サービスレベルアグリーメント(SLA)は、サポートチームがカスタマーとの間で、応答および解決策を提供するまでのそれぞれの時間の設定と測定を定義したポリシーです。
Enterpriseプランでは、グループSLAを定義することができます。グループSLAは、社内チーム間の個別のポリシーであり、グループの目標オーナーシップ時間を定義します。
この記事では、SLAを構成する要素、サポートチームとカスタマーがSLAからどのようなメリットを得られるか、チケットに適用するタイミングについて説明します。
SLAについて
SLAポリシーを定義し、サポートチームがチケットの優先度に基づいてカスタマーに提供する応答時間と解決時間の目標を指定することができます。たとえば、以下のような目標を設定し、測定することができます。
- 緊急のサポートリクエストに対してエージェントが最初に応答するまでに要する時間
- 問題が完全に解決されるまでにカスタマーが待機させられた時間
- エージェントがチケットに費やすべき時間の目安
SLAは、指定された条件が満たされたときにチケットに自動的に適用され、定義された応答時間と解決時間の計測を開始します。詳しくは「チケットにSLAポリシーが適用されるしくみについて」を参照してください。
チケットがSLA目標を満たしていない場合、Zendeskはこれをハイライトし、問題を迅速に特定して対処できるようにします。たとえば、特定の時間帯に、SLA目標値が常に満たされない場合、その時間帯に応対できるエージェントを増やす必要があることを意味します。
SLA情報はチケットとビューに表示されます。また、SLAに基づいてアクション(たとえば、SLAに違反する前にチケットへの注意を促すなど)を実行するビジネスルールを作成することもできます。詳細については、「SLA目標の表示と概要」および「SLAポリシーの使用」を参照してください。
SLAを使用する理由
サービスレベルに基づいてサポートを提供することで、標準に基づいた予測可能なサービスを確実に提供することができます。また、問題発生時に見通しを立てやすくなります。
SLAには、以下のようなメリットがあります。
- サポートチームに明確な目標を設定する。SLAポリシーの情報はチケットやビューに表示されるため、どのチケットを優先的に処理すべきかをエージェントが把握することができます。
- カスタマーに一貫したエクスペリエンスを提供する。エージェントがSLA目標を定期的に達成することで、カスタマーはタイムリーに問題が解決されることを期待できます。
- 問題を早期に発見し、効率的に解決する。SLA目標が達成されていないことを把握し、対策を講じることができます。
こちらのZendeskのブログ記事では、SLAを作成する方法とその理由について詳しく紹介しています。
ブラッシュアップ:SLAを最大限活用する方法について詳しくは、Sam Chandlerの投稿「ブラッシュアップ:SLAで成功する - その理由とタイミングと方法」をお読みください。
グループSLAについて(Enterpriseのみ)
Enterpriseプランでは、グループSLAを定義することができます。グループSLAは、社内チーム間の個別のポリシーであり、グループの目標オーナーシップ時間を定義します。一般的にはOperational Level Agreement (OLA) (オペレーショナルレベルアグリーメント)とも呼ばれ、複数のチームがチケットを解決するワークフローで使用されます。
グループSLAは、指定されたグループにチケットが割り当てられると、自動的にチケットに適用されます。定義されたオーナーシップ時間は、グループにチケットが割り当てられたときに測定が開始され、チケットが再割り当てされたときに終了します。
たとえば、営業チームについて、「グループに割り当てられた優先度の高いチケットは8時間以内に対応する」という目標を設定することができます。
SLAと同様に、グループSLAポリシーに追加の条件を設定することもできます。たとえば、財務グループが返金と経費の2種類のチケットを扱うとします。返金のSLA目標は短く、経費のSLA目標は長く設定したいとします。グループSLAポリシーで、これらのタイプのチケットのフォームに基づいて条件を設定し、適切なポリシーが適切なチケットに適用されるようにすることができます。
さらに、グループSLAの情報はチケットやビューで確認できます(「SLA目標の表示と概要」を参照)。
下の画像は、SLAが社内チームとカスタマーの間の応答時間と解決時間を測定するのに対し、グループSLAが各社内チームのオーナーシップ時間を測定することを表しています。
グループSLAを使用する理由
グループSLAは、チケットが特定のグループに割り当てられている期間を定義し、測定することで、社内チーム間で責任の所在を明確にするのに役立ちます。
グループSLAを使用するメリット:
- 社内プロセスを改善する。社内チームがチケットの全体的なSLAをどのように遵守し、達成するかを追跡できます。
- チームごとに解決目標を設定する。チームごとにグループSLAを作成し、どのチームが目標を達成しているかを確認することができます。
- ギャップや問題を特定する。グループSLAは、チケットを担当するチームのパフォーマンスやトレーニングの機会について情報を得ることができます。
SLAとグループSLAの違い
- チケットに適用できるSLAは一度に1つだけですが、SLAとグループSLAは別々のポリシーです。つまり、SLAとグループSLAポリシーは、同じチケットに同時に適用できます。
- 初回返信時間、2回目の返信時間、定期的な更新時間、リクエスタの待機時間、エージェントの稼働時間、合計の解決時間という、6つの異なる測定値についてSLAサービス目標を定義できます。グループSLAのサービス目標に対する測定値は、グループオーナーシップ時間だけです。
- グループSLAを利用できるのは、Enterpriseプランのみです。
SLAポリシーの構造
SLAポリシーには所定の構造があります。各SLAポリシーには以下のものが含まれます。
- SLAポリシーを適用するために、チケットが満たさなければならない条件のセット
- 必要なメトリックと優先度の値の目標時間
- 測定するために選択した1つ以上のメトリック。詳しくは「どのようなSLAメトリックを測定できるかについて」を参照してください。
- 目標を営業時間とカレンダー時間のどちらで測定するかを指定する優先度値。
(Enterpriseのみ)また、グループSLAポリシーにも所定の構造があります。各グループSLAポリシーには以下のものが含まれます。
- グループSLAポリシーを適用するためにチケットが満たさなければならない条件のセット。ポリシーに割り当てられたグループまたは複数のグループを含みます。
グループを指定しない場合、チケットがいずれかのグループに割り当てられるたびに、すべてのチケットについてグループオーナーシップの時間が測定されます。
- 目標時間と優先度の値
- 測定するメトリック、グループオーナーシップ時間
- 目標を営業時間とカレンダー時間のどちらで測定するかを指定する優先度値
SLA条件および目標について
SLAポリシーの条件は、トリガの設定に使用する条件によく似ています。トリガの条件と同様に、どちらにも「すべて」と「任意」の条件があり、チケットフィールド、ユーザーフィールド、組織フィールドに対して設定できます。ただし、トリガよりもオプション数は少なくなっています。たとえば、チケットのステータスや優先度に基づく条件は作成できません。これらの情報は、SLAポリシーのモデルにすでに組み込まれているためです。カスタムチケットステータスをアクティブにしている場合、チケットステータスに基づく条件を使用してSLAポリシーを作成することができます。
目標とは、特定の時間ベースのメトリックが満たす必要のある目標です。たとえば、緊急のチケットすべてに対して、初回の返信を15分以内に行うというポリシーを指定したい場合、目標を15分に設定します。ポリシーごとに、メトリックと優先度の組み合わせについて個々の目標を定義できます。また、個々の優先度とポリシーの時間の種類については、営業時間とカレンダー時間のどちらでも設定できます。
チケットにSLAポリシーが適用されるしくみについて
チケットが作成または更新されたとき、Zendeskインスタンスに設定済みのすべてのトリガが、そのチケットに対して実行されます。トリガが適用された後で、チケットはSLAシステムを通過します。
ポリシーリストの先頭から下に向かって、ポリシーの条件がチケットと照合されます。チケットの内容がポリシーの条件と一致する最初のポリシーが見つかると、そのポリシーがチケットに適用されます。グループSLAのリストも同じように処理されます。
SLAとグループSLAは別々のポリシーです。SLAポリシーとグループSLAポリシーは、同時にチケットに適用することができます。
ポリシーの順序について詳しくは、「SLAポリシーの順序を設定する」を参照してください。どのポリシーがどのような順序でチケットに適用されたかを確認するには、「チケットに適用されているSLAポリシーを確認する」を参照してください。
チケットが更新されても、ほとんどの場合、すでに適用済みのポリシーとまったく同じポリシーに一致するだけで、何も変更されません。チケットの優先度が変更された場合、そのチケットが最後に更新されてからSLAポリシーを変更していなければ、新しい優先度を反映してチケットの目標時間が更新されます。
もちろん、例外もあります。チケットの最終更新の後に、より限定的な新しいポリシーを作成した場合、それまで存在しなかったその新しいポリシーがチケットに適用される可能性があります。または、すでに適用されているポリシーの目標を更新することがあるかもしれません。どちらの場合も、優先度やスケジュールの変更など、SLAに影響を与えるチケット更新が行われると、チケットは新しい情報を受け取ります。
SLAを含む古いチケットを新しいチケットに統合すると、古いチケットのSLAステータスは、達成されたかどうかにかかわらず中止されます。新しいチケットは独自のSLAで処理されます。統合アクションは、新しいチケットの内部更新として表示され、SLAを満たしたり変更したりすることはありません。
すでに違反しているSLA目標を適用または変更した場合、違反は更新時に記録されます。過去のSLA違反イベントにはさかのぼりません。