Zendesk AIは、Zendeskプラットフォームのインテリジェンスレイヤーです。膨大なカスタマーサービスデータを基に構築されたZendesk AIは、よりスマートな会話やAIエージェントから、エージェントの生産性向上ツールや管理者向けの新しいインサイトと即座のアクションまで、サービス体験のあらゆる側面を強化します。
この記事では、Zendeskが提供するAIを利用した機能をすべてご紹介します。また、これらの機能を活用してビジネス目標を達成する方法についても説明します。この記事では、設定に必要な主な項目について説明し、さらに詳しい情報を得るためのガイドラインを提供します。
一部のAI機能はスイートに含まれており、一部の機能には「高度なAI」アドオンが必要です。以下のボタンを使用して、この記事中の高度なAI機能に関する情報を表示または非表示にすることができます。
この記事では、次のトピックについて説明します。
- Zendesk AIと高度なAIの概要
- AIを活用したエージェントの能力向上と効率化
- AIを使用してチケットをルーティングし、より迅速なサービスを提供
- AIを活用してナレッジベースを強化し、回答を提供する
- AIを活用して24時間365日のサービスを提供し、よりスマートなAIエージェントを構築する
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Zendesk AIと高度なAIの概要
Zendeskは、お客様のビジネスニーズに合わせて次の2つのレベルのAI機能を提供しています。
- Zendesk AI:スタンドアロン製品とSuiteプランに含まれ、プランのレベルによって機能が異なります。
- Zendeskの「高度なAI」アドオン:SuiteおよびSupport Professional以上のプランのアドオンとして提供されます。
下の表は、各レベルに含まれる機能をまとめたものです。
カスタマーとAIエージェントとのインタラクションの自動化 | エージェントによる迅速な問題解決 | サービスのワークフローの最適化 | |
Zendesk AI Suiteプランに含まれ、プランのレベルによって機能が異なります。 |
回答作成時の目的の候補 未回答の質問のための目的の候補 |
エージェントのためのおすすめのマクロ |
コンテンツマネージャーのためのコンテンツキュー |
Zendeskの高度なAI SuiteおよびSupport Professional以上のプランのアドオンとして提供されます。 |
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管理者のためのマクロ提案 |
AIを活用したエージェントの能力向上と効率化
現代のエージェントは多忙を極めています。簡単にアクセスできるサイドパネルに、チケットの概要やユーザーのセンチメントなど、AI由来のインテリジェンスをまとめて表示することで、エージェントがすぐに成功するために必要なツールを提供します。
ヘルプセンターと連携させ、エージェントがワークスペースを離れることなくカスタマーからの質問に答えられるようにしましょう。また、カスタマーからの質問に回答する際に使用できる適切な言葉や表現をエージェントに提供することで、カスタマーがどのエージェントにつながっても一貫したエクスペリエンスを享受することができます。
他の方法でも時間を節約することができます。複数のカスタマーのリクエストを一度に解決するために、統合できるチケットを積極的に提案します。あるいは、コールを受けるエージェントに、終了したばかりのコールの内容を自動的に書き起こし、要約するツールを提供することで、貴重な後処理時間を節約させることができます。
コンテキストパネルの「インテリジェンス」は、エージェントワークスペースのエージェント向けのパネルです。AIを活用したインサイトをエージェントに示し、カスタマーの課題解決に役立つ適切なマクロを提案します。
メリット
- 要約機能を使用して、これまでにチケットに追加されたすべてのパブリックコメントを要約することで、エージェントがチケットを迅速に対応できます。
- エージェントにインサイトを提示:カスタマーの目的、センチメント、言語に関するインサイトにアクセスすることで、最適な解決策を迅速に見つけることができます。
- 最も関連性の高いマクロを提案:適切なマクロを適用することで、エージェントはより迅速に回答し、すばやく問題を解決することができます。
- エージェントの準備と改善の迅速化を支援:カスタマー行動履歴に基づくAIを活用したガイダンスによって、次のステップが提供されます。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンがあり、エージェントワークスペース、インテリジェントトリアージ、およびおすすめのマクロ(オプション)を使用していること。
詳しい操作について
エージェントは、テキスト入力欄でメッセージの内容をふくらますことで、カスタマーへの対応時間を短縮することができます。さらに、エージェントは、企業のブランドイメージに合わせて、コメントのトーンを会話調にもフォーマルにも変えることができます。
メリット
- エージェントがカスタマーのリクエストに対する回答を作成する時間を短縮します。
- 簡潔な箇条書きを、カスタマーのニーズに対 応する包括的な回答に変えます。
- サポートチーム全体でブランドの一貫性を維持するために、エージェントの回答のトーンを変えます。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンがあり、エージェントワークスペースを使用していること。
詳しい操作について
コンテキストパネルのナレッジベースセクションでは、エージェントはチケットインターフェイスを離れることなく、チケットに対応しながらナレッジベースやコミュニティフォーラムの推奨コンテンツにアクセスしたり、外部コンテンツを検索したり、コンテンツに関連するアクションを行うことができます。
メリット
- ヘルプセンターのコンテンツに基づいて、カスタマーのより複雑な問題をエージェントが迅速に解決できるように導きます。
前提条件
- エージェントワークスペースを使用していること。
詳しい操作について
おすすめのマクロは、エージェントが特定のチケットの内容に基づいて、チケットに適用する既存のマクロを見つけるのに役立ちます。
メリット
- エージェントに適切なマクロを提供することで、一元化されたワークスペースからカスタマーの解決策をすばやく見つけることができます。
前提条件
- アカウントに十分なマクロ使用データがあること。
詳しい操作について
関連情報
統合の候補は、チケットのコンテキストパネルの「インテリジェンス」セクションで提供される機能です。「インテリジェンス」パネルには、エージェントが表示しているチケットに基づき、現在のチケットが作成された2週間前と2週間後に同じリクエスタによって提出されたチケットが表示されます。
メリット
- エージェントが現在対応中のチケットと統合できそうなチケットをプロアクティブに特定し、複数のカスタマーリクエストを一度に解決できるようにします。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンを持っていること。
詳しい操作について
音声通話のための生成AIでは、生成AIを使用して、Zendesk Talkのコールの録音から会話ログと概要を作成することができます。これにより、エージェントは通話中や通話後に手動でコールメモを書く必要がなくなります。その代わり、カスタマーの問題解決に重点を置き、コールを連続して効率的に処理できます。
メリット
- コールの録音を自動的にテキストに変換し、コール終了後にコンテキストを追加するために会話ログをチケットの会話ログに保存します。
- AIが生成したコール録音の簡潔な概要を作成し、その概要をチケットの会話ログに保存します。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンを持っていること。
詳しい操作について
AIを使用してチケットをルーティングし、より迅速なサービスを提供
一般的に、サービスの提供が速ければ速いほど、カスタマーは満足します。ZendeskのAI機能を使用して、チケットを適切なエージェントにすばやくルーティングすることで、手作業によるトリアージと比較して、チケット1件あたり平均45秒を節約できます。さらに良いことに、すぐ回答できるチケットを減らすことで、エージェントはより複雑なカスタマーとのやりとりに集中する時間を確保できます。
さらに、カスタマーからのよくある質問にすばやく対応できるよう、適切な言葉や表現をエージェントに提供します。また、手のかかるチケットの対応方法について、ジャストインタイムの社内ガイダンスを提供することもできます。
インテリジェントトリアージを使用すると、チケットの内容(目的)、使用言語、カスタマーのメッセージがポジティブかネガティブか(センチメント)、またはその3つの組み合わせに基づいて、Supportやメッセージングのチケットを適切なチームに自動的にルーティングできます。
メリット
- 手動によるトリアージを撤廃:受信したリクエストをカスタマーの目的、言語、センチメントで自動的に分類することで、各リクエストごとに30~60秒の時間の節約が期待できます。
- 自動ルーティングワークフローの強化:受信したリクエストを1回目のルーティングで適切なエージェントに転送します。
- カスタマーへの応答を自動化:カスタマー自身がセルフサービスでリクエストを解決できるようにします。
- 不足している情報をプロアクティブにリクエスト:エージェントの時間と手間を節約できるようにします。
- より詳しいレポートインサイトを提供:カスタマーをより深く理解し、運用を最適化するのに役立ちます。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンを持っていること。
詳しい操作について
例
ベストプラクティス
関連情報
インテリジェントトリアージによるオートリプライは、目的、言語、およびセンチメントに関するAI予測に基づいて、メール経由のカスタマーのリクエストに対する応答をカスタマイズできます。「オートリプライ」トリガアクションを使用して、インテリジェントトリアージによるオートリプライを作成します。
メリット
- カスタマーからの問い合わせの多くを自動的に削減することで、エージェントはより複雑なカスタマーリクエストに対応できるようになります。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンがあり、インテリジェントトリアージを使用していること。
詳しい操作について
関連情報
管理者向けのマクロ提案を使えば、エージェントやエンドユーザーにとってどのマクロが最も有用かを簡単に判断することができます。この機能は、アカウント内のすべてのエージェントの返信で繰り返されている内容に基づいて、管理者が作成可能な新しいマクロを提案します。
メリット
- 共有マクロの作成提案を受けて、エージェントがより速く、一貫性のある対応ができるようにします。
- マクロの知識の不足を特定し、最も適切な回答を提供できるように最適化します。
- 分析に費やす時間を短縮し、チーム間のシームレスなコラボレーションを促進します。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンを持っていること。
詳しい操作について
関連情報
特定の条件を満たす送信チケットに、社内メモを自動的に追加するトリガを作成することができます。ネガティブなセンチメントを持つチケットを探すトリガを設定し、デリケートなカスタマーサービス状況の処理またはエスカレーションに関する情報をエージェントに伝える社内メモをチケットに追加することができます。
メリット
- エージェントに役立つプロセスのリマインダーやその他の情報を提供し、エージェントのオンボーディングを迅速化し、継続的なトレーニングをサポートします。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンがあり、インテリジェントトリアージ(オプション)を使用していること。
詳しい操作について
AIを活用してナレッジベースを強化し、回答を提供する
カスタマーサービスを成功させるには、最新の知識が重要です。ヘルプセンターで作成済みのコンテンツに基づいて、エージェントが適切な回答を提供できるようにします。
要点を長文化したり、適切なトーンを選んだり、簡潔な言葉を選択したりするのに役立つAIツールを使って、新しいコンテンツを素早く簡単に作成できます。次に、それらのコンテンツに基づいて、何が足りていないか、どこに改善の余地があるかを見つけ出し、セルフサービスカスタマーにより良いエクスペリエンスを提供できるようにします。
最後に、カスタマーとエージェントが何を探しているかを直感的に理解できるセマンティック検索で、必要なコンテンツを見つけられるようにします。
標準のオートリプライは、記事付きのオートリプライとも呼ばれ、メールやWebフォームを通じて届くカスタマーのリクエストに対する自動応答です。回答には、カスタマーが問題を解決するのに役立つおすすめのヘルプセンター記事が含まれています。
メリット
- ヘルプセンターのコンテンツによって回答可能なカスタマーからの問い合わせを自動的に削減することで、エージェントはより複雑なカスタマーリクエストに対応できるようになります。
前提条件
詳しい操作について
ベストプラクティス
関連情報
ヘルプセンターでテキストの長文化機能を使うと、記事やコンテンツブロックの長文コンテンツをすばやく効率的に作成できます。執筆中のコンテンツのトーンをフレンドリーなものやフォーマルなものに、会社のブランドに合わせて変えることができます。また、コンテンツを簡潔にして読みやすくすることもできます。
メリット
- 短いメモや箇条書きから記事を作成して、コンテンツの作成時間を短縮します。
- ヘルプセンターのコンテンツ全体に一貫したブランドボイスを適用します。
- 読者の理解をさまたげる不要なことばを取り除き、記事を簡潔にします。
前提条件
- 高度なAIアドオンを持っていること。
詳しい操作について
コンテンツキューでは、機械学習技術とGuide記事の使用状況データを活用することで、ナレッジベースの健全性を改善するチャンスとタスクを見つけ出すことができます。
メリット
- 一般的なカスタマーリクエストに基づいて作成または更新が必要な記事の提案を確認し、ナレッジベースを向上させます。
前提条件
- コンテンツキューの「アカウントの要件」を参照してください。
詳しい操作について
セマンティック検索は、検索クエリの意味を理解することで、可能な限り正確な検索結果を生成し、エンドユーザーが使用する正確なキーワードを事前に知らなくてもコンテンツを検索できるようにします。
メリット
- エンドユーザーは、探している情報をより簡単に見つけることができ、ヘルプセンターのチケットをさらに削減することができます。
- エージェントは、より迅速に答えを見つけることができるため、より効率的な対応が可能になります。
前提条件
- ヘルプセンターをアクティブにしていること。
- Zendeskがヘルプセンターにセマンティック検索を実装していること。「ヘルプセンターでセマンティック検索が有効になっているかを確認する方法」を参照してください。
詳しい操作について
AIを活用して24時間365日のサービスを提供し、よりスマートなAIエージェントを構築する
カスタマーが世界中に広がっている場合、1日のどの時間も優れたカスタマーサービスを提供するチャンスです。ZendeskのAIエージェントは、まさにそれを可能にします。エージェントの介入なしにカスタマーを適切なソリューションに導く会話ボットで、24時間365日のサービスを提供しましょう。
AIエージェントを使えば、サービス体験をパーソナライズし、カスタマーのニーズをより深いレベルで理解することができるため、エージェントの人数を増やすことなくサービスを提供できます。さらに、このようなボットを迅速に構築し、AIを活用した目的でボットのナレッジベースの不備な箇所を埋めることで、推測による不確実なボットの構築を行わずにすみます。
会話ボットは、Zendeskのメッセージングチャネルと連携して、カスタマーに自動会話サポートを提供します。詳細なカスタマイズが可能なボットは、ドラッグ&ドロップ操作のボットビルダーを使用して簡単に構築でき、カスタマーを問題解決に導きます。
メリット
- ボットがエージェントを介さずに一般的な問題を解決できるようにしたり、最初にカスタマーから重要な情報を収集してエージェントへの引き渡しを容易にしたりすることで、スタッフを増員せずに大量のボリュームに対応します。
- 常時利用可能なリソースを提供することで、カスタマーに即座に回答を提供し、問題を迅速に解決します。
詳しい操作について
関連情報
返答生成では、エンドユーザーからの質問への応答をすぐに開始できます。これらの応答では、生成AIを使用してヘルプセンター記事を評価し、記事に含まれている知識や情報を使用して、進行中の会話に簡潔な回答を提供します。エンドユーザーは、記事を読むために会話チャネルを離れることなく、必要な情報を入手できます。
メリット
- 回答を事前に手動で設定する必要なく、既存のヘルプセンターのコンテンツを使用してカスタマーからの問い合わせを自動的に解決します。
前提条件
- エージェントワークスペースとメッセージングを使用していること。
- アクティブなZendeskナレッジベースが、ボットに割り当てられたブランドに接続されている必要がある。
詳しい操作について
ボットのペルソナで選択したパーソナリティを、会話ボットのAI生成の応答メッセージに適用することができます。ペルソナには、以下のような種類があります。
- プロフェッショナル:礼儀正しく率直な口調
- フレンドリー:カジュアルで親しみやすい口調
- プレイフル:快活でチャーミングな口調
メリット
- ボットを導入したメッセージングチャネルで、より自然で魅力的なカスタマーエクスペリエンスを提供できる。
前提条件
- エージェントワークスペースとメッセージングを使用していること。
詳しい操作について
目的の候補は、会話ボットの回答を作成するときに目的を提案することで、ボットがカスタマーのニーズを正確に理解するのに役立ちます。トレーニング用の表現の代わりに、トレーニング済みのこれらの目的の候補を使用することで、カスタマーの質問に対して最も適切な回答を会話ボットがマッチングして提供できるようになります。
メリット
- 管理者の手動設定時間を短縮:ボットは、各業界のカスタマーサービスに合わせたスマートな会話を提供できるように事前にトレーニングされます。つまり、何か月もかけて手動で設定しなくてもすぐに利用できるため、優れたサービスを簡単に拡張することができます。
- リクエストを自動的に検出・分類:カスタマーの目的に基づいて検出と分類を行い、最も正確な回答を提供することで、カスタマーエクスペリエンスを向上させ、より高い自己解決率を実現します。
前提条件
- ボットごとに3つ以上の回答で目的を使用するには、「高度なAI」アドオンと、インテリジェントトリアージを使用している必要があります。
詳しい操作について
目的の候補は、ボットと会話しているカスタマーからよく尋ねられる質問のうち、既存のボット回答と一致しないものを特定します。これにより、ボットによって提供されるナレッジベースの不備な箇所を特定し、新しい回答を作成したり、既存の回答を改善したりすることができます。
メリット
- 会話ボットのナレッジベースの不備な箇所を特定し、チケットの削減に貢献できる未使用の目的を提案します。
- 「すみません、わかりません」というフォールバックメッセージを避けることで、カスタマーのサポートエクスペリエンスを向上させます。
前提条件
- 「高度なAI」アドオンがあり、インテリジェントトリアージを使用していて、サポートされている言語のボットを使用していること。
詳しい操作について