この記事では、WebサイトまたはヘルプセンターのWeb Widgetで提供されるメッセージングで会話ボットを立ち上げ、実行するために必要な手順を説明します。会話ボットとは、動的でカスタマイズ可能なボットで、カスタマーの問題解決を手助けします。作業を開始する前に、メッセージングチャネルを設定していることを確認してください。
オンライン中のエージェントに引き継ぐ前にカスタマーを誘導するシンプルなメッセージから、カスタマーからのデータ収集や、特定のエージェントへの会話のルーティング、アップデートや変更に関するカスタマーへのプロアクティブな通知などを行なう複雑な会話ボットまで、組織に適した任意のスタイルの会話ボットを作成することができます。
準備作業:基本的なメッセージングチャネルの設定
会話ボットの作成を計画する場合、まずボットがカスタマーとやりとりできるチャネルを1つ以上用意する必要があります。メッセージングは最もよく使用されるチャネルです。WebサイトやヘルプセンターのWeb Widget、またはAndroidアプリやiOSアプリのモバイルSDKを通じて、メッセージングを提供することができます。
まだ基本的なメッセージングチャネルを設定していない場合は、「メッセージングの初めての使い方」を参照してください。
会話ボットの構成要素について
会話ボットの動作は、標準の応答、カスタマイズされた回答、回答のステップ、または目的の設定方法(および設定の有無)によって決まります。
標準の応答
標準の応答では、カスタマーがウィジェットに入力した質問に対するボットの基本動作を定義します。
標準のボット応答には、次のものがあります。
- 会話の開始:メッセージングの会話が開始されたときの最初の挨拶。
- ボットが関連する記事を見つけた場合:ヘルプセンターで役に立ちそうな解決策が見つかった場合の応答。
- ボットが回答した後:カスタマーからのフィードバックに対する応答。
- ボットが説明を必要とする場合:ボットがカスタマーのコメントと一致する回答を見つけられない場合の応答。
- 質問が複数の目的と一致する場合(目的モデルが必要):複数の目的と一致するコメントに対する応答。
- ボットが質問に回答できない場合:カスタマーのコメントと一致する回答が1つもない場合の応答。
回答
ステップ
ステップは、回答の構成要素であり、回答がカスタマーによる入力にどのように応答するかを決定します。ボットビルダーで回答を作成する際に、これらのステップを回答フローに組み込みます。カスタマーの質問がその回答をトリガすると、ボットはこれらのステップで定義された動作を表示します。
回答では、次のいずれかのステップタイプを使用できます。
- メッセージの送信:会話中にカスタマーにメッセージのテキストを表示します。
- オプションの提示:会話中にカスタマーがやりとりできる、既定のクイック返信のオプションを最大10個表示します。
- ヘルプセンター記事の表示:会話中に最大6つのヘルプセンター記事をカスタマーに提示します。
- カルーセルを追加:カスタマーがスクロールできる情報パネルが最大10個表示され、それぞれに外部URLへのリンクが含まれます。
- 詳細を質問する:会話中にエンドユーザーから情報を収集します。
- 質問が解決されたかどうかを尋ねる:回答によってサポートの問題が解決されたかどうかをエンドユーザーに尋ね、選択肢形式の回答を表示します。
- APIコールを実行:会話中に外部のデータを提示したり、外部のエンドポイントにデータをプッシュします。
- エージェントへの転送:会話をエージェントにエスカレーションします。
- 条件で分岐:回答フローに条件ロジックを追加します。このロジックを使用し、エンドユーザーのデータに基づいて会話をパーソナライズすることができます。
- 営業時間条件を追加:スケジュールを使って会話を分岐させることができます。
- 別の回答にリンク:カスタマイズした回答フロー内の1つの回答を別の回答にリンクします。
- 変数を設定:既存の変数またはステップ内で作成された新しい変数の値を設定するために使用します。
目的
目的モデルを割り当てているアカウントでは、回答に目的を使用できます。目的とは、カスタマーからの質問やリクエストをあらかじめ想定したトピックのことです。これらのトピックは、匿名化されたカスタマーサービスデータを使用してZendeskが開発した、業界固有のトピックから抽出されたものです。
目的を回答に割り当てることで、時間を節約し、ボット回答の精度を高めることができます。特定の目的を回答に割り当てると、ボットはその目的をカスタマーとの会話の中で認識するたびに、この回答を表示するようになります。
以下のように目的と回答を結びつけることができます。
- 回答の作成時に、推奨される目的を適用することで、より効果的な会話ボットを構築できる。
- 目的を表示する際に、カスタマーからよく尋ねられる質問のうち、未回答の質問を特定する目的の候補を解決することで、ボットの知識の不足を埋めることができる。
ステップ1:会話ボットを作成する
会話ボットを作成することは、チャネルのメッセージング設定に、ボット機能を追加することを意味します。この操作を行なう際に、ボットのブランドと使用言語を設定します。
会話ボットを追加するには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「AIエージェントと自動化」>「AIエージェント」を選択します。
- 「会話ボットを管理」をクリックします。
- ページの上部にある「ボットを作成」をクリックします。
または、既存のボットを複製し、それをベースにして新しいボットを作成することもできます。
- 「基本的な機能」で情報を入力し、「次へ」をクリックします。
- ボットの名前を入力します。この名前は、ボットが配置されるウィジェットの上部に表示されます。
- カスタムアバターを追加します(オプション)。カスタムアバターは、デフォルトのアバターを置き換えます。画像はJPG、PNG、またはGIFファイルで、100KB以下である必要があります。最適な画像サイズは50x50ピクセルです。
- ブランドが複数ある場合は、ドロップダウンメニューからボットを適用するブランドを選択します。
- 「言語」で、ドロップダウンからボットの言語を選択し、「次へ」をクリックします。
- 返答生成およびボットのペルソナを使用したい場合は、「生成AI」で「生成AI機能を有効にする」を選択します。
- ページの下部にある「ボットを作成」をクリックします。
ステップ2:標準の応答と返答生成を使用したボットの構成
会話ボットの標準の応答の設定で、会話中のカスタマーからの入力に対するデフォルトの応答を定義します。
ボットが回答を見つけられない場合に、ヘルプセンターの記事に基づいてAIが生成した返答を使用するようにボットを設定できます。
ボットの標準の応答を設定するには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「AIエージェントと自動化」>「AIエージェント」を選択します。
- 「会話ボットを管理」をクリックします。
- 設定を編集するボットの名前をクリックします。
- 「動作」タブをクリックし、各メッセージをクリックして編集します。
各回答を編集すると自動的に保存されますが、変更内容はボットを公開するまでカスタマーには表示されません。
これでボットの標準応答の設定が完了し、公開すれば追加の設定を行わずに使用できる、完全に機能するボットの完成です。ボットの機能を高めたい場合は、ボットを公開する前にカスタム回答を作成することもできますし、後でボットに回答を追加することもできます。
ステップ3:回答を使ったカスタマイズされたボットの設計
これらの回答に従って、会話ボットがWeb WidgetやモバイルSDKからのカスタマーの質問に対して最適な対応を行うしくみになっています。回答は、カスタマーが尋ねる可能性のある1つの質問に対応しています。ゼロから独自の回答を作成することも、既定の回答テンプレートを利用することもできます。目的モデルを割り当てているアカウントでは、回答の作成や改善に目的を使用することができます。
回答は、カスタマーの入力に対してボットが行うステップで構成されます。各ステップは、ボットが会話中にカスターに表示できるメッセージを表しており、それぞれがカスタマーからの想定される特定の質問に対応しています。回答の作成は完全に任意ですが、カスタマーとの対話に個別性と複雑さを追加するのに非常に便利です。
会話ボットに回答を作成するには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「AIエージェントと自動化」>「AIエージェント」を選択します。
- 「会話ボットを管理」をクリックします。
- 設定を編集するボットの名前をクリックします。
- 「回答」タブで、「回答を作成」をクリックします。
- 「独自の回答を作成」をクリックして、「次へ」をクリックします。
- 「回答の名前」を入力し、「次へ」をクリックします。
この名前は、回答で取り上げる問題の内容を分かりやすく説明した名前にします。たとえば、「パスワードのリセット」、「返金をリクエストする」、または「人間と話す」などです。
- 使用可能なフィールドに「トレーニング用の表現」を入力し、さらに表現の追加が必要な場合は、「表現を追加」をクリックします。
トレーニング用の表現は、最も関連性の高い回答にマッチングできるように、質問をどのように解釈するかをボットに教えます。最大で100の表現を追加できます。詳しくは「トレーニング用の表現のベストプラクティス」を参照してください。
また、アカウントに目的モデルが割り当てられている場合、トレーニング用の表現の代わりにAIが推奨する目的が最大3つ表示されることがあります。1つ以上の目的を選択できます。どの目的も機能しない場合は、「ボットを自分でトレーニング」をクリックして、トレーニング用の表現を追加します。
- 「次へ」をクリックします。
回答がボットビルダーで開き、ボットの回答を構築することができます。
- 「ステップを追加」をクリックし、回答の最初のステップを作成します。
各回答にはステップが少なくとも1つ必要です。
- 設定パネルの「ステップの選択」でステップのタイプを選択し、オプションを入力してステップを設定します。
利用可能なステップタイプについては、「回答ステップのタイプについて」を参照してください。ユーザーにステップがどのように表示されるかを確認するには、「プレビュー」をクリックします。
- 必要に応じて、回答に新しいステップを追加します。
詳しくは「回答のステップを追加または削除する」を参照してください。
- 操作が終わったら、「完了」をクリックします。
回答は「公開準備完了」ステータスとして表示されます。
この時点で、「回答を作成」をクリックして別の回答を作成できます。または「ボットを公開」をクリックすれば、作成した回答がボットで利用できるようになります。新規または編集した回答をカスタマーが利用できるようにするには、その回答に接続されているボットを公開する必要があります。ボットを公開すると、「公開準備完了」ステータスにあるすべての回答が公開されます。
ステップ4:ボットの公開
標準のボット回答で構築したボット使用する場合も、独自の回答で構築したボットを使用する場合も、メッセージングチャネルにボットを表示するには、ボットを公開する必要があります。
ボットをチャネルに公開すると、他のタイプのメッセージング応答(デフォルトのメッセージング応答や別のボット)はそのチャネルから削除され、新たに公開したボットに置き換えられます。
ボットをチャネルに公開するには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「AIエージェントと自動化」>「AIエージェント」を選択します。
- 「会話ボットを管理」をクリックします。
- 公開するボットをクリックします。
- フローに必要な変更を加えてから、右上にある「ボットを公開」をクリックします。
- ボットが現在チャネルに公開されていない場合は、「ボットを表示する場所を選択してください」で1つまたは複数のチャネルを選択し、「選択したチャネルに公開」をクリックします。
- そのボットがすでにチャネルに公開されている場合は、そのチャネル内でボットが更新されます。