである。ほとんどのZendeskアカウントはすでに移行済みです。アカウントが移行済みかどうかを確認するには、管理センターを開き、「メッセージングトリガ」ページを検索します。このページが表示された場合、アカウントは移行済みです。このページが表示されない場合は、アカウントの移行は完了していませんが、将来的に移行される予定です。
オートアシストの有効化と設定
オートアシストにエージェントのチケット解決を支援させるには、管理者がオートアシストを有効にし、オートアシストの提案を表示するエージェントを指定し、オートアシストと連携するチャネルを設定する必要があります。
オートアシストに連携させるチャネルを設定するには、タグを使用します。この設定には、次の2つの方法があります。
- メッセージングチャネルのみの場合:管理者は、会話ボットで使用される返答にagent_copilot_enabledタグを追加できます。カスタマーがエージェントに転送され、メッセージングチケットが作成されると、そのチケットにタグが追加され、オートアシストがエージェントの支援を開始します。
- メッセージングまたはメールチャネルの場合:管理者は、特定の条件に基づいてチケットにagent_copilot_enabledタグを追加するチケットトリガを作成することができます。トリガで指定した条件を満たすチケットが作成されると、オートアシストがエージェントの支援を開始します。
ニーズに最も適した構成に応じて、上記のいずれかの方法、または両方を使用することができます。
このセクションでは、以下のトピックについて説明します。
オートアシストへのアクセスの有効化と設定
管理者は、管理センターでオートアシストへのアクセスを有効化して設定します。正確な設定場所は、「高度なAI」アドオンの購入時期によって異なります。
オートアシストを有効にしてアクセスできるように設定するには(アドオンの購入時期が2024年10月9日以降の場合)
- 管理センターで、サイドバーの「 ワークスペース」をクリックし、「エージェントツール」>「エージェントCopilot」を選択します。
- 「サポート担当者のテキスト入力欄にオートアシストの返信とアクションを表示する」を選択します。
- 「アクセスできるユーザー」フィールドで、「返信を提案」機能の使用を許可するグループを検索して選択します。デフォルトでは、すべてのグループにアクセス権限が付与されています。
- 「保存」をクリックします。
オートアシストを有効にしてアクセスできるように設定するには(アドオンの購入時期が2024年10月9日より前で、エージェントCopilotに移行していない場合)
- 管理センターで、サイドバーの「 ワークスペース」をクリックし、「エージェントツール」>「生成AI」をクリックします。
- 「エージェントCopilot」を選択します。
- 設定の下のフィールドに、オートアシストからの提案を閲覧できるエージェントを入力します。このフィールドに含まれていないエージェントには、オートアシストからの提案はエージェントワークスペースに表示されません。
- 「保存」をクリックします。
返答のタグを使用したメッセージチャネルでのオートアシストの設定
メッセージングの場合、管理者は、オートアシストと連携させる会話ボットを選択できます。サポート担当者との会話をカスタマーからリクエストされると、ボットは会話をオートアシストに引き継ぎます。オートアシストが生成した返答はサポート担当者が確認し、その担当者の名前で送信されるため、カスタマーには人間のエージェントが会話を引き続いで対応しているかのうように見えます。
会話ボットをオートアシストと連携させるには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「ボットと自動化」>「ボット」を選択します。
- 「会話ボット」で、「ボットを管理」を選択します。
- オートアシストを有効にする会話ボットを選択します。
- 「回答」タブで、「エージェントへの転送」ステップタイプを含む既存の回答を選択します。
- ボットビルダーで、「エージェントへの転送」ステップを選択します。
- 右側のパネルの「タグ」フィールドに「agent_copilot_enabled」と入力します。
- (オプション)この状況で実行するプロシージャをオートアシストに識別させるために、別のタグを追加します(例:copilot_order_cancellation)。後でこのタグを使用して、チケットに特定のプロシージャが実行されたチケットを特定するExploreレポートを作成できます。
- 可能であれば、「ボットのメッセージ」フィールドを更新して、カスタマーがどのような問題についてサポートを必要としているかを再度明記します。たとえば、「Let me connect you with a customer support agent to help with canceling your order」などの文言です。これにより、エージェントをサポートする際に使用する適切なプロシージャをオートアシストが特定できます。
- 「完了」をクリックします。
- 「ボットを公開」をクリックします。
チケットトリガによって追加されたタグを使用したメッセージまたはメールチャネルでのオートアシストの設定
管理者は、チケットトリガを使用して、オートアシストと連携させるチャネルを設定することもできます。この設定方法は、指定した条件に基づいてチケットにagent_copilot_enabledタグを設定することで機能します。
たとえば、インテリジェントトリアージで特定の目的が予測されたチケットにオートアシストのタグを追加するトリガを作成することができます。その目的に関連する問題をエージェントがどのように解決すべきかを説明するプロシージャを作成すると、オートアシストはそのプロシージャに従い、エージェントがカスタマーの問題を解決できるようにガイドします。
オートアシストタグをチケットに追加するトリガを作成するには
- 管理センターで、サイドバーの「 オブジェクトとルール」をクリックし、「ビジネスルール」>「トリガ」を選択します。
- 「トリガを追加」をクリックします。
- 「トリガ名」に、わかりやすいトリガの名前を入力します。
- (オプション)「説明」にトリガの説明を入力します。
- (オプション)トリガのカテゴリを選択します。
- 「条件」ペインの「以下の条件をすべてを満たす」に、以下の条件を追加します。
- チケットのステータス | = | 新規
-
タグ|次のいずれも含まない|agent_copilot_enabled
この条件により、トリガが各チケット上で1回だけ実行されるようになります。トリガは、最初に実行されたときにタグを追加し、その後はタグが存在することでトリガが再度実行されなくなります。
- 「以下のいずれかの条件を満たす」で、以下の条件を追加します。
- (オプション) チャネル|=|<トリガを実行させるチャネルを選択>
追加のチャネルにも上記の条件を適用します。これにより、特定のチャネルで作成されたチケットのみにオートアシストが適用されるようになります。たとえば、メールチケットにはオートアシストを適用しない、といった設定も可能です。
- (オプション)目的|=|<作成したプロシージャの目的を選択>
追加の目的にも上記の条件を適用します。目的ごとに個別のトリガを作成する必要はありません。オートアシストは、カスタマーの要求内容とプロシージャのタイトルに基づいて、使用するプロシージャを判断します。または、組織のワークフローに適した他の条件を追加します。
- (オプション) チャネル|=|<トリガを実行させるチャネルを選択>
- 「アクション」パネルで、次のアクションを追加します。
- タグを追加 | agent_copilot_enabled
- (オプション)この状況で実行する手順をオートアシストに識別させるために、別のタグを追加します(例:copilot_order_cancellation)。後でこのタグを使用して、チケットに特定のプロシージャが実行されたチケットを特定するExploreレポートを作成できます。
- 「作成」をクリックします。
トリガの詳細については、「チケットの自動更新および通知のためのチケットトリガの作成」を参照してください。
次のステップ:オートアシストのプロシージャとアクションを作成する
オートアシストをエージェント向けに完全に機能するようにするには、エージェントがチケットを解決する際にオートアシストが適切に案内できるよう、プロシージャやアクションを作成する必要があります。作成方法については、以下の各記事を参照してください。