エージェントの業務の効率性を高め、サポートタスクを合理化する最良の方法の1つは、Zendeskのルーティングオプションを使用してチケットワークフローを管理することです。ルーティングオプションは、チケットをできるだけ早く適切なエージェントに渡すためのツールセットです。
この記事では、次のトピックについて説明します。
デフォルトのチケットルーティングについて
Supportのアカウントを作成したら、登録プロセス時に指定したデフォルトのサポートメールアドレスを使用して、サポートリクエストの受信をすぐに開始することができます。メールや他のチャネルを介してアカウントに送信されたサポートリクエストはすべて、システム内で自動的にチケットに変換されます。
Zendeskにはデフォルトのビューとトリガが用意されており、これらを連携させてシンプルなチケットルーティングの仕組みを作ることができます。これらのツールの基本動作を理解することで、独自のチケットルーティングの仕組みを設計することができます。
ビューでは、特定の条件に基づいてチケットを整理して表示することができます。ビューはデスクトップフォルダに似ていますが、1つのチケットを複数のビューに表示させたり、ビューにまったく表示させないこともできます。ビューに表示されるチケットは、ビューの作成時や更新時に各チケットに適用される条件によって定義されます。ビュー構造に何も変更を加えずにSupportをそのまま使い始めると、すべてのチケットが少なくとも1つのデフォルトビューに表示されます。
以下のビューはデフォルトで有効になっています。
デフォルトビューの詳細については、「デフォルトビューについて」を参照してください。
トリガは、チケットが作成または更新されたりするたびにアクションを実行するビジネスルールです。トリガは、エンドユーザー、エージェント、またはエージェントのグループに通知を送信したり、タグを追加したりすることができます。
デフォルトのトリガはメール通知を送信するように設計されています。いくつかのトリガは、リクエスタ(通常はエンドユーザー)に通知を送信するためのものです。その他に、チケットに割り当てられたエージェントに通知を送信するトリガや、他の関係者(グループまたはすべてのエージェント)に通知を送信するトリガもあります。必要に応じてこれらのデフォルトのトリガを編集、複製、無効にすることができますが、これらのトリガが生成する通知はベストプラクティスと考えられており、変更を加えることでワークフローを混乱させる可能性があることにご注意ださい。詳細については、「トリガの管理」を参照してください。
デフォルトのトリガの包括的なリストとその機能については、「Supportのデフォルトトリガについて」を参照してください。
初期登録プロセス以外の設定を行わなくても、デフォルトのチケットビューとデフォルトトリガは、次のような基本的なチケットルーティングパスを提供します。つまり、チケットが新規作成または更新されるたびに、チケットが少なくとも1つのビューに表示され、少なくとも1つの通知がトリガされます。
新しいチケットがサポートアドレスから送信されると、以下のデフォルトビューに表示されます。
- 未解決のチケット
- すべての未解決チケット
- 最近更新されたチケット
使用しているSupportプランや、他のエージェントを追加したかどうかによっては、他のビューにも表示される場合があります。
また、以下のデフォルトのトリガは、チケットを受信したときやチケットが更新されたときに実行されます。
- リクエスタとCCへの通知 - リクエスト受信
- すべてのエージェントへの通知 - リクエスト受信
ルーティングの目標を設定する
チケットのルーティングオプションを選択してアカウントをカスタマイズする前に、ルーティングで達成したい主要な目標をリストアップしておきましょう。これらの目標は、会社の優先事項と焦点を反映したものでなければなりません。Zendeskを設定する前に、希望する成果を綿密に計画します。
検討事項:
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カスタマーのニーズ
- 特殊なワークフローによって、各カスタマーはどのようなメリットを得られますか?たとえば、チケットキュー内のサポートリクエストに優先順位を付けるべきか、それとも特定のグループにチケットを転送するべきですか?
- どのようにチケットをルーティングすれば、最適かつ迅速な結果を得ることができますか?
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最も緊急に解決する必要のある状況とは
- どのような状況や問題が発生した場合に、チームは作業を中断して問題の解決に取り組みますか?
- ビジネスルールの条件下でこれらのケースを適切なエージェントに転送するには、どのように状況を判断すればよいでしょうか?
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ワークフロー全体
- Zendesk内のワークフローに加えて、Zendesk外のワークフローについても考えてみてください。
- ワークフローを管理する上で最も重要なツールやアプリケーションはどれか、そしてZendeskでどのようにしてこれらのフローを強化できるのかを考えてみましょう。
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サポートチームの組織
- エージェントの営業時間と場所は?
- エージェントにはどのようなスキルがありますか?スキルとは、たとえば熟練度、商品知識、チャネルの専門知識、言語などです。
- エージェントの作業負荷はどのくらいですか?
- チームはどのような構成ですか?トピック(請求や技術サポートなど)やチケットの重要度、カスタマーの状況に基づいてエージェントやリクエストをグループ化していますか?それとも、すべてのチケットを一か所にまとめて、すべてのエージェントがアクセスできるようにしていますか?
ワークフローを計画する
チケットとエージェントをつなぐ基本的な方法は2つあります。
- プッシュ式:グループに直接の入力を求めることなく、管理者やトリアージエージェントがエージェントやグループにチケットを「プッシュ」できます。
- プル式:エージェントはチケットを割り当ててもらうのではなく、自分からチケットを取得します。プル式は、ルーティングツールを使用してチケットをより小さな選択グループに整理することで、効率化できます。
どちらの方法にも、エージェントやビューにチケットを転送するために、手動と自動の両方のオプションがあります。プッシュ式とプル式、手動と自動のオプションなど、複数のスタイルを組み合わせて、ニーズに合ったワークフローを作成することができます。
エージェントへチケットをプッシュする
プッシュ式で受信チケットを転送するには、チケットを分析し、適切なエージェント、グループ、およびビューとマッチングさせる必要があります。これを手動で行うこともできますし、チケットの条件に基づいて自動的に行わせることもできます。そして重要なことは、常に両方を組み合わせることで、チームとビジネスに適した方法を作成できるということです。
チケットを手動でプッシュする
手動によるトリアージでチケットを分析し、エージェントに転送することができます。次の画像は、手動プッシュのワークフローの基本ステップを示しています。
手動でのトリアージは、小規模なチーム編成で、チケットの量が少ない場合に最適です。導入にかかる時間も少なくて済みますし、各チケットが個別に評価されるため、誤って割り当てられる可能性も低くなります。
しかし、大規模なチーム編成や、大量のチケットを受け取る場合には、手動でのトリアージは非常に時間がかかります。また、エージェントの空き状況や能力に関する知識も必要となり、個人では追跡が難しい場合があります。
プッシュ式の割り当てワークフローの一部に手動トリアージを使用したい場合は、自動ルーティング方法と組み合わせることで、プロセスを効率化することができます。
使用例:
関連情報:
自動でチケットをプッシュする
Zendeskには、トリガと組み合わせて使用できるビジネスルールが多数用意されており、転送チケットのワークフローを自動化して管理することができます。次の画像は、自動プッシュのワークフローの基本ステップを示しています。
トリガを使用して、エージェントにチケットをプッシュするワークフローを自動化することができます。トリガを設定して、サポートアドレス、チケットフォーム、またはSLAなど、さまざまなチケット条件に基づいてチケットを転送することができます。また、イベントベースのトリガを使用して、チケットを特定のエージェントまたはエージェントグループに割り当てることもできます。
メモ:Essentialプランでは、これらの機能をすべて利用できません。
イベントベースのトリガに加えて、次のオプションを使用してワークフローを自動化することができます。
- スキルベースルーティングを使用して、エージェントにスキルを割り当て、そのスキルに基づいて、エージェントが解決できるサポートリクエストを判断します。
- オムニチャネルルーティングを使用して、エージェントのステータスやキャパシティに応じてチケットやコール、メッセージングの会話を割り当てます。
- 時間ベースの自動化を使用してチケットの優先順位付けと割り当てを行い、リクエストがキューで待機している時間に基づいてエージェントにリマインダーを送信します。
使用例:
関連情報:
エージェントに自分でチケットを取得させる
エージェントが直接チケットを選択し、自分のペースでチケットを選択できるようにZendeskを設定することができます。少人数のチームであれば、オープンなチケット処理プロセスが適切です。
次の画像は、プル式の割り当てワークフローの基本ステップを示しています。
ただし、毎日かなりの量のチケットを処理するエージェントが多数いる場合は、管理しきれなくなる可能性があります。Zendeskのツールを使用して、チケットルーティングのワークフローを構造化することで、負荷のバランスを取り、エージェントがチケットを処理できるようになります。
たとえば、エージェントがチケットを選り好みしてしまう懸念がある場合は、エージェントにPlayモードでチケットを処理するように指示する(または要求する)ことができます。あるいは、特に大規模なチームで負荷の偏りに懸念がある場合は、チケットにラウンドロビン方式を適用することもできます。
エージェントにチケットを割り当てるオプションや、エージェントが自分でチケットを取得することを可能にするオプションがあります。
ターゲットビュー
既に述べたように、ビューはチケットを整理するシンプルな方法です。チケットをより細かく整理したいのであれば、条件文を作成できます。条件文はチケットに適用され、特定のビューに送信されます。ビューの使用は必要に応じて、特定のエージェントやエージェントのグループに制限することができます。
ターゲットビューを使用するには、エージェントまたはエージェントグループごとにビューを作成する必要があります。あるチケットを処理できるグループが複数ある場合、すべての適切なエージェントがアクセスできるように、そのチケットを複数のビューに表示させることができます。
ビューは簡単に作成できるので、このルーティング方法の実装は簡単です。単独で使用する場合、エージェントはあらかじめフィルタリングされたチケットのセットから選択することができ、プッシュ式とプル式のチケット割り当て方法を組み合わせることができます。
使用例:
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Playモード
Zendesk SupportにはPlayモードがあり、エージェントはPlayボタンをクリックすると、自動的に次のチケットに移動することができます。Playモードは、さまざまな方法で次のようにカスタマイズできます。
- 管理者は、特定のビューのチケットのみを表示させるようにPlayモードを制限できます。
- Enterpriseプランでは、ガイドモードを使用して、エージェントがPlayボタンを使用しないとチケットにアクセスできないようにすることができます。
使用例:
関連情報:
ラウンドロビン
ラウンドロビン方式のチケット管理では、エージェントをローテーションしてチケットを割り当てることができます。たとえば、3人のエージェントが勤務していて、4枚のチケットがキューに入ってきた場合は、次のようなフローになります。
- チケット1はエージェント1に割り当てられる
- チケット2はエージェント2に割り当てられる
- チケット3はエージェント3に割り当てられる
- チケット4はエージェント1に割り当てられる
このように繰り返されます。
ラウンドロビン方式は、エージェント間のチケット配分が均等になり、より自動化されたワークフローに組み込むことが容易です。ただし、チケットを割り当てする際に、問題の複雑さや、時間の浪費、必要な専門知識などが考慮されません。
ラウンドロビンアプリは、このような方法のワークフローを構築するのに役立ちます。
Zendeskの設定オプションを使用して、チケットの条件に基づいて自動的にチケットを転送する
Zendesk Supportでは、ビューやトリガを作成する際に、チャネルやチケットフォーム、エージェントのスキルなど、さまざまな設定要素を条件として組み込んだビジネスルールを作成することで、チケットが適切なエージェントに転送されるようにできます。
次の画像は、チケットを受け取ったチャネルに基づくルーティングオプションを示しています。
このセクションでは、これらのオプションのいくつかと、ワークフローでの使用方法の簡単な例を紹介します。
自動チケットルーティングワークフローで使用できるオプションには、以下のものがあります。
- サポートアドレス:カスタマーがサポートに連絡する際に使用したメールアドレスに基づいてチケットをルーティングできます。
- 複数のチケットフォーム(Professionalアドオン およびEnterpriseプラン):特定のフォームでカスタマーから情報を収集し、使用されたチケットフォームに基づいてチケットをルーティングできます。
- チケット情報:チケットがキューに入る前にカスタマーの情報を要求するようにカスタマイズすることができ、特定のチケット情報に基づいてチケットをルーティングできます。
-
チャネル:トリガの条件として使用できるため、チケットを受信したチャネルに基づいてチケットをルーティングできます。
メモ:Webやモバイルのメッセージングチャネルで作成されたチケットの場合は、ルーティングの基準が異なります。詳しくは「Zendeskメッセージングのルーティングについて」を参照してください。
- サービスレベルアグリーメント(SLA):時間ベースの自動化を作成できます。カスタマーとの約束に基づいてチケットをルーティングし直したり、優先順位を付けたりします。
- スキル:問題解決のために特定の能力や専門性を必要とするチケットとエージェントをマッチングできます。
- エージェントステータスとキャパシティに基づいて、優先度の最も高いチケットを稼働率の最も低いエージェントにマッチングさせることができます。
これらのオプションはルーティングフローの中でしばしば重複します。たとえば、チケット情報の中には、サポートへの連絡にカスタマーが使用したチャネルが含まれることがあります。
サポートアドレス
Zendesk Supportの設定では、チケットの送信先のメールアドレスはsupport@myaccount.zendesk.comの1つだけですが、エンドユーザーには「サポートアドレス」と呼ばれる複数の代替メールアドレスを提供することができます。
特定のサポートトピックを扱う部門が複数ある場合は、部門ごとにサポートアドレスを作成して、その部門のキューに直接チケットを転送することができます。たとえば、billing@yourcompany.comやsales@yourcompany.comのようなメールアドレスを作成することができます。
また、チケットを受信するサポートアドレスに基づいてチケットの優先度を設定し、優先度に基づいてチケットをキューの先頭に移動することもできます。
チケットが特定のキューに整理されている場合、手動のトリアージレイヤーを追加することができます。たとえば、部門のトリアージエージェントがフィルタリングされたキューを見て、特定のエージェントにチケットをプッシュしたり、一般のエージェントがフィルタリングされたキューを見て、引き受けるチケットを選択したり 、あるいは他のルーティングツールを使用してプロセスを効率化させることができます。
使用例:
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複数のチケットフォーム(Professionalプラン+生産性向上パックアドオンおよびEnterpriseプラン)
チケットフォームとは、特定のサポートリクエスト用に定義されたチケットフィールドのセットです。複数のチケットフォームを作成する場合、エンドユーザーから情報を収集して、適切なエージェントやエージェントグループにサポートリクエストが転送されるようにカスタマイズできます。もちろん、これらすべてを1つのチケットフォームで行えるようにすることもできますが、ビジネスの構造が複雑な場合は、複数のフォームを使用した方が適切かもしれません。
質問や問題の内容に合わせてチケットフォームをカスタマーに選択させたり、Webサイトやヘルプセンターの特定のページから関連するチケットフォームにリンクすることで、カスタマーがどのチケットフォームを使用するのかを制御することができます。
Webフォームでカスタマーから提供された情報をビジネスルールと一緒に使用することで、チケットのルーティングを効率化し、正しいエージェントに迅速に届くようにすることができます。さらに、問題を迅速に解決するために、Webフォームでカスタマーにセルフサービスまたはオンラインチャットのオプションを提供することができます。
使用例:
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チケット情報
チケットにカスタムチケットフィールドを埋め込んで、リクエストのルーティングに役立つ情報源として使用することができます。
カスタムチケットフィールドでは、チケットで特定の情報の入力を求めたり、さらにその情報の入力を必須にしたりすることができます。カスタムチケットフィールドをチケットやWebフォームに埋め込んで、カスタマーから情報を収集したり、チケットにカスタムチケットフィールドを埋め込んで、サポートリクエストに関する情報の入力をエージェントに要求することもできます。これらのフィールドから収集した情報をビジネスルールの条件として使用したり、チケットを特定のビューにルーティングしたりすることもできます。
使用例:
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チャネル
チャネルはカスタマーとやりとりする手段です。カスタマーがチケットを送信したときに、送信チャネルを条件として使用し、特定のエージェントまたはエージェントのグループにチケットを転送するトリガを作成することができます。たとえば、Twitterアカウントでチケットを受け付けている場合、Twitter経由のすべてのチケットを、そのチャネルに慣れている、または使用する訓練を受けたエージェントに送信するトリガを作成することができます。
使用例:
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SLA(ProfessionalおよびEnterprise)
サービスレベルアグリーメント(SLA)は、サポートチームがお客様との間で、応答および解決策を提供するまでのそれぞれの時間を取り決めたものです。管理者とエージェントがサービスレベルのパフォーマンスを監視し、サービスレベル目標を達成できるように、Zendesk SupportではSLAサービス目標を設定できます。
ビューと自動化の条件としてサービスレベルアグリーメントを使用し、SLAの時間制限に近づいているチケット、または時間制限を超過したチケットの優先順位を上げることができます。
使用例:
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スキル(Enterprise)
サポートのトピック、チケットの言語、エンドユーザーの優先度などに基づいて、一般的なチケットに対応するために必要な特定のスキルを把握することができます。エージェントにスキルを割り当てることもできるので、各自のスキルにマッチするチケットをエージェントに振り分けることができます。マッチするスキルを持つエージェントだけが表示できるスキルに特化したビューを作成したり、マッチするスキルを持つエージェントやグループにチケットを割り当てるトリガを作成することもできます。
使用例:
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エージェントステータスとキャパシティ
チャネルごとに指定したエージェントあたりの最大キャパシティを、エージェントが自分で設定したステータスと組み合わせて使用することができます。チケットをグループに割り当て、優先順位を設定し、ルーティングタグを適用するトリガを作成することができます。エージェントの空き状況に基づくルーティングを使用して、稼働率が最も低く、チケットを解決するために最もキャパシティのあるエージェントにチケットを割り当てることができます。
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