この記事では、WebサイトやヘルプセンターのWeb Widgetに会話ボットを導入し、稼働させるために必要な手順をステップバイステップのチュートリアル形式で説明します。標準的な会話ボットと高度な会話ボットの両方のタスクが含まれています。
会話ボットとは、動的でカスタマイズ可能なボットで、カスタマーの問題解決を手助けします。メッセージングWeb Widgetに会話ボットを展開し、Webサイトやヘルプセンターでボットが24時間365日サポートを提供できるようにすることができます。
オンライン中のエージェントに引き継ぐ前にカスタマーをサポートセンターに誘導するシンプルなメッセージから、カスタマーからのデータ収集や、特定のエージェントへの会話のルーティング、アップデートや変更に関するカスタマーへのプロアクティブな通知などを行なう複雑な会話ボットまで、組織に適した任意のスタイルの会話ボットを作成することができます。
この記事では、以下の手順について説明します。
ステップ1:会話ボットの構成要素について
会話ボットの動作は、標準の応答、カスタマイズされた回答、回答のステップ、または高度な目的の設定方法(および設定の有無)によって決まります。
このセクションでは、これらの各要素の概要を説明します。
標準の応答
標準の応答では、カスタマーがウィジェットに入力した質問に対するボットの基本動作を定義します。デフォルトの設定を使用したり、カスタマイズしたり、場合によっては必要に応じてアクティブにしたり非アクティブにすることができます。
標準の応答は、以下の設定可能なセクションで構成されています。
- 会話の開始(必須):カスタマーがメッセージングの会話を始めたときに、最初の応答に使用する会話開始のメッセージです。
- ボットが質問を理解できない場合(オプション):エンドユーザーに詳しい説明の提供を求める自動応答です。この応答は、ボットがエンドユーザーのコメントを理解できない場合、会話中にいつでもトリガできます。
- 質問が複数の目的と一致する場合(「高度なAI」アドオンのオプション):エンドユーザーのコメントが複数の目的に一致する可能性がある場合、ボットはコメントを正確に解釈するために最大3つの目的を提供できます。一致する目的を選択する際に、ボットは回答に関連しないものも含め、可能性のある目的をすべて調べます。
- 関連する回答がない場合(必須):この応答は、エンドユーザーの質問またはコメントに一致する回答がない場合に、または「質問が複数の目的と一致する場合」でエンドユーザーによって選択された目的に関連する回答がない場合にトリガされます。
「Webチャネルおよびモバイルチャネル用の会話ボットの作成」を参照してください。
回答
回答は、カスタマーからの予想される質問に対する、カスタマイズされた応答です。回答の作成は完全に任意であり、作成しなくても標準的な応答は問題なく機能します。ただし、回答を作成することで、カスタマーが問題を自分で解決するのに役立つパーソナライズされた応答を提供できるため、サポートリクエストの作成が抑制され、エージェントがより複雑なカスタマーの問題に取り組む時間を確保できます。
回答の作成には、複雑なボットのカスタマイズをクリックだけで設定できるボットビルダーを使用します。詳しくは「回答を利用した会話ボットの構築」を参照してください。
ステップ
ステップは、回答の構成要素であり、回答がカスタマーによる入力にどのように応答するかを決定します。ボットビルダーで回答を作成する際に、これらのステップを回答フローに組み込みます。カスタマーの質問がその回答をトリガすると、ボットはこれらのステップで定義された動作を表示します。
回答では、次のステップタイプを使用できます。
- メッセージの送信:会話中にカスタマーにメッセージのテキストを表示します。
- オプションの提示:会話中にカスタマーがやりとりできる、既定のクイック返信のオプションを最大10個表示します。
- ヘルプセンター記事の表示:会話中に最大6つのヘルプセンター記事をカスタマーに提示します。
- カルーセルを追加:カスタマーがスクロールできる情報パネルが最大10個表示され、それぞれに外部URLへのリンクが含まれます。
- 詳細を質問する:会話中にエンドユーザーから情報を収集します。
- 質問が解決されたかどうかを尋ねる:回答によってサポートの問題が解決されたかどうかをエンドユーザーに尋ね、選択肢形式の回答を表示します。
- APIコールを実行する:会話中に外部のデータを提示したり、外部のエンドポイントにデータをプッシュします。
- エージェントへの転送:会話をエージェントにエスカレーションします。
- 条件で分岐:回答フローに条件ロジックを追加します。このロジックを使用し、エンドユーザーのデータに基づいて会話をパーソナライズすることができます。
- 営業時間条件を追加:スケジュールを使って会話を分岐させることができます。
詳しくは「回答フローのステップタイプについて」を参照してください。
目的(高度なAIアドオン)
目的は、高度なAIアドオンの一部として含まれています。対象アカウントは、アドオンを購入しなくても目的を限定的に使用できます。
目的とは、カスタマーからの質問やリクエストをあらかじめ想定したトピックのことです。これらのトピックは、匿名化されたカスタマーサービスデータを使用してZendeskが開発した、業界固有のトピックから抽出されたものです。
目的を回答に割り当てることで、時間を節約し、ボット回答の精度を高めることができます。特定の目的を回答に割り当てると、ボットはその目的をカスタマーとの会話の中で認識するたびに、この回答を表示するようになります。
次のような方法で目的と回答を結びつけることができます。
- 回答の作成時に推奨される目的を適用することで、より効果的な会話ボットを構築できる。
- カスタマーからよく尋ねられる質問のうち、未回答の質問を特定する目的の候補を使用することで、ボットの知識の不足を埋めることができる。
詳しくは「会話ボットでAI搭載した目的を使用する方法」を参照してください。
ステップ2:会話ボットを作成する
会話ボットを作成することは、チャネルのメッセージング設定に、ボット機能を追加することを意味します。この操作を行なう際に、ブランドと使用言語を設定します。
メッセージングボットを追加するには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「ボットと自動化」>「ボット」を選択します。
- 「ボットを管理」をクリックします。
- ページ上部にある「ボットを作成」をクリックします。
- ボットの名前を入力します。この名前は、ボットが配置されるウィジェットの上部に表示されます。
- カスタムアバターを追加します(オプション)。カスタムアバターは、デフォルトのアバターを置き換えます。
- ブランドが複数ある場合は、ドロップダウンメニューからボットに適用するブランドを選択します。
- 「言語」ドロップダウンを使用して、ボットを作成する言語を指定します。
- ページの下部にある「ボットを作成」をクリックします。
ステップ3:標準の応答を設定し、完全に機能するボットを構成する
会話ボットの標準の応答の設定で、会話中のカスタマーからの入力に対するデフォルトの応答を定義します。これらの応答は、必要に応じてアクティブまたは非アクティブにしたり、カスタマイズすることもできます。
標準の応答を設定するだけで、他の追加の構成は不要な、完全に機能するボットが作成されるため、そのまま公開して利用できます。ただし、カスタム回答を作成している場合は、その回答を参照することができます。
ボットの標準の応答を設定するには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「ボットと自動化」>「ボット」を選択します。
- 「ボットを管理」をクリックし、作業するボットを選択します。
- ボットの「編集」ページの「動作」タブで、各セクションを展開して、使用する応答を編集します。
- 会話の開始:メッセージングの会話が開始されたときのボットの最初の応答。
- ボットが質問を理解できない場合:カスタマーのコメントに一致する回答を決定できない場合のデフォルトの応答。
- 質問が複数の目的と一致する場合:複数の答えに一致するコメントへのボットの応答。
- 関連する回答がない場合:カスタマーのコメントに一致する回答が1つもない場合のボットの応答。
- 標準の応答のみを使用している場合は、「ボットを公開」をクリックしてボットをメッセージングチャネルに追加します。詳しくは「ボットをチャネルに公開する」を参照してください。
「標準の応答を変更する」を参照してください。
ステップ4:回答を使って、より複雑でカスタマイズされたボットを設計する
これらの回答に従って、会話ボットは、Web WidgetやモバイルSDKからのカスタマーの質問に対して最適な対応を行うしくみになっています。それぞれの回答は、カスタマーからの想定される1つの質問に対応しています。ゼロから独自の回答を作成することも、既定の回答テンプレートを利用することもできます。「高度なAI」アドオンがあれば、目的を使用して回答を作成したり、回答を改善したりすることができます。
回答は、カスタマーの入力に対してボットが行うステップで構成されます。各ステップは、ボットが会話中にカスターに表示できるメッセージを表しており、それぞれがカスタマーからの想定される特定の質問に対応しています。回答の作成は完全に任意ですが、カスタマーとの対話に個別性と複雑さを追加するのに非常に便利です。
回答の作成には、複雑なボットのカスタマイズをクリックだけで設定できるボットビルダーを使用します。会話ボットに回答を作成するには
- ボットの編集ページの「回答」タブで、「回答を作成」をクリックします。
- 「独自の回答を作成」をクリックして、「次へ」をクリックします。
- 「回答の名前」に入力します。「パスワードのリセット」、「返金のリクエスト」、「人間と話す」などのように、回答が対処する問題について簡潔かつ明確な表現で説明する必要があります。 次に、「次へ」をクリックします。
- 「トレーニング用の表現」に入力します。これらの表現により、カスタマーがどのような情報を求めているかを評価し、理解できるようにボットをトレーニングします。詳しくは、後述の「ボットをトレーニングする」を参照してください。
リストの一番下にある「質問を追加」をクリックして、質問を最大100個追加できます。「高度なAI」アドオンをお持ちの場合は、表現をトレーニングする代わりに目的を使用することができます。詳細については、「会話ボットでAIを利用した目的を使用する方法」を参照してください。
- 「次へ」をクリックします。回答がボットビルダーで開き、ボットの回答を構築することができます。
- 「ステップを追加」をクリックし、回答の最初のステップを作成します。必要に応じて、回答に新しいステップを追加します。回答には、少なくとも1つのステップを追加する必要があります。
- 「プレビュー」をクリックして、回答がエンドユーザーにどのように表示されるかを確認し、問題がなければ「完了」をクリックします。
- 「ボットを公開」をクリックして、メッセージングチャネルに追加します。詳しくは「ボットをチャネルに公開する」を参照してください。
また、推奨される目的を既存の回答に追加して質問と回答のマッチングを改善したり、ボットの応答に不備がある可能性を指摘する推奨される目的から回答を作成したりすることもできます。
詳しくは「推奨される目的を回答に追加する」および「目的の候補に基づいて回答を作成する」を参照してください。ステップ5:ボットに返答生成(「高度なAI」アドオン+生成AI EAP)の回答を作成させる
返答生成機能では、AIによって生成された応答を会話ボットが利用し、エンドユーザーからの質問に対応します。これらの応答では、生成AIを使用して、リンク先のヘルプセンター記事を評価し、記事に含まれている情報を使用して、カスタマーとの会話に簡潔な回答を提供します。
返答生成をアクティブにするには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「ボットと自動化」>「ボット」を選択します。
- 会話ボットで、「ボットを管理」をクリックします。
- 返答生成で使用したいボットをクリックするか、新しいボットを作成します。
- ボットが関連記事を見つけたら、「動作」タブで、クリックしてセクションを展開します。
- 「返信を生成する」を選択します。新しいボットを作成する場合、このオプションはデフォルトで選択されています。
このボックスを選択すると、回答が割り当てられていない目的は、「返信を生成する」に更新されます。
- 「ボットのテスト」ボタンをクリックし、ボットが既存のヘルプセンターのコンテンツと一致する語句を入力すると、エンドユーザーが受け取る返信のサンプルが表示されます。
- 「ボットを公開」をクリックして、変更を適用します。
詳しくは「会話ボットでのAIを使用した返答の生成(生成AI EAP)」を参照してください。
ステップ6:ボットをテストして公開する
標準のボット回答を使用する場合も、独自の回答を追加した新しいボットを作成する場合も、メッセージングチャネルにボットを表示するには、ボットをテストして公開する必要があります。
「ボットをテスト」ボタンを使って、ライブチャネルに公開する前に作成したボットをテストすることができます。既存のボットに加えた未公開の変更もプレビューできます。
公開前にボットをテストするには
- 更新したいボットを開いて編集するか、新しいボットを作成します。
- ボットの「編集」ページで、「ボットをテスト」をクリックします。テスト用のサイドバーが開きます。
- このサイドバーを使用して、ボットとの会話を開始します。リセットして新しい会話を始めるには、再読み込みアイコン()をクリックします。
詳しくは「公開前に会話ボットをテストする」を参照してください。
ボットをチャネルに公開すると、他のタイプのメッセージング応答(デフォルトのメッセージング応答や別のボット)はそのチャネルから削除され、新たに公開したボットに置き換えられます。
ボットをチャネルに公開するには
- 管理センターで、サイドバーにある「 チャネル」をクリックし、「ボットと自動化」>「ボット」を選択します。
- 「ボットを管理」をクリックします。
- 公開するボットをクリックします。メモ:前述の手順でボットを追加する場合は、ボットが自動的にボットビルダーで開きます。
- フローに変更を加えた後、「ボットを公開」をクリックします。
- ボットが現在チャネルに公開されていない場合は、チャネルの選択画面が開きます。ボットと接続するチャネルを1つまたは複数選択し、「選択したチャネルに公開」をクリックします。
- そのボットがチャネルですでに公開されている場合は、ボットに加えられた変更がそのチャネル内に反映されます。