Web Widget用やモバイルSDK用、ソーシャルメッセージング用のZendeskメッセージングでは、会話中にカスタマーがアクティブなエージェントにサポートを求めるとチケットが作成され、リクエストを受け取ったことがエージェントに通知されます。
チケットのトリガを使用して、関連するチケットを特定のエージェントやグループにルーティングできます。その際、Chatダッシュボードで定義されているチャットのルーティングルールを使用して、新しい会話がキューで待機中であることを、どのエージェントやグループに通知するかを指定できます。ビューを作成して、メッセージチャネルを通じて送信されたチケットを整理できます。
また、この記事で取り上げるチケットトリガやチャットのルーティングルールを使用する代わりに、オムニチャネルルーティングを使用してメッセージングチケットをルーティングすることもできます。詳しくは「オムニチャネルルーティングについて」を参照してください。
この記事では、次のトピックについて説明します。
メッセージングでのルーティングフローの概要
着信メッセージングリクエストのルーティングについて説明する前に、関連する要素と、それらがメッセージングフローのどこに位置するかを理解することが重要です。
メッセージングチケットのルーティングを直接(または間接的に)制御する要素
メッセージングチケットのルーティング方法を直接制御する要素は3つあります。
- チケットのトリガ。メッセージングの会話がエージェントに引き継がれたときに作成されるチケットに適用されます。他のチャネルを介して作成されたチケットに適用されるトリガとほぼ同じように機能しますが、メッセージングチケットには別の方法で使用する必要がある場合があります。詳細については、「チケットのトリガを使用してメッセージングチケットをルーティングする」を参照してください。
- Chatのルーティングルール。キューで待機しているメッセージチケットがあることをエージェントに通知する方法を定義します。特定のエージェントまたはグループに通知することも、すべてのエージェントに一斉送信で通知することもできます。Supportのトリガがチケットを特定のエージェントまたはエージェントグループにルーティングした場合、チケットに割り当てられたエージェントのみが通知を受け取ります。エージェントは通知をクリックして会話に参加する必要があります。詳細については、「オンラインチャットおよびメッセージングの通知ルーティングの設定」を参照してください。
- オムニチャネルルーティング。メッセージングなど、さまざまなチャネルからのチケットを、メンバーの空き状況やキャパシティに基づいてチームメンバーに振り分けることができます。ProfessionalプランおよびEnterpriseプランでは、優先度とスキルに基づいたルーティングを行うことも可能です。詳細については、「オムニチャネルルーティングについて」を参照してください。
さらに、チケットのルーティングを直接制御しない要素もあります。それらは、チケットのトリガによって参照されたり、チケットがエージェントによってどのように受け取られるかに影響を与えたりします。
- ボットビルダーで作成された会話ボット内の「エージェントへの転送」イベント(Web WidgetおよびモバイルSDKのみ)は、会話をエージェントに渡します。これにより、その会話に関連付けられたチケットが作成されます。これらのイベントに先行して、「詳細を質問する」ステップがあり、このステップでカスタムチケットフィールドを使用して、チケットのトリガの作成時に使用できる情報をカスタマーから収集します。これらのイベントについて詳しくは、「回答ステップのタイプについて」を参照してください。
- デフォルトのメッセージング応答には、カスタマー情報の収集が含まれ、それにはチケットのトリガで参照できるカスタムチケットフィールドも使用されます。詳しくは「デフォルトのメッセージングの応答を設定する」を参照してください。
- Chatのトリガ。会話が(エージェントへ転送イベントを介して)オンラインのエージェントに引き継がれたとき、またはカスタマーがオンラインのエージェントとのメッセージング会話にコメントを入力したときに起動します。これらのトリガを起動するには、エージェントが会話にアクティブに参加している必要はありませんが、会話がボットからエージェントコントロールに引き継がれている必要があります。メッセージングのChatトリガは通常、自動応答に使用され、エージェントによるサポートが現在利用できないことをカスタマーに通知することができます。詳しくは「WebまたはモバイルSDKでの不在メッセージの作成」を参照してください。
メッセージングのフローの例
上述した要素は、メッセージング会話のライフサイクルの様々な時点で、ルーティングワークフローに影響を与えます。それらの要素がどのような場合に適用されるかを知ることが重要です。そうすることで、ルーティングワークフローを自信を持って設定できるようになります。次の例は、メッセージングの会話が基本的なメッセージングワークフローを通過する様子です。ルーティングに影響を与える要素が太字で強調表示されています。
- カスタマーがメッセージングチャネルからメッセージングの会話を開始します。Web WidgetおよびモバイルSDKの場合、ボットは会話の最初の回答者であり、ボットビルダーで設計されたフローに基づいてカスタマーと対話します。
- カスタマーは、エージェントへ転送イベントで問題を自分では解決できないことを示し、エージェントに支援を求めます。会話の最初の回答者としてのボットが削除されます。
- 会話に関連付けられたチケットが作成されます。訪問者がチャットの開始をリクエストしたときにチャットメッセージングトリガが起動し、「チケット | = | 作成された」という条件のトリガが実行されます。
- エージェントが会話の最初の回答者になります。
- カスタマーが会話にコメントを追加します。チャットメッセージが送信されたときに起動するChatメッセージングのトリガが起動します。
- 関連付けられたチケットがキューに追加されます。Chatのルーティングルールが起動し、エージェントに新しい会話があることを警告します。
- 対応可能なエージェントがチケットを受け入れ、選択したルーティング方法に基づいて会話に参加します。または、エージェントが対応可能でない場合、チケットは未割り当てのままになり、ビュー設定に応じてチケットビューに表示されます。
- カスタマーの問題が解決すると、チケットは「解決済み」とマークされます。
- 一定の時間が経過すると、自動化によってチケットのステータスが「解決済み」から「終了」に更新され、関連付けられた会話も終了となります。詳細については、「チケットの解決と終了について」を参照してください。
デフォルトでのメッセージングリクエストの処理について
会話ボット、チケットのトリガ、チャットのトリガ、およびチャットの通知ルーティングでそのまま使える設定を使用すると、メッセージングチャネルから届くエージェントサポートのリクエストに、シンプルで機能的なルーティングプロセスが用意されます。
- カスタマーはボットからエージェントに引き渡され、エージェントはエージェントワークスペースで会話に対応します。カスタムチケットフィールドからは情報は収集されません。
- チケットはどのエージェントにもグループにも割り当てられず、2つのデフォルトビュー、「未割り当てのチケット」と「すべての未解決チケット」に表示されます。
- リクエストを受信したことを知らせる通知が、すべてのエージェントに一斉送信されます。
- チケットのリクエストがキュー内で10分を超えて未割り当てのままだと、「未割り当てのチケット」ビューに移動します。
チケットのトリガを使用してメッセージングチケットをルーティングする
チケットのトリガを使用して、チケットを特定のエージェントまたはグループに自動的にルーティングすることができます。メッセージングでは、以下のデータをトリガ条件として使用し、メッセージングチケットを特定のエージェントまたはグループに自動的にルーティングできます。
- ボットビルダーで作成された「詳細を質問する」イベントの一部として、またはデフォルトのメッセージング応答の一部として、カスタムチケットフィールドを介して収集されたデータ。このデータには、お客様の所在地、問題の性質、収集したい情報など、収集したい情報を何でも含めることができます。
- チャネル | =| メッセージングトリガ。チケット送信チャネルとしてメッセージングを設定します。メッセージングチケットにのみ適用されるルーティングルールを作成します。チャネルとしてメッセージングを指定しない場合、すべての着信チケットにこのトリガが適用されます。メッセージング以外の他のチャネル(メールなど)が指定されているトリガは起動しません。
このルーティングフローの設定は、主に次の3つの手順に分かれています。
- カスタムチケットフィールドを作成する
- カスタムチケットフィールドを会話フローに追加する
- チケットをルーティングするトリガを作成する
詳しい手順については、「レシピ:チケットのトリガを使用してメッセージングチケットをルーティングする」を参照してください。
Chatのルーティングルールを使用してエージェントに通知する
Chatのルーティングルールは、メッセージングの会話を受信したことを通知するエージェント(またはエージェントグループ)を決定します。ルーティングルールはアカウントレベルで設定され、アカウントに関連付けられたすべてのブランドに適用されます。
エージェントにメッセージングリクエストが届いたことを通知するには、次の2つの基本的な方法があります。
- 一斉送信:すべてのエージェントにすべての受信リクエストが通知され、エージェントはエージェントワークスペースでこれらのリクエストを自分で割り当てます。このルーティングオプションは、デフォルトで有効になっています。
- 割り当て済み:会話が特定のオンラインエージェントまたはグループに渡されます。
この2つのルーティングルールのどちらかが常に適用されます。ルーティングルールの選択を解除することはできません。
Chatのルーティングルールは、チケットのトリガが起動した後に適用されます。Supportのトリガを使用して着信メッセージングチケットを特定のエージェントにルーティングする場合、チケットを受け入れる資格のあるエージェントにのみ通知が送信されます。
- チケットに特定のエージェントまたはグループが割り当てられていない場合、一斉送信通知がすべてのメッセージングエージェントに届きます。そして、割り当て済みルーティングルールに従って、受け入れ資格のある次のエージェントに、割り当て済み通知が届きます。
- チケットに特定のエージェントまたはグループが割り当てられている場合、トリガ内に指定されたすべてのメッセージングエージェントに一斉送信通知が届きます。そして、割り当て済みルーティングルールに従って、指定されたエージェント、またはグループ内の受け入れ資格のある次のエージェントに割り当て済み通知が届きます。
割り当て制限解除モードや再割り当てなど、その他のチャットルーティング設定もサポートされます。
スキルベースルーティングは、メッセージングの会話ではサポートされません。
基本的なルーティングオプションの設定については、「メッセージングの通知ルーティングの設定」を参照してください。オムニチャネルルーティングを使用してメッセージングチケットをルーティングする
オムニチャネルルーティングでは、メール、コール、メッセージングからのチケットを、空き状況やキャパシティに基づいてエージェントに振り分けることができます。ProfessionalプランおよびEnterpriseプランでは、優先度とスキルに基づいたチケットルーティングを行うことも可能です。つまり、最も重要なチケットは、そのチケットに対応できる最適なスキルを持つエージェントに割り当てられるのです。
メッセージングにオムニチャネルルーティングを使用する前に、下記の制限を頭に入れておいてください。
- オンラインチャットを使用している場合、オムニチャネルルーティングをアクティブにすることはできません。
- オムニチャネルルーティングを利用するには、エージェントワークスペースをアクティブにする必要があります。
- オムニチャネルルーティングを使用すると、ネイティブのメッセージングやさまざまなソーシャルメッセージングチャネルから発信されたチケットは、「メッセージング」チケットとしてルーティングされます。
- オムニチャネルルーティングをチケットのトリガと組み合わせて使用し、メッセージングチケットをルーティングすることができます。
- メッセージングの一斉送信モードおよび割り当て制限解除モードはサポートされていません。
- ProfessionalプランとEnterpriseプランでは、エージェントのキャパシティに対して、非アクティブなメッセージをどのように評価するかを設定できます。
- オムニチャネルルーティングの要件と制限の完全なリストについては、「オムニチャネルルーティングの要件と制限事項」を参照してください。
メッセージングチケットをビューにルーティングする
また、管理者やエージェントがメッセージングチャネルを通じて送信されたチケットを見つけやすいように、メッセージングチケットをビューにルーティングできます。Chatのルーティングルールは、ビューにルーティングされたチケットにも適用されます。次のスクリーンショットの例では、ビューはメッセージング固有のエージェントグループに制限されています。