自然災害や地域的に影響のある事情が発生した場合、Zendeskを利用したカスタマーサポートの方法を変更する必要があるかもしれません。たとえば、外的要因によってサービスが途絶したときには、特定のチャネルをオフにしたり、カスタマーをセルフサービスオプションに誘導したりするなどの対応が必要になります。そこで、このような状況の中で、Zendesk製品を最大限に活用するための推奨事項をまとめました。
この記事では、次のトピックについて説明します。
処理するチケット量が増えてきたらアラートでカスタマーに知らせる
チケットの量が増えてきたら、カスタマーにアラートで状況を知らせるとよいでしょう。画面にアラートバナーを表示したりメッセージを送るなどして、大量のチケットに対応中で返信が遅れる可能性がありますが、最善を尽くしていることをカスタマーに伝えます。
次のようなことも試してみてください。
- リクエストを受信した際の通知トリガの内容を変更し、大量のリクエストに対応中であることをカスタマーに知らせる。その際、セルフサービスのリソースがあれば、それらを必ず紹介するようにします。詳しくは「チケットを送信したユーザーに送信される自動応答を編集するにはどうすればよいですか?」を参照してください。
- プリチャットフォームを編集して、チャットの多い時間帯のメッセージをカスタマイズする。詳しくは「Chatウィジェットでのプリチャットフォームの有効化」を参照してください。
- ヘルプセンターに通知バナーの表示を追加して、大量のチケットに対応中であることをカスタマーに知らせる。また、バナーを使用して、チケットの急増に関連する重要なリソースやFAQの利用を勧めることもできます。詳しくは「Adding a notification banner to your help center(ヘルプセンターへの通知バナーの追加)」を参照してください。(Zendesk Suite Growth以上、またはZendesk Support ProfessionalおよびEnterpriseのみ)
- エージェントの対応可能時間が少ない場合、カスタマーの期待に沿うように営業時間や業務時間を調整します。詳しくは「営業時間と休日のスケジュールの設定」および「業務時間に合わせたスケジュールの作成」(Chat)を参照してください。(Zendesk Suite Growth以上、またはZendesk Support ProfessionalおよびEnterpriseのみ)
- 簡潔さ、綿密さ、個性のバランスを取ることで、チケットでのカスタマーとのコミュニケーションを向上させる。詳しくは「Enhance your customer communication with media(メディアを利用したカスタマーとのコミュニケーションの強化)」を参照してください。
オンラインチャネルを一時的にオフにする
不測の事態の発生やスタッフの不足などにより、オンラインチャネルでカスタマーにサービスを提供できなくなった場合、それらのチャネルを一時的に無効にしたり、復旧に時間がかかる旨をカスタマーに通知することが必要になります。
オンラインチャット
オンラインチャットを一時的に停止するには、チャネルを無効にする必要があります。
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Web Widget(従来版):Chatチャネルの設定をオフにします。後でオンラインチャネルでサポートを提供できるようになったときにオンに戻します。詳しくは「Web Widget(従来版)のコンポーネントを設定する(Chat)」を参照してください。
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旧バージョンのChatウィジェット:以下の手順でオフラインフォームの設定を変更し、カスタマーの期待に応えます。
- オフラインフォームの設定をオンにして、不在時にオフラインメッセージを受信できるようにします。
- 「オフライン時にウィジェットを隠す」設定を選択し、Webサイト/ヘルプセンターにウィジェットが表示されなくなるようにします。
- オフラインフォームのメッセージを変更して、現在オンラインチャットが利用できなくなっている理由を説明します。
オフラインフォームの再設定については、「オフラインフォームの設定の管理」を参照してください。
または、ウィジェットをオフにしてヘルプセンターから一時的に消してしまう方法もあります。カスタマーとのチャットを再開する準備ができたときにオンに切り替えれば、再度ウィジェットを表示させることができます。詳細については、「WebサイトまたはヘルプセンターからWeb Widget(従来版)を削除する方法」または「Guideで旧バージョンのChatを無効にする」を参照してください。
Talk
電話サポートについては、新しい応答メッセージを録音するとよいでしょう。応答メッセージの中で、サービスの途絶が発生しており、保留時間が長くなったり完全に利用できなくなる可能性があることをカスタマーに伝えます。詳しくは、「カスタムメッセージを作成して電話番号に割り当てる」を参照してください。
また、しばらくの間カスタマーに折り返し電話ができない場合には、Web Widget(従来版)のTalkの「折り返し電話」オプションを無効にしておくとよいでしょう(有効になっている場合)。詳しくは、「Web Widget(従来版)のコンポーネントを設定する(Talk)」を参照してください。
メッセージング
エージェントワークスペースでメッセージングを使用している場合、Web Widgetでメッセージングをオフにすることができます。詳しくは、「Webチャネルとモバイルチャネルでメッセージングを無効にする方法」を参照してください。
また、メッセージングチャネルの初回の応答メッセージの内容を変更し、メッセージを送ってきたカスタマーに、現在サービスを利用できない状況にあること知らせることもできます。詳しくは、「デフォルトのメッセージングの応答を設定する」を参照してください。
ボット対応メッセージングを使用している場合、フロービルダーでカスタムボットフローを新しく作成できます(既存のフローの編集でも可)。新しいフローでは、メッセージングではなくチケットを送信するように訪問者に促し、通常よりも返信に時間がかかることを説明します。詳しくは、「フロービルダーを使用してボットフローを作成する方法」を参照してください。
リモートチームのコラボレーションを改善する
分散型のチームで働く経験が豊富であっても、従業員が100%在宅勤務の場合、さらに多くの問題に直面する可能性があります。そのような形態のチームには、効果的なコラボレーションとコミュニケーションを実現できるツールを提供することが重要です。
次のようなことも試してみてください。
- CC、フォロワー、@メンションを使用して、社内外のユーザーをチケットの会話に追加する。詳しくは「CC、フォロワー、@メンションの使用」および「CCとフォロワーのリソース」を参照してください。
- サイドカンバセーションを使用して、チケットに参加させるメンバーを増やす。これにより、エージェントは課題やプロセスについてのやりとりに他のメンバーや特定のグループ・部門などを引き入れて、チケット内でのコミュニケーションを一元化することができます。詳しくは「サイドカンバセーションについて」を参照してください。この機能には、Supportのコラボレーション機能が必要になります。
- 社内のコミュニケーションにSlackを使用している場合は、Zendesk Support用Slackインテグレーションをインストールする。このインテグレーションにより、SlackチャンネルでZendesk Supportのチケットをやりとりできるようになります。詳しくは「Zendesk Support用Slackインテグレーションのインストール」を参照してください。
優先度の高いチケットを表示する
チケットの量が急増している場合、チームは優先度の高いチケットに集中し、そのようなチケットが見過ごされることのないようにしたいものです。
次のようなことも試してみてください。
- チケットの量が急増しているトピック専用のビューを作成する。このビューは、チケットが突然急増したときに、大量のチケットのキューをすばやく処理するのに役立ちます。1つの種類のチケットに焦点を当てたビューを作成することで、エージェントがすばやく処理できるようになります。詳しくは「チケットワークフローを管理するためのビューの作成」を参照してください。
- SLAを使用してチケットに優先順位を付け、チケットの処理がSLAに違反しそうなときにチームに警告する。詳しくは「SLAポリシーの定義と使用」および「SLA違反に近いチケットに対してチームに警告する方法」を参照してください。(Zendesk Suite Growth以上、またはZendesk Support ProfessionalおよびEnterprise)
セルフサービスオプションの実装と改善を行う
現在、カスタマーにセルフサービスを提供していない場合は、チケットを急増させないために、早急に提供を開始するようにしましょう。セルフサービスを提供することで、この非常時においても、カスタマーはチケットを送信せずに、重要な情報や回答をすぐに得ることができます。また、すでにセルフサービス対応のヘルプセンターをお持ちで、セルフサービスの最適化をお考えなら、最適化を支援するツールもいくつかあります。
次のようなことも試してみてください。
- ヘルプセンターを設定し、カスタマーがチケットを送信せずに回答を得られるようにする(まだヘルプセンターを設定していない場合)。チケットのピーク時に備えて、重要な記事、お知らせ、FAQなどを含む軽量のセルフサービスを設定することができます。センスよくカスタマイズされたヘルプセンターや、充実した記事のセレクションがなくても心配はいりません。それらのことは後からでもできます。詳しくは「初めてのGuideの使い方」を参照してください。
- 既存のヘルプセンターに、カスタマーの疑問や質問に対応するための具体的な告知記事またはコミュニティトピックを作成する。カスタマーは、一般的な質問をしたり、あなたの会社や他のユーザーの取り組みについて読んだりする場所を必要としているかもしれません。専用の記事やトピックへのリンクを、ヘルプセンターのホームページ、会社のWebサイト、チケット通知、ソーシャルメディアなどで紹介するようにしてください。
- Web WidgetをWebサイトに埋め込んで、カスタマーがセルフサービスを行ったり、サポートされているチャネルを使用して連絡を取ったりできるようにする。Web Widget(従来版)は、基本的な設定ですぐに有効にできます。ひとまずWebサイトやヘルプセンターに追加しておき、後で時間があるときにカスタマイズすることができます。詳しくは「Web Widget(従来版)を使用してカスタマーサービスをWebサイトに埋め込む方法」を参照してください。
- 「記事付きのオートリプライ」を有効にして、カスタマーの質問に記事で回答し、エージェントに送られるチケットの量を削減する。記事付きのオートリプライは、機械学習を使用して、ナレッジベースの記事を使用してチケットに回答します。
- コンテンツキューを使用してサポートチケットの傾向を分析し、セルフサービスを改善し、大量のチケットに対処するためにどのような記事を作成または更新すべきかを判断します。詳しくは「提案されたSupportトピックをコンテンツキューで確認する方法」を参照してください。(Zendesk SuiteのEnterpriseとEnterprise Plus、およびZendesk Support Enterpriseのみ)
ChatとWeb Widget(従来版)の設定を最適化する
訪問者のトラフィックが多い時期には、ウィジェットの設定を変更して、大量のチャット訪問者のトラフィックに合わせてパフォーマンスを最適化するとよいでしょう。
次のようなことも試してみてください。
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connectOnPageLoad Web Widget API設定を使用してチャットを最適化し、パフォーマンスを向上させる。この設定は、訪問者がWeb Widget(従来版)とやりとりするまで、チャットの接続を延期します。接続を延期することにより、Webサイト全体のチャットの同時接続の量が減少します。これは、トラフィックのピーク時のエクスペリエンスを向上させるのに役立ちます。
チャット接続を延期する際に考慮すべきいくつかのトレードオフと潜在的な影響があるため、ユースケースに最適な設定を理解してください。一般的なチャットのユースケースについては、「チャットとWeb Widget(従来版)のパフォーマンスの最適化」および「ConnectOnPageLoad構成のベストプラクティス」を参照してください。
メトリックと優先度の高いチケットを監視する
チケットボリュームが急増する中でリモートチームと連携して作業を行うには、日々のメトリックに目を配り、状況を確認し、必要に応じて調整を行うことがこれまで以上に重要となっています。
次のようなことも試してみてください。
- すべてのチャネルとチームの重要なデータを監視するために、Exploreの既定のレポートダッシュボードを毎日確認する。詳しくは「ダッシュボードについて」を参照してください。
- Supportの主要なデータを分析し、メトリックを改善するための調整を行う。期待以上の成果を上げている分野や、改善が必要な分野に注目します。重要なメトリックの見方を理解し、それに基づいて何をすべきかを把握します。詳しくは「カスタマーサポートの改善に影響するメトリックの分析」を参照してください。
- カスタムレポートを作成し、1日ごとのチケット量を比較する。この新型コロナウイルスの大流行で状況が急速に変化する中で、よくいただくリクエストが、2つの日付範囲間でチケットの量を比較する方法についてです。この比較を行うにはExploreレポートを作成し、ビジネスニーズに合わせて他のデータのレポートを変更します。詳しくは今日と昨日のチケット件数を比較する方法」を参照してください。
エージェントに必要な環境を整えさせる
エージェントは最前線にいて、その多くは新しい環境で一日中カスタマーに対応することに適応しています。適応するためのアドバイスをいくつか紹介します。このほかにエージェントへのアドバイスがありましたら、ぜひコメント欄でお知らせください。
次のようなことも試してみてください。
- SupportとChatのモバイルアプリを使用して、どこからでも仕事ができるようにする。即座に作業環境を用意できないこともありますし、常にノートパソコンを手元に置いていられるとは限りません。SupportやChatのモバイルアプリなら、エージェントがどこにいても使うことができます。詳しくは「Zendesk Supportモバイルアプリの概要」および「Chatモバイルアプリのしくみを教えてください」を参照してください。
- 「対応可能」や「離席中」などのチャットのステータスを設定する。チャットエージェントの場合、対応可能、離席中、非表示を示すステータスを設定する必要があります。詳しくは「チャットの空き状況の設定」を参照してください。
- 在宅の仕事環境を整える。在宅の仕事環境で重要なのは、ヘッドセットです。Zendeskからの推奨事項がいくつかありますが、それらは当社の経験に基づいたものです。在宅の仕事ではブラウザは使用せず、個人の電話に電話を転送することをお勧めします。詳しくは「Zendesk Talkの通話品質の最適化:正しいヘッドセットを選ぶ」および「個人の電話またはデスクの電話でコールを受けるにはどうすればよいですか?」を参照してください。
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メッセージをエージェントに一斉送信するチャネルをシャットダウンし、スタッフを安全な場所に避難させる必要がある場合、以下のような方法でスタッフとコミュニケーションを取ることができます(SlackやMicrosoft Teamsなどの社内コミュニケーションツールを使用していない場合)。
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Chat:エージェント間でチャットをするには、サインインしたエージェントをサイドナビゲーションから選択し、会話を開始します。エージェントは、ChatダッシュボードとChatモバイルアプリでメッセージを受信します。詳しくは「他のエージェントとチャットする」を参照してください。
メモ:エージェントワークスペースをご利用の場合、エージェント間のチャットはできません。
- Support:エージェント通知アプリを使用して、アカウント内のすべてのグループまたは特定のグループにメッセージを送信することができます。詳しくは「Installing and using the Agent Notification app(エージェント通知アプリのインストールと使用)」を参照してください。
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Chat:エージェント間でチャットをするには、サインインしたエージェントをサイドナビゲーションから選択し、会話を開始します。エージェントは、ChatダッシュボードとChatモバイルアプリでメッセージを受信します。詳しくは「他のエージェントとチャットする」を参照してください。